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【Topics!】卵管鏡下卵管形成術ダブルスコープ法とは?

コラム 妊活

【Topics!】卵管鏡下卵管形成術ダブルスコープ法とは?

妊娠の可能性を高める選択肢の一つ
卵管鏡下卵管形成術ダブルスコープ法とは?

2020.9.10

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不妊原因のなかで大きな割合をしめる卵管の問題。卵管鏡下卵管形成術(FT)は、自然妊娠を希望する方に非常に有効な治療法です。FTのメリットについて、なかむらレディースクリニックの中村嘉宏先生に教えていただきました。


※2020年8月25日発刊「女性のための健康生活マガジン jineko vol.47 2020 Autumn」の記事です。


ダブルスコープ法はドクター3人体制で行う、安全で確実な手術です。
タイミング法や人工授精でなかなか妊娠しないという方には、検査では見つからない卵管の癒着が隠れていることがあります。FTでより卵管通過性が向上するとタイミング法や人工授精での妊娠率を高めることができます。

お話を伺った先生のご紹介

中村 嘉宏先生(なかむらレディースクリニック)


大阪市立大学医学部卒業。同大学院で山中伸弥教授(現CiRA所長)の指導で学位取得。大阪市立大学附属病院、住友病院、北摂総合病院産婦人科部長を経て、2013 年より藤野婦人科クリニック勤務。2015年4月なかむらレディースクリニック開院。

≫ なかむらレディースクリニック

卵管の通りをよくして自然妊娠をサポート


最近は妊活に対する意識が高くなり、結婚後しばらくして赤ちゃんを授からないという若い方も、早めに不妊専門施設を受診されるようになりました。
不妊原因にはさまざまありますが、卵管の問題も大きな割合をしめます。とくにクラミジア感染、子宮内膜症といった病気は卵管に炎症を起こします。また、気がつかない程度の軽度の細菌感染でも卵管に炎症が起こる場合があります。卵管の炎症は、卵管の中が狭くなる「狭窄」や卵管が詰まってしまう「閉塞」を引き起こし、精子や受精卵が通過できなくなり不妊につながります。また、卵管の粘膜がメッシュ状やクモの巣状に貼りついてしまう「癒着」も起こります。軽度の「癒着」は子宮卵管造影検査では見つかりにくく、気づかないうちに受精卵や精子の通過を邪魔していることもあります。
卵管鏡下卵管形成術(FT)は、卵管の中の「狭窄」「閉塞」「癒着」した部分を治療し、卵管の通過性を改善する手術です。自然妊娠を希望される方で、タイミング法や人工授精で結果が出ない場合に有効な治療法です。




安全で確実に手術できるダブルスコープ法を採用


FTの一般的な手順は、卵管鏡(内視鏡)を内蔵した1本のFTカテーテルを腟から子宮、さらに卵管の入り口になる卵管口に密着させます。そして、卵管の内部にFTカテーテルを挿入して空気圧でチューブ状のカテーテルをゆっくりと推し進めます。カテーテルで卵管をゆっくりと押し広げて通過性を回復した後、卵管内を卵管鏡で細かく観察していきます。
この手術でもっとも大事なポイントは、「卵管口を確実に見つける」ことです。しかし、卵管鏡はわずか直径0.6mmという極細の器具のために、観察できる範囲が狭く、画質の精度も低いことから、卵管口を探すために時間がかかったり、卵管口を誤認してしまうことがあります。
そこで当院は、卵管鏡と子宮鏡の2本のファイバースコープを組み合わせた「ダブルスコープ法」を採用しています。卵管鏡を単独で使用した場合に比べ、ダブルスコープ法は短時間に安全、確実に手術を行うことができます。直径3.8mmの子宮鏡は観察できる範囲が広く、画質の精度も高いため、卵管口をすぐに見つけることができます。手順としては、まず子宮鏡で子宮内を観察して卵管口を見つけ出します。次にFTカテーテルを卵管口に密着させて、カテーテルを確実に挿入し、モニターを見ながら少しずつ丁寧にFTカテーテルを伸ばしていき卵管の狭窄や閉塞、癒着を治療し、通過性を高めます。万が一、FTカテーテルが卵管口から外れても、子宮鏡で観察していればすぐにわかるので軌道修正が可能です。また、子宮鏡で子宮内にポリープが見つかった場合は、FT後にポリープを切除し、確実に切除できたかどうかを子宮鏡で観察することも可能です。


体の負担が少ない手術で両方の卵管でも15分程度


FTは開腹手術とは違い、体への負担が少ない手術です。所要時間はダブルスコープ法を用いると両方の卵管でも15分程度です。体への負担も少ないので日帰り手術が可能です。卵管の中にFTカテーテルが入っている時は痛みが発生しますが、当院はプロポフォールというお薬を使った静脈麻酔を行っていて、患者さんが完全に眠っている間に手術を行いますので痛みを感じることはありません。さらに、手術中は安全のため麻酔担当の医師が専任で患者さんの呼吸管理を行います。麻酔担当の医師、卵管鏡担当の医師、子宮鏡担当の医師、の3人体制で万全を期しており、安心して手術を受けていただけます。
タイミング法や人工授精で妊娠されない方のなかには、子宮卵管造影で卵管通過性に問題がないといわれた方もたくさんいらっしゃいます。
そのような方のなかにも、造影剤は通ることのできる軽度の「メッシュ状、クモの巣状」の卵管の癒着が隠れていることがよくあります。これらの癒着は造影剤は通るため、子宮卵管造影では検出できません。卵管鏡では直接卵管内の癒着を観察することができるので、FTでその癒着を改善すると妊娠率の向上が期待できます。20代後半〜30代前半の方では、FT後4回から5回のタイミング療法で累計約40%の妊娠率が期待できます。
とくに若いご夫婦は自然妊娠をお考えの方が多いですし、いきなり体外受精に進むのは経済的にもハードルが高いと思います。一方、FTは高額療養費制度の対象であり、健康保険が適用できるメリットもあります。タイミング法を3〜4回しても妊娠にいたらない場合は、FTを検討されるのも一つの選択です。また、すでに体外受精に進まれている方で、年齢的、経済的な理由でステップダウンをお考えの方も、FTによって自然妊娠率を高めることも選択肢の一つだと思います。


出典:女性のための健康生活マガジン jineko vol.47 2020 Autumn
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