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受精していないのに卵が分割することが あるのでしょうか?【大島 隆史 先生】

コラム 不妊治療

受精していないのに卵が分割することが あるのでしょうか?【大島 隆史 先生】

「最終結果でも分割が6だったので、結局、今回の胚移植はなかったのですが、受精していないのに分割が始まることもあるのですか?」

2012.11.12

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相談者
とどさん(39歳)からの投稿
■ 未受精なのに分割しますか?
体外受精3回目です。ショート法で11個採卵しました。3日後、受精の状態を確認したら、7個の受精(正常受精2個、多精子受精3PN×3個・5PN×2個)、1cell×4個でした。正常に受精した受精卵も分割が遅く経過を見ましたが、途中で分割停止。その後の診察で最終培養の結果を教えていただいたところ、1cell×2個となっており、先生に質問すると「3日目の段階で分割確認できなかったものがその後分割したとも考えられるし、未受精でも分割することがある」と言われました。最終結果でも分割が6だったので、結局、今回の胚移植はなかったのですが、受精していないのに分割が始まることもあるのですか?



ジネコ:とどさんは「未受精でも分割することがある」という担当の先生のお話に疑問を抱いたようですが、このようなことはあるのでしょうか。


大島先生:通常は精子と卵子が一緒になって受精し、分割していくのですが、まれに精子の侵入がなく、卵子だけで勝手に分割していくことがあります。これは「単為発生」と呼ばれていますが、とどさんの先生がおっしゃったのはこの状態のことだったのではないでしょうか。


ジネコ: 単為発生した卵は、その後どうなっていくのでしょうか。妊娠まで至るということもあるのですか?


大島先生:ー単為発生した卵が順調に分割をしていって妊娠したとしても、100%流産してしまいます。しかし、それ以前に採卵後、受精の状態をきちんと確認するので、このような卵を移植することはないでしょう。


ジネコ:他に多精子受精という異常もあったようですが。


大島先生:そこがとても気になりますね。3PNや4PNという状態の方は当院でも時々見られますが、とどさんは5PNが2個。7個受精したうち、3PNの状態のものも含め、5個も多精子受精が見られます。このようなケースは稀なのではないかと思います。通常は卵子に精子が1個入ると、それ以上は入らないように透明帯がバリアとなって阻止するのですが、それがうまくいかず、多くの精子が入ってしまう。当然、異常な状態ですから、これも妊娠したとしても流産してしまいます。


ジネコ:なぜ、単為発生や多精子受精などの異常が起こるのですか?


大島先生:単為発生の理由はまだきちんとしたデータがありませんが、個人的な印象としては、卵巣機能が低下している方に多いようです。また、多精子受精はおそらく透明帯に問題があるのではないでしょうか。透明帯というのは卵子からはじき出されて外側に形成されたものですから、その成分は卵子と同様のものです。そう考えると、卵子自体の質が透明帯の機能の低下に影響していると考えられます。とどさんの場合はAMHの値も低いことから、やはり39歳という年齢が卵巣機能や卵子の質の低下を招き、異常な受精や分割を引き起こしていると考えられます。AMHの値だけではなく、おそらく胞状卵胞の数やFSHの値もあまりよくないのではないでしょうか。


ジネコ:正常に受精した受精卵もその後の分割は、遅かったようです。


大島先生:分割は、早すぎてもいけないし、遅すぎてもよくありません。理想の分割は、採卵した翌日に核が2つ見えて、すぐに核膜が消えて一緒になり、2日目に4細胞、3日目に8細胞、4日目に桑実胚、5~6日目で胚盤胞になるというペース。当院では、採卵後、だいたい2日目の時点で胚のよし悪しをみていま精子の侵入がなく、卵子だけで分割を始める〝単為発生〞ではないでしょうかすが、この時期に2細胞以下であったり、6細胞以上だと妊娠率はかなり低いようです。とどさんは最終的に6細胞で分割が止まってしまったとのこと。やはりこのように分割が止まることも、年齢が影響している可能性が考えられます。


ジネコ:今後の治療は、どのような方針を立てればいいのでしょうか。


大島先生:排卵誘発や受精の方法を変えていけば、まだまだ妊娠のチャンスはあると思います。ショート法で11個と、卵子の数は十分採れているようですから。ただし、もしFSHの値が高いようでしたら、排卵誘発はショート法よりアンタゴニスト法のほうがいいかもしれません。生理が終わった翌日からGnRHアンタゴニストでFSHを抑えながら誘発を開始すると、質がよく、ある程度の量の卵子が採れるのではないかと思います。また、注射もこれまでHMG製剤だったのをリコンビナントのFSHに替えるなど、違う薬を試されてみてはいかがでしょうか。受精の方法も、多精子受精が多いようなら顕微授精にしてなるべく正常に受精できるように持っていく。このように治療の方法を変えることで、良好な胚ができる可能性が高まるのではないかと思います。もし納得できないことや疑問に思うことがあったら先生に相談して、結果を踏まえながら、ぜひ次の治療に生かしていただきたいですね。



大島隆史 先生
自治医科大学卒業。1982年、新潟大学医学部産科婦人科学教室入局。産婦人科医として3年間研修後、県内の地域病院の1人医長として4年間勤務。1992年、新潟大学医学部において医学博士号を授与される。新潟県立がんセンター新潟病院、新潟県立中央病院勤務を経て、1999年、大島クリニックを開設、院長に就任。採卵室と人工授精の部屋を分け、人工授精専用の部屋を設置。音楽を流したり、待っている間にテレビが観られたりと、よりリラックスして臨める環境づくりをしています。




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