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新生児聴覚スクリーニングの役割とは?

インタビュー 子育て・教育

新生児聴覚スクリーニングの役割とは?

「新生児聴覚スクリーニング検査」の検査方法や受けるメリットなどについて、山口病院院長の山口 暁先生にお話を伺いました。

2018.12.17

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「新生児聴覚スクリーニング検査」とは


2017年、母子手帳にも新たに検査項目として記載された「新生児聴覚スクリーニング検査」。近年、厚生労働省も積極的に推奨しているこの検査の内容はどんなものなのでしょうか。検査方法や受けるメリットなどについて山口病院院長の山口 暁先生にお話を伺いました。




「新生児聴覚スクリーニング検査」は以前から実施されていましたが、近年、厚生労働省が積極的に検査を受けることをすすめており、2017年の産婦人科診療ガイドラインにおいても推奨度が上がって、母子手帳に検査結果を記載する欄が設けられています。


聴覚に問題が見つかる赤ちゃんは 1000人に3人程度の割合


この聴覚スクリーニング検査は、国内では20年前に簡便な検査機器が販売され、多くの産科施設で検査が受けられるようになりました。当時から「赤ちゃんの聴覚障害は早く見つけたほうがその後の言語の獲得に有効だろう」と考えられていましたが、検査を受けて早期に診断することで本当にメリットがあるのかどうかはっきりわからない状態でした。


それが10数年経って、赤ちゃんを追跡調査した結果、「やはり早期発見・早期の介入、支援が望ましいようだ」ということがわかってきたので、厚生労働省も積極的に推奨するようになったのではないかと推察されます。


 


お母さんやお父さんの声や周囲の音を聞くため、聴力は赤ちゃんの知能や言葉の発育にとって重要ですが、生まれてきた赤ちゃんのうち1000人に3人程度は、聞こえになんらかの問題があるとされています。


 


新生児の聴覚スクリーニングにはAABR(自動聴性脳幹反応)とOAE(音響放射)という2種類の検査機器があり、当院ではAABRを採用しています。この機器は赤ちゃんにヘッドホンからごく小さな音を聞かせ、その反応を脳波で調べるタイプのものです。5分程度で終わる検査で、赤ちゃんへの痛みや危険はまったくありません。初回の検査は分娩した施設で入院中に受けるのが一般的です。検査代は自費になりますが、自治体からの助成により無料で受けられる地域もあります。当院では5,500円で実施しています。


 


聴覚スクリーニングは「正常」「異常」と診断するものではなく、問題がなければ「パス」、反応が悪ければ「リファー(再検査)」となります。


結果がリファーとなって、その後、専門医療機関などで再検査、精密検査を受けて聞こえに問題があると診断されると、ご両親は「早く治してあげたい」と思うかもしれませんが、聞こえに問題がある赤ちゃんに対して行うのは、人工内耳という手術や補聴器の使用、手話の教育など、その赤ちゃんの状態やご両親の希望によりさまざまです。
また、全体の10%程度ですが、なかには先天性のウイルス感染により聴覚に障害を起こしているケースもあります。この場合においては、生後1カ月以内の早期に診断・治療をすれば改善の可能性があると報告されています。


早くから支援する体制づくりが 赤ちゃんの発育・発達につながる


「赤ちゃんがまだ生後1カ月の時期に障害があると告げられたお母さんのショックは大きい」「地域によっては、検査、治療や支援の体制が十分ではない」など、いろいろな意見がありますが、早く検査を受けて障害を見つけると赤ちゃんにメリットが生じます。それは、早期に適切な介入を早くから始めることにより、言語の発達やコミュニケーション能力の発育で大きな効果を上げることがわかっているということです。ご家族も3歳、4歳になってから障害が見つかるよりも、心構えや環境の準備がしっかりできますね。


 


ただし、検査を受けた後の問題が出てくるケースもあるようです。小さい赤ちゃんの精密検査や治療、支援を行う専門家や専門施設が近くにないという地域もあるかもしれません。これからの課題は、地域の実情に合わせたスクリーニング方式を作っていくことです。産科→専門の医療機関→適切な支援、介入という、安心してお子さんを育てていける体制を構築していくことが大切だと思います。


お話を伺った先生のご紹介

医療法人 成和会 山口病院
山口 暁 先生


日本医科大学卒業。医学博士。産婦人科専門医。日本医科大学付属第一病院、厚生連下都賀総合病院、都立築地産院、日本医科大学付属千葉北総病院 産婦人科・母子センター勤務を経て、1998年に山口病院院長に就任。同院は昭和37年に開院した歴史ある施設。「親切医療」「敬愛の心」「和是尊し」を病院理念とし、妊娠・出産をはじめとした、女性のさまざまなライフイベント、ライフステージに対応できる医療・サービスを提供。

≫ 山口病院

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