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子宮内膜症の手術をするべき?それとも体外受精?

コラム 不妊治療

子宮内膜症の手術をするべき?それとも体外受精?

なかむらレディースクリニック Webコラム

2017.4.9

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子宮内膜症の手術をするべき?それとも体外受精?


2017/4/9 中村 嘉宏(なかむらレディースクリニック 院長)







相談者:きーこさん(会社員 / 29歳)


結婚して10ヶ月。うち6ヶ月は婦人科でタイミング法をしましたが、1度も妊娠しません。私は子宮内膜症、チョコ左4.7cm、持ちで、毎月生理痛もひどくボルタレン座薬を2~3日使用してやっとの思いで乗り越えています。多分内膜症4期手前くらいだと思います。卵管造影では卵管は細いながらも通っていますが子宮内の癒着がひどいようです。


不妊専門クリニックでは「手術は最終手段にしたほうがいい」「体外受精も1つの方法」と言われます。妊娠するには本当にそれしか方法はないのでしょうか? 偽閉経療法で半年生理を止めても内膜症はそんなには良くなりませんか? 毎日選択に悩み、「一生子供が出来なかったらどうしよう」という不安に心が押しつぶされそうです。
手術して、卵巣の機能が衰えたら不妊になりますし、手術しても再発する病気なので、それを考え出したら手術には踏み切れないですし、人工授精から始めてみようかとも考えていますが、可能性は低いと聞きます。主人には「子供が欲しいよりも、痛みに耐えられないって思うなら手術するしかない」言われています。



 



先生は内視鏡外科技術認定医で子宮内膜症手術経験も豊富でいらっしゃいます。子宮内膜症の手術について教えてください。


基本的には腹腔鏡でおこないます。腹腔内をカメラで拡大して観察できるため、小さな病変も発見できますし、子宮の裏側もカメラでのぞき込んで観察できる利点があります。なによりも傷が小さくてすみます。ただ強固な癒着をはがしていくので難易度は高く、また、卵巣機能が低下しやすい手術です。もし質問されている方が35才以上であれば、日常生活が送れないくらい痛みが強い場合やチョコレート嚢腫が大きくて破裂の危険がある場合以外は体外受精を中心とした不妊治療を優先する方がいいでしょう。


偽閉経療法はどのような治療でしょうか。


GnRhアゴニストというお薬を使って月経を止める方法です。月経が止まると月経痛がなくなり、チョコレート嚢胞も一時的に小さくなりますが、お薬を中止すると元の状態に戻ります。あくまでも症状も和らげる対症療法であって、妊娠しやすくなるわけではありません。また、次の治療を再開するまでに半年以上かかることもデメリットです。


先生であれば、どのような選択をされますか?


子宮卵管造影で子宮の癒着がひどいとありますが、卵管の事だと思います。子宮内膜症の3期、4期であれば卵管が癒着していることが多いので、卵管の状態によらず妊娠可能な体外受精が一番いい治療法です。何よりも妊娠することで子宮内膜症は良くなります。月経が止まることと妊娠中のホルモン状態のためです。痛みが強く手術を考えている場合は、卵巣機能の低下を考慮し、手術に先立って採卵し、受精卵のストックを作っておいてから手術をされるのも選択肢の一つです。特に35才以上の方にはお勧めです。




中村先生より まとめ


卵管の癒着も考えられるので、体外受精をおすすめします。偽閉経療法は症状を和らげる対症療法と考えてください。
痛みが強い場合は、卵巣機能の低下を考えて体外受精で受精卵をストックしてから手術に臨まれるとよいでしょう。



 



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お話を伺った先生のご紹介





中村 嘉宏 先生(なかむらレディースクリニック)


大阪市立大学医学部卒業。

同大学院で山中伸弥教授(現CiRA所長)の指導で学位取得。大阪市立大学附属病院、住友病院、北摂総合病院産婦人科部長を経て、2013年より藤野婦人科クリニック勤務。2015年4月なかむらレディースクリニック開院。

なかむらレディースクリニック


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