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夫婦二人きりの人生でいい!と思ったことはありませんか?

夫婦二人きりの人生でいい!と思ったことはありませんか?

2010春

2010.9.27

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先の見えない治療を続けていくうちに「もう子どもはいなくても……」とめげてしまうときも。このような患者さんと接したとき、どのような言葉をかけるのか、木場公園クリニックの吉田先生に伺いました。



まなさん(主婦・40歳)からの投稿
今はまだ人工授精だけで、「あと数回やってダメなら体外受精を」と言われています。子どものいる生活を夢見ていましたが、最近少し気持ちがめげてきました。持病が悪化しているけれど、妊娠を考えると飲めない薬で、もしも妊娠しても子育てができるかどうか。今、二人きりの生活で十分幸せなんだから、と思うことも。心底子どもを欲しいと思っていないのか、先の見えない治療がつらくてそんなふうに言い聞かせているのか、自分の気持ちがわからなくなってきました。こんなことでは治療に前向きに取り組めないですよね……。
投稿日:2009年11月30日(月)11:31



ジネコ:不妊治療は先の見えない治療とよく言われますが、まなさんが思い悩んでいるように精神的にもつらい部分がたくさんあるんですね。
吉田先生:確かにつらい治療だと思います。たとえば何かの資格試験だったら、努力して勉強すれば結果が出ますよね。でも、不妊治療はそういうものではありません。いくら努力しても報われないこともあるんですよ。僕がよく患者さんに言うのは「確証があるものは何もない。それが人生」だと。僕だってわからないですよ。今はこうして元気に仕事をしているけれど、もしかしたら明日交通事故に遭うかもしれない。不妊治療だけではなく、すべてにおいて、何が起こるか、どうなるのか、わからないですよね。でも、確証がないからこそ人生は楽しいんだと思います。何もかも最初から決まっていたら、面白いことはきっと一つもないですよね。
ジネコ:治療中はどうしても「もし、次の治療で結果が出なかったら……」「子どもができても子育てできるのか」など、さまざまな不安がよぎってしまう人も多いようですが……。
吉田先生:あまり考えすぎないほうがいいと思います。考えた分、結果が好転するならいいのですが、そうではないですよね。だから僕は、神経質になっている方には「考えすぎることがかえって妊娠率を落とすことになりますよ」とお話しするようにしています。

僕ら医師側は真剣勝負で臨んでいますが、患者さんは少しアバウトに構えていただいていいんじゃないかな。でも、一つだけきちんとやっていただきたいことがあります。
ジネコ:それは何ですか?
吉田先生:ご夫婦できちんと話し合うことです。まなさんは体外受精に進むか、治療をやめるか、迷っていらっしゃるようだけど、僕はそれは患者さんが決めればいいと思っています。「迷っているのなら進まなくてもいいし、1回やってみて結果が出ればいいけれど、出なかったらまた元に戻ってもいい」とお話しするでしょうね。僕は「やりなさい」とは決して言いません。治療についての説明や提案はしますが、最終的には患者さんに選んでいただきたいんです。そこで大切なのが、ご夫婦が同じ方向を向いているかどうかなんです。まなさんは一人で悩まれているような気がしますが、ご主人とよく話し合われているのかな。
ジネコ:そうですね。お二人で納得いくまで話せば、どうしたいのか、もう少し見えてくるような気がしますが。
吉田先生:特に不妊治療をステップアップするときは、ご夫婦の意見がすれ違うことがないようにしっかり話し合っていただきたい。不妊の治療は期間が長くなってくるし、注射などつらい治療もあります。イライラしたところに、ご主人が仕事で疲れて帰ってきて「うるさいぞ」と、険悪な空気になりかねませんよね。

でも、不妊症の治療がもとでケンカをしたのでは意味がないんですよ。たとえ体外受精で子どもを授かったとしても、授からずにご夫婦二人の人生を歩むとしても、それでは幸せに暮らせません。二人仲良く寄り添った楽しい生活のなかに不妊治療をおいていただきたいと思います。
ジネコ:患者さんもきついですが、その方たちと向き合う先生も大変ですね。
吉田先生:不妊治療はこちらも逃げ場がないんですよ。すべて結果ですから。結果が出た場合も出なかった場合も、患者さんには納得して帰ってもらえるようにしたいと思っています。当院では心理カウンセリングや音楽療法などもしていますが、それはまず、最前線にいるドクターが考えていかなければいけないこと。患者さんの目をしっかり見て、この人は何を言ってもらいたいのか、今、どういう気持ちでいるのか、読み取るようにしています。人によってスピードや口調など、話し方を変えて、何とかわかってもらえるように説明することを心掛けていますね。
ジネコ:毎回ですか?
吉田先生:はい。患者さんもそうですが、僕自身も納得する治療をしたいので。患者さんは人生をかけて来ているのですから、こちらも全身全霊で対応するのが務めだと、僕は思っています。

吉田 淳 先生


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愛媛大学医学部卒業。産婦人科・泌尿器科医。東京警察病院産婦人科、池下レディースチャイルドクリニック、東邦大学第一泌尿器科非常勤講師などを経て、1999年木場公園クリニックを開院。不妊症治療の情報収集のため、アメリカや日本国内の不妊症専門施設の見学・研修を数多く積んでいる。不妊治療、特に体外受精においては「何回やれば……」ではなく、1回1回が勝負。スタッフ一丸となり、「一胚入魂」の気持ちで臨むという。B型・みずがめ座。



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