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産褥(さんじょく)期の体と心の変化とは?

インタビュー 妊娠・出産

産褥(さんじょく)期の体と心の変化とは?

産後女性の体が回復する産褥(さんじょく)期をどう過ごすかについて、ごきそレディスクリニックの小川麻子院長に伺いました。

2018.11.27

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出産を終えた女性の体は、子宮をはじめ妊娠前の状態に戻ろうと変化していきますが、すぐに戻れるわけではありません。この時期を産褥期、“産後の肥立ち”ともいいますが、体はどう変化しどのように過ごすと良いのか、ごきそレディスクリニックの小川麻子院長にお話を伺いました。




出産後、ママの体と心に起こることとは?


赤ちゃんが生まれて胎盤娩出したあとの約2時間を分娩第4期といいますが、そこからお母さんの体が元の状態に戻るまでの6〜8週間を産褥(さんじょく)期といいます。

出産直後から起こりやすい症状としては、後陣痛や会陰切開の痛み、悪露(おろ、産褥期に子宮腔内や産道から排出される分泌物)などがあります。後陣痛は、大きくなった子宮が元に戻るために収縮することで痛みが起こり、経産婦さんは子宮が柔らかくなっているので痛みは強くなりますが、だいたい3〜4日で収まり、4〜6週間で妊娠前の大きさの子宮に戻ります。
会陰切開した場合は、痛みが強ければ産院で痛み止めのゼリーや湿布をもらうことができます。悪露は通常10日ぐらいで収まりますが、あまり頑張って無理をしてしまうと量が増えたり期間が延びたりするので、買い物やお洗濯などの家事は、自分でできそうだと思っても、産後1カ月ぐらいは旦那さんや周りの人に頼んでおくと良いと思います。
疲れるとおっぱいが止まってしまったり、うつにもなりやすくなります。上のお子さんがいる場合は、近くにお友達がいれば保育園や幼稚園などの送り迎えを頼むだけでも全然違いますよ。妊娠中は10カ月の間、女性ホルモン(卵胞ホルモン(エストロゲン)と黄体ホルモン(プロゲステロン))が徐々に増えていきます。女性ホルモンは、妊娠5か月からは胎盤からも分泌されるようになります。しかし、胎盤は出産と共に体外に排出されるので、たった1日でホルモンの値が急激に下がります。


一番大切なのは、産褥期に孤立させないこと


こうした急激なホルモンの低下によって出産直後に起こりやすくなるのは、不安やイライラです。体の方は日ごとに良くなっていきますし、不調があれば病院で言えば診てもらえるので大丈夫。産褥期で一番大事なことは何かというと、お母さんを一人にしないことですね。妊産婦の死亡原因の第1位は自殺です。
2017年から産婦検診というものが始まって、今まで1カ月検診は赤ちゃんだけでしたが、現在はお母さんの状態もみています。一番不安になる産後2週間でまずお母さんの悩みを確認します。
最近は出産年齢が上がってきて、40歳位で初めて産む人も少なくありません。そうするとその母は高齢になっているので、「おんぶして抱っこして、ちょっと寝る間赤ちゃんを見ていてね」とお願いするのも大変で、おそらく里帰りする場所がないのではないでしょうか。
社会に出て十何年もしてから妊娠・出産になって、「自分は何でもできる」と思っているキャリアウーマンもすごく多くて、そんな方は母の話を聞くこともなくなっています。今まで日本で産後うつ病やマタニティーブルーズが少なかったのは、里帰り出産していたからなのですね。実母であればケンカしながらでもいろいろ聞くこともできるし、親のほうも、たとえ腹を立てても娘や孫の面倒は見ますよね。育児を助ける家族構成がなくなっていることが、今一番の問題だと思います。

旦那さんが仕事に行くと、今までお家にいることのなかった女性が子どもと2人きりでポツンとなってしまう。若いお母さんたちは、抱っこしておっぱいをあげて、子守唄を歌ったり語りかけたり……ということが放っておいてもできてしまいますが、何か一つするにしても情報がないと不安で仕方がないお母さんもいます。
赤ちゃんについて困ったり迷ったりすると、昔なら近所のおばさんなどが「大丈夫よ」とか「こんなの普通よ」と言ってくれたりしましたけど、今はおせっかいを言って言い返されると困るのでなかなか言う人も少なくなりましたよね。
それで一人で悩んで、「私がこんなに頑張っているのに、なぜこの子はついてこないの? この頑張りがあと何年続くの? もう無理……」という気持ちになってしまう。不安を感じても、誰にも相談できないお母さんがすごく多いのです。
ちょっと前は抗鬱剤を飲みながら子育てしているお母さんも多かったけど、今はそこまでも行けなくて孤立してしまう。だから最近は産院と行政がタッグを組んで、「変だな? 」と思ったらみんなで助けようという体制になっています。病院によっては産褥ケアをやっているところもありますし、行政でも産褥訪問をしてもらえるので、事前に調べておくといいですね。


