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凍結胚盤胞、グレードのよいものから戻したほうがいい?

コラム 不妊治療

凍結胚盤胞、グレードのよいものから戻したほうがいい?

「受精卵のグレードに一喜一憂してしまいがちですが、卵の戻し方に決まりはあるのでしょうか?セント・ルカ産婦人科の宇津宮先生に詳しく伺いました。」

2010.9.27

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とむさん(主婦・33歳)からの投稿
12月に2回目の採卵をし、9個採れたうち、8個が受精し、胚盤胞が7個凍結できましたが、グレードはG2が1つ、G3が6つ。1個しかないG2の一番よいものから戻したほうがよいのか、2番目ぐらいのもので様子をみたほうがよいのか迷っています。
もちろん先生と相談をしようとは思っていますが、次の診察まで落ち着きません。みなさんはどうされていますか?
投稿日:2010年1月3日(日)13:29



ジネコ:受精卵のグレードや、その戻し方について、いろいろと迷われているようですが、実際グレードの高いものから戻したほうが妊娠の可能性が高くなるのでしょうか。こちらの病院ではどのような判断をされていますか?
宇津宮先生:グレードだけでは、すべては決められないですね。グレードがよくても次に進んでいかない卵もあれば、逆にグレードがあまりよくなくても分割が進んでいく卵もある。また、グレードがよくても染色体異常が認められる場合もあるんです。

現在用いられている胚盤胞のグレード分類というのは、ART(生殖補助医療技術)が始まった三十数年前からほとんど変わらない顕微鏡下の判別方法です。これは顕微鏡をのぞいて、受精卵の見た目だけで判断しているものなので、その卵の性格というか、状態までは見えてこない。6段階のグレードに分けられていますが、100個受精卵があったとしたら、おそらく100通りの性質というのがあると考えられます。見た目だけでは、なかなかわからないこともあります。

たとえば、美人が必ずしも性格もよいとは限らないでしょう。卵もそれと同じで、見た目がよいからといって、必ずよい卵とは言い切れないんです。もちろん、逆の場合もありますよ。
ジネコ:それは、わかりやすいですね。卵のグレードで一喜一憂されている患者さんも多いと思いますが、あまり深刻にならなくてもいいのかもしれませんね。現在、この判別法以外によい受精卵を見分ける方法はないのですか?
宇津宮先生:現在、私が行っているのは、受精卵の呼吸量測定です。受精卵の呼吸量測定とは、受精卵がきちんと呼吸をし、栄養を取り入れているかどうかをみるために、受精卵の酸素の消費量を、受精卵を傷つけることなく測定します。これは、すでに日本産科婦人科学会でも許可された測定法です。同じグレードの2つの卵の場合、活発に呼吸をしている受精卵を選んで移植すると、そうでないものを移植した場合に比べて、妊娠率は1.5倍になるという結果も出ています。

このように、受精卵の呼吸量は、受精卵を選ぶ際の客観的な基準になりうると思います。妊娠しやすい受精卵を選択できれば、患者さんの負担を減らすことができるので、この判断法が広がることを望んでいます。これは、2006年から山形大学の阿部宏之先生と共同で研究しているテーマで、2008年には権威のあるアメリカ生殖医学学会(ASRM)で発表して、850演題の中で第3位の学術賞をいただいた研究でもあるんです。
ジネコ:他にも受精卵の質を判断する方法はあるのですか?
宇津宮先生:この他、受精卵の細胞の染色体に異常がないかどうかを調べるという方法もあります。流産の8割は染色体の異常です。これはあらかじめ受精卵の遺伝子を検査して正常かどうかを調べることができますが、こちらの検査は、あまり一般的ではありません。
ジネコ:先生の病院では、患者さんにどのように受精卵の説明をされているのですか?どの卵を、いつ戻すかは、どうやって決められていますか?
宇津宮先生:当院では、これまでのデータに基づいて、生殖補助医療胚培養士や管理胚培養士が直接患者さんに、卵のグレードの説明やどう戻すかの話をじっくりします。
ジネコ:先生が説明されるのではなく、胚培養士さんが話をされるのですか?
宇津宮先生:そうなんです。診察や採卵をするのは医師の役目ですが、いったん採卵した卵に関しては、胚培養士に任せています。彼女らはデータを知り尽くしているし、たくさんの卵を見てきた経験もある。しかも、直接患者さんと話すことで、より胚培養士が責任感を持って仕事に取り組むことができるのではないかと思ったんです。私が話すより、じっくり時間がかけられるし、患者さんに納得してもらうまで説明するようにしています。

すべてを医師がやるのではなく、それぞれの部署がそれぞれの分野で力を発揮し、責任を持って行うのが当院の方針です。たとえば、患者さんの精神的なケアは私ではなく、生殖医療専門の心理カウンセリングの資格を持つ生殖心理カウンセラー(臨床心理士)が対応しています。もちろん、そのためには密に連絡を取り、連携していくことが重要になってきますね。
ジネコ:先生に相談しにくいことも、不妊相談士(看護師・胚培養士)さんや生殖心理カウンセラーの方には話しやすいということもありそうですね。ところで、卵の話に戻りますが、受精卵と妊娠率に関するデータややり方は病院によって違いますか?
宇津宮先生:もちろんデータは施設によって違います。採卵のタイミングも、どの卵を戻すかも、戻すタイミングも、さまざまな局面で方針の違いやクセがあると思います。だから、それぞれの施設のデータを基にしないと意味がないでしょうね。
ジネコ:戻すタイミングによって妊娠率が変わるようなことはありますか?
宇津宮先生:それはあまりないと思います。当院の統計では、受精後すぐ戻した場合も、凍結卵を戻した場合も、あまり妊娠率は変わらないですね。
ジネコ:病院と話し合いながら決めていくのが一番よい方法なのでしょうね。
宇津宮先生:何がよいということは決められませんが、それぞれの施設のデータをもとに、納得のいく十分な説明を受けて決めるのが、安心感や信頼感につながっていくのだと思います。

宇津宮 隆史 先生


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熊本大学医学部卒業。1988年九州大学生体防御医学研究所講師、1989年大分県立病院がんセンター第二婦人科部長を経て、1992年セント・ルカ産婦人科開院。国内でいち早く不妊治療に取り組んだパイオニアの一人。開院以来、妊娠数は5000件を超える。現在、大分駅近くに新施設を建設中。先生をはじめスタッフ、建築士さんの意見を結集した理想の病院が来春完成予定。趣味は登山にスキューバダイビングとアクティブ。特に今、夢中なのが魚釣り。ルアーを使った磯釣りで、なんと3kg以上のハマチを釣ったことも!O型・おひつじ座。



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