大人の「アトピー肌」、基本ケアをおさらい
ひと昔前は子供の皮膚疾患と考えられていた「アトピー性皮膚炎」。10歳頃から自然に軽くなり、思春期になるとほとんど改善していくというイメージが強かったと思います。それが、最近は大人になっても改善しない人や、一旦は改善したのに再発する人、大人になって突然アトピーを発症する人が増える傾向にあります。
アトピーを引き起こす原因はさまざま。遺伝的なものとアレルギーのほか、汗やホコリによる刺激、激しい乾燥、不規則な生活、ストレスなどが挙げられます。これらの要因が複雑に絡み合って発症することが多く、特に大人のアトピーは、生活環境による影響が大きいと言われています。
症状も子供のアトピーとは少し異なります。顔や上半身に治りにくい湿疹ができ、皮膚の乾燥が激しくなって、ゴワゴワに。湿疹が長期間続くことで、皮膚が厚くなったり、色素沈着が現れることもあります。いずれも強いかゆみを伴うのがツライところ。
冬本番を迎え、乾燥が厳しくなると、アトピーでなくても皮膚がカサカサしてかゆくなります。かゆいからといってかいてしまうと、どんどん悪化してしまうため、まずは保湿をしっかりと。その際、化粧水がしみたり、湿疹を発見したら、早めに皮膚科の診察を受けるようにしましょう。
そこでアトピーと診断されたら、炎症を抑えるための塗り薬(ステロイド外用薬など)で治療を開始。かゆみが強い場合は、飲み薬を併用します。また、大人のアトピーは生活環境によるものも多いため、悪化させる原因(ダニ、ハウスダスト、乾燥、汗や石鹸、引っかくなどの刺激、ストレスなど)をできるだけ取り除くことが大切です。そして炎症が治まった後は、保湿薬によるスキンケアを続け、良い状態をキープします。
<アトピーを悪化させないために、日常生活で気をつけること>
●皮膚をいつも清潔に保つ
アトピーの皮膚はバリア機能が弱くなっているため、汚れや汗、摩擦などの外的刺激を受けやすく、湿疹を悪化させる要因にもなります。石鹸を泡立て、なで洗いをした後、成分が皮膚に残らないようにきれいに洗い流しましょう。ナイロンタオルやゴシゴシ洗いで皮膚を刺激するのは禁物。石鹸やシャンプーはできるだけ低刺激タイプがオススメです。
●お風呂はぬるめに
熱いお風呂に入ると、かゆみがひどくなるので注意して。温泉(特にイオウ泉)にも気をつけます。
●かかない
かゆいところをかくことで、炎症がますます悪化するという悪循環を断ち切ります。また爪は短く切っておきましょう。
●肌にやさしい素材を着用
インナーウエアなど、肌に直接触れるものはチクチクしない、刺激の少ないものを選んで。肌触りのよい柔らかなコットンなどが好適です。
●お掃除はマメに
ホコリや汚れ、ダニをきれいに取り除き、部屋を清潔に保ちましょう。
●快適な温度、湿度
空気の乾燥や高すぎる室温、湿度にも注意。適温の冷暖房、加湿器などで室温、湿度を適度に保ちます。
●規則正しい生活を送る
早寝早起きを心掛け、睡眠時間はたっぷりと。疲れた時は無理せずに休むことも大事です。
●ストレスを溜めない
心理的ストレスはアトピーの症状と深い関係が。不安を感じたり、緊張したり、イライラすることでホルモンバランスが不安定になり、アレルギー反応が出やすくなると考えられるため、上手に気分転換しましょう。
●薬は正しく使う
薬は医師の指示に従い、正しく使いましょう。症状が良くなってきたからといって勝手に治療をやめては、再び悪化する可能性も。
アトピーは症状に波があり、良くなったり、悪くなったりを繰り返すのが特徴。残念ながら、完治させる治療法は見つかっていませんが、症状が落ち着いた状態が維持されると、自然と治ることも期待できると言われています。炎症が治まった後でも、再び悪化することがないように保湿をしっかりし続けることが大切です。
文/蕨 康子
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