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腹腔鏡手術の体外法により ピックアップ障害を引き起こすことはある?

コラム 不妊治療

腹腔鏡手術の体外法により ピックアップ障害を引き起こすことはある?

「もしピックアップ障害の判定検査ができるという場合、婦人科、それとも不妊治療専門病院など、どこに行けばいいのでしょうか。」

2014.9.8

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相談者
えっか1010さん(34歳)
1ヵ月ほど前に、右卵巣にできた4×7cmの皮様嚢腫部位を腹腔鏡下手術にて摘出しました。その際、「腹腔内ではなく、卵巣を体表に出して病巣部の摘出をした」と術後に医師から説明を受けました。体表に出した部分の傷口は3cmほどあります。そこでお伺いしたいのですが、卵巣を体表に出したことにより、今後、排卵時に卵管采が排卵した卵子を受け取りにくくなってしまうことはありますか?何らかの検査でピックアップ障害か否かを判断することは可能でしょうか。もしピックアップ障害の判定検査ができるという場合、婦人科、それとも不妊治療専門病院など、どこに行けばいいのでしょうか。



ジネコ:えっか1010さんが摘出した皮様嚢腫とはどのようなものなのでしょうか。


柏崎先生:正式名は奇形腫といわれています。卵巣嚢腫の中ではポピュラーで、発生する頻度が最も高い腫瘍なんですね。 受精後の胚は再生医療でもその細胞が使われているように、様々な臓器に分化できる能力を持っています。ちょっとした変化で1つの臓器に化けてしまうんですね。奇形腫はその名の通り変わった腫瘍で、髪の毛や歯、脂肪など、従来は卵巣にはないような組織が混じっています。奇形腫の9割方は良性ですが、未成熟なものはまれにがん化することがあります。


ジネコ:卵巣を体表に出して、病巣を摘出したということですが。


柏崎先生:腹腔鏡手術の体外法ですね。通常の腹腔鏡はお腹に小さな孔を開けて、たとえば卵巣に水などが溜まっていた場合は、体内で吸引などの処置をすることができるのですが、脂肪腫だと中に脂や髪の毛が入っていて汚いので、体内だときれいに吸い取ることができないんです。そこで通常よりやや大きめ、2cmくらいの孔をお腹に開けて卵巣を孔から引っ張り出し、体外で処置をした後、元の位置に戻して縫い合わせる方法をとります。


ジネコ:卵巣を体の外に引っ張り出しても大丈夫なのでしょうか。


柏崎先生:この方が心配されているのは卵巣を体外に出すことで組織がちぎれたり、傷ついたりして、卵管采までダメージを受けてしまうのではないかということですね。体外法を行う時、術者は十分注意して外に出しますし、卵巣と卵管はかなり離れているので問題はありません。外に出すというと驚かれるかもしれませんが、卵巣、卵管ともにそれほど柔な臓器ではありませんから、どうぞご安心ください。


ジネコ:では、ピックアップ障害になるようなことはないのですね。


柏崎先生:体外法は珍しい方法ではなく、受けたことで不妊になったという報告もありません。それに、そもそもピックアップ障害というのは不妊の原因としてまだ仮説の段階であり、病気として確立されたものではないんですね。どうやって、どの場所で卵胞が破裂して卵管に入るのかを見た人はこれまで誰もいません。よって、ピックアップ障害を検査したり診断する方法はなく、どの施設でも行っていないと思います。前述したように妊娠に影響はありませんので、このまま前向きに不妊治療に臨んでいっていただきたいですね。
ただし1つ注意しなければいけないのは、奇形腫の再発です。術者は卵巣の正常な部分をなるべく残そうというスタンスで処置をしていますから、腫瘍を少し取り残してしまうこともあります。そうすると将来的にまた大きくなってしまう可能性もあるので、再発しないうちに、なるべく早く不妊治療を進めていくことが大切になってくるかと思います。



柏崎 祐士 先生
京都府立医科大学医学部卒業。2000 年まで日本大学板橋病院で主に不妊治療に従事し、その間、米国エール大学医学部産婦人科で研修。その後、「かしわざき産婦人科」副院長に。日本生殖医学会生殖医療専門医、日本産科婦人科学会認定医。O型・おとめ座。6月に結婚25周年を迎えて、奥さまと二人だけでお食事に。先生が結婚式でよくスピーチするのは「結婚は愛情→思いやり→奉仕→あきらめ→妥協」ということ。それをひと回りした後、また深い愛情が育まれていくそうです。






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