大変なのは最初の2週間。夫や周囲にもそのことを知ってもらいましょう


最近は確かにイクメンも、お手伝いするお父さんも増えましたが、夜中に赤ちゃんが泣いて起きてくれるかといったら、ほとんどのお父さんは起きませんよね。
入院中はご飯も出るし、お洗濯をしてくれるところもあるし、ナースコールを押せば応えてくれる環境から、お母さんは退院したらいきなり家事も赤ちゃんの世話も全部やらなくてはいけない状況になるわけです。
だから旦那さんは、産む前よりも奥さんが退院して自宅に帰る時に会社をお休みして、3日間ぐらいは側にいてあげてほしいと思います。ご飯を作ってあげたり、赤ちゃんのオムツを替えたり、その3日間に赤ちゃんはすごく変化するので、そういうことも一緒に楽しみながら助けてあげてほしいですね。
会社に行っていても、昼休みに電話を1本入れるだけでも違うし、2日休みがあるなら「1日は子どもの面倒を見るよ」と言って奥さんに休憩をあげれば頑張れると思います。本当につらいのは、ホルモンの状態が落ち着くまでの産後2週間ぐらいです。その時期は突拍子もないことを言ったり、おかしな行動をしても普通なんだよ、ということをご自身や旦那さん、周りの方にもぜひ知っておいてもらいたいですね。母性はみんなで助けないと育てられませんから。


妊娠期間中に、「助けて」と言える環境づくりを


出産間近になると、周りの方が「頑張ってね」などと声をかけてくれますよね。隣のおばさんとゴミ出しの時にお話をしたり、退院したら「無事お産が済んで帰って来ました。何か困ったら助けてくださいね」と、お菓子でも持参してお願いをしておく。そうすれば、「赤ちゃんの泣き声がすごいけど大丈夫かな」と警察に通報するのではなくて、「大丈夫?」と訪ねて来てくれたり、声を掛けてくれますよね。ネット情報に頼るより、身近な生き字引に聞く方が早いですよ。1カ月も経つとだいぶ子育てに自信が出てきて赤ちゃんのサインがわかるようになるし、体の状態も元気も自然に戻ってきますから、それまでの期間をいかにして乗りきるか、ということですね。

なかなか悩みを言い出せない場合は、産褥検診の時に行うエジンバラ産後うつ病質問票(EPDS)に質問したいことを書き込んだり、母子手帳に思いついたことをポストイットに書いて貼っておくといいですね。「助けてください」とか「困ってます」だけでも相談するきっかけになりますし、冷蔵庫に貼っておいて旦那さんに見てもらってもいいでしょう。
ポストイットなら、子育てに自信がついて見返した時に恥ずかしいなと思ったり、将来子どもに見られたら嫌だなと思うこともはがして捨てれば良いわけです。退院して1週間くらいは書いても書いても足りないぐらい悩みごとが出てきますが、いっぱい書いておいたものがだんだん解決していけば自信にも繋がっていきますね。


まとめ


産褥期の体の不調は病院が診てくれるので心配ありませんし、自然に回復していきます。産後2カ月間は心身共に無理をせず、一人で悩みを抱え込まないよう、家族や周りの人にも理解してもらうことが必要です。妊娠期間中にママ友を作ったり、近所の方にお願いしたり、病院や行政などのサポート機関を事前に調べておくなど、困ったり悩んだりしたときに相談できる対象を作っておきましょう。


お話を伺った先生のご紹介

小川 麻子 先生(ごきそレディスクリニック 院長)


愛知医科大学卒業後、臨床研修医を経て医学博士取得。3児の母であり、次女を出産して5年後の1994年に開業。「女性のための女性によるクリニック」をモットーに、自らの子育て経験も生かした親しみのある産婦人科診療に評判が高い。婦人科の思春期・更年期に応じた漢方薬の処方にも定評がある。

≫ ごきそレディスクリニック

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