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田村秀子先生の心の玉手箱

コラム 不妊治療

田村秀子先生の心の玉手箱

不妊治療をしていくなかでは、患者さんと医師の間で治療方針が折り合わないケースもあるようです。治療でよい結果を出すために大切なこととは? 田村秀子先生にお話を聞きました。

2020.10.19

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※2020年8月25日発刊「女性のための健康生活マガジン jineko vol.47 2020 Autumn」の記事です。


理香さん(32歳)からの投稿
相談内容
私は心配性で、不妊治療について調べすぎる点はあるかと思いますが、自分の体や治療の内容を知るのは大事だと思っています。そんな時、ある先生のブログに「ネットでにわか知識を付けて、その患者にとってベストではない治療法を要求する患者が多すぎる。説明しても納得しないことが増えて疲れた。本人がいいと思うなら、それもよしとし、患者の選択に沿ってあげるべきか?」と書かれていてショックを受けました。高額な治療費と時間を捻出し、不安と闘いながら不妊治療でよい結果が出るように質問することが、医師を疲弊させ、最高の治療を遠ざける原因になり得るのでしょうか。これを読んでから診察が怖くなり、今まで積極的にしていた質問ができなくなりました。

投稿に寄せられたコメント
●投稿者:ペンネさん(43歳)
読んでいるだけで神経質できちっとしないと気が済まない性格なんだろうな、と想像します。不妊治療中とのことですが、この先子どもができても細かいことが気になって仕方なくなりそうですが、そこは心配じゃないんでしょうか? 何事もおおらかさとか心の余裕って大事だと思いますよ。ブログでどこかの先生が言ったことを、そこまで大袈裟に受け止めてショックを受ける必要はないでしょう。「確かにそういう面もあるかもな。じゃあ私は質問の仕方に気をつけよう。でもここだけは譲れないからしっかり伝えよう」みたいに心の整理をつけたらいいと思いますよ。ネットの情報に振り回されてしまうならスパッと見ない勇気や柔軟な考え方を身につけてはどうでしょう。

お話を伺った先生のご紹介

田村 秀子 先生(田村秀子婦人科医院)


京都府立医科大学卒業。同大学院修了後、京都第一赤十字病院に勤務。1991年、自ら不妊治療をして双子を出産したことを機に義父の経営する田村産婦人科医院に勤め、1995年に不妊治療部門の現クリニックを開設。


≫ 村秀子婦人科医院

生理や妊娠は身近なことでも治療は専門家に任せて


ブログを書かれた先生と、そのブログを見てショックを受けている理香さん、どちらのお気持ちもわかります。女性にとって生理や妊娠はとても身近ですから、不妊症といっても病的な感覚は薄いのかもしれません。だからいろいろ勉強して、自分なりに治療方針を決めてしまうこともあるんだろうと思います。それが医師の提案する治療方針と違っていたりすると、「納得いかない」ということになるんでしょうね。
でも、これが糖尿病やがんの治療だったらどうでしょうか? 自分なりに勉強して、ある程度の自己判断はできたとしても、どのお薬がどういう効き目で、自分の体に合っているかまでわかるでしょうか。ほとんどの方は命を守るためだと思い、医師の治療方針にゆだねるのではないでしょうか。
不妊治療も同じことだと思うんです。私たちのゴールは妊娠してもらうことではなく、健康な赤ちゃんを産んでもらうことです。患者さんに過度な経済負担はかけたくありませんし、何よりもその方を危険にさらすような治療は絶対にできません。生理を起こすためのお薬を、たった一回処方する時でさえ、いろんな理由を考えてのことなんですね。


質問の内容によって受け取り方が変わることも


患者さんが治療の内容を勉強したり、わからないことを先生に聞いてもらうのはいいことだと思います。ただ、医師も患者さんと同じ人間ですから、質問の内容によってはブログの先生と同じような思いをさせていることがあるかもしれませんね。
どの医師も「この人のためになる」と、いろいろと考えたうえで最善の提案をしています。大まかな治療方針に沿ったことであれば、積極的に質問されてもいいのではないでしょうか。たとえば、「今回もまた胚移植がいいですか?」「それとも移植を一度お休みしたほうがいいですか?」「それはどうしてですか?」といった質問なら医師も懸命に答えてくれるはずです。でも注射の種類やお薬の中身といった細かいことには、あまりこだわる必要はないのかなと思うんですね。
たとえば、社会的、時間的、経済的なことも考慮して、右と左どちらかの道に進まなければいけない時、その大筋の方向を決めるのは患者さんの意思ですが、そこに向かって徒歩、自転車、車のどの手段で行くかを決めるのは医師の役目なんです。


患者さんと医師は一心同体先生の治療方針を信じてみて


患者さんの不妊期間が1カ月、2カ月と延びれば延びるほど、体外受精の陰性判定が重なれば重なるほど、不妊専門医のほとんどは、患者さんとはまた違う形で大きな無力感やプレッシャーを感じています。だから1日でも早く赤ちゃんを授かってもらえるように、「次はこうしてみよう」「ああしてみよう」「もう打つ手はないんだろうか」「こういうふうにしたらうまくいくんじゃないだろうか」と日々さまざまなことを考えているはずです。ですから患者さんも「担当の先生を信用し、信頼し、治療方針に沿っていけば、必ず妊娠できる」というように、意識の方向を少し変えてみることはできないでしょうか。患者さんが一生懸命なのはよくわかりますし、医師も一生懸命ですから、お互いにうまく折り合いをつけることも大事な気がします。もちろん先生との相性もありますが、不妊治療は先生をどれだけ信用できるかによっても、結果が変わってくると思います。


【秀子の格言】
「「患者さんも、医師も一生懸命。
同じゴールをめざして先生を信頼してみませんか」」

出典:女性のための健康生活マガジン jineko vol.47 2020 Autumn
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