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周産期感染症の専門医が教える、 妊婦と感染症の予防

インタビュー 妊娠・出産

周産期感染症の専門医が教える、 妊婦と感染症の予防

妊娠中の感染症は胎児に影響がないか特に心配になります。どんな病気があるのでしょうか?今回は一番注意したい風しんについて、種村ウィメンズクリニック院長 種村光代先生にお話を伺いました。

2018.7.10

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周産期感染症の専門医として伝えたいこと


妊娠中の感染症は、ときに母子を危険にさらすことがあります。


妊娠中は母体の免疫力が低下するためさまざまな感染症にかかりやすく、重症化もしやすくなります。また、母子感染によって胎児の発育・発達に影響を及ぼすものもあります。


多数の感染症のなかでも、特に妊婦さんが気をつけるべき病気についてご紹介したいと思います。


妊娠中に注意すべき感染症No.1は「風しん」


妊娠中に注意すべき感染症はいろいろありますが、そのなかでも近年さかんに問題視されているのが「風しん」です。
風しんはウイルス性発疹症の一種で、発熱、発疹、リンパ節腫脹(炎症などによってはれ上がる状態)を特徴とする急性熱性発疹性疾患です。ただし、発熱は約半数にみられる程度ですし、何も症状のない不顕性感染が15~30%程度あります。


 


風しんに免疫のない、妊娠初期(およそ妊娠20週頃まで)の女性が風しんに罹患すると、風しんウイルスが胎児に感染して、産まれてくる赤ちゃんに先天性風しん症候群(congenital rubella syndrome:CRS)と総称される障害を引き起こすことがあります。


重症化しやすいのは妊娠初期の風しん


先天性風しん症候群にはいろいろな症状がありますが、耳が聞こえにくい、目が見えにくい、生まれつき心臓に病気がある、発達がゆっくりしているなどが知られています。
特に、妊娠のごく初期に罹患すると、赤ちゃんに複数の症状が出てくる可能性が高まります。


妊娠6カ月くらいから先は、お母さんが罹患しても胎児に先天性風しん症候群が出てくる頻度は下がってきます。


風しん予防には妊娠前のワクチン接種が大切


妊娠中の風しんを予防するには、妊娠前の風しんの抗体検査と、免疫のない(あるいは低い)場合にはワクチンの接種が重要です。感染予防に十分な抗体を妊娠前に獲得しておくことが大切なのです。通常は、妊娠初期に風しんの抗体検査が行われることが多いのですが、妊婦さんが風しんの抗体を持っていないことがわかっても、妊娠中の風しんワクチン接種はできません。また、もし妊娠中に風しんに感染してしまうと、妊娠していない場合よりは母体も重症化しやすいですし、有効な治療薬はありませんから、妊娠前から準備をしておくことが必要です。なお、妊娠中の検査で免疫がないとわかった場合には、出産後早期のワクチン接種が推奨されています。この場合には授乳中でもさしつかえありません。


女性だけでなく男性もワクチン接種を!


日本では現在、2020年の東京オリンピック・パラリンピックまでに国内の風しんを排除しようという活動『“風疹ゼロ”プロジェクト』がすすんでおり、2月4日は風疹の日とされ、抗体検査やワクチン接種について積極的に情報が発信されています。


各市町村でも風しん抗体検査やワクチン接種助成事業が実施され、例えば名古屋市では、風しんの抗体値が低ければ、女性だけではなく、パートナーの男性も風しんのワクチンを無料で接種できます。これは、風しんの予防が、妊娠を考えている女性だけではなく、むしろ免疫を持っていない男性にも必要だということです。


現在、子どもの風しんは定期予防接種になって抗体保有率は上がりましたが、免疫のない男性が感染し妊娠中のパートナーにうつるというケースはめずらしくありません。風しんはいまや成人に多い病気で、特に10代後半から50代前半の男性、10代後半から30代前半の女性が多く発病しています。実際、2012~2013年頃に日本で風しんが流行した際も、成人男性患者が多いことが特徴的でした。


風しんは保健所に届け出る重要な感染症


風しんは、現在感染症法に基づく5類感染症に指定されています。医師が風しん患者を診断した場合には、直ちに最寄りの保健所に届け出る義務が生じる重要な感染症です。


妊娠中の風しん感染を予防するためにも、男女共にワクチンを接種し、まずは夫婦で、家族で、そして日本全体で風しんの流行を抑制することがなによりも重要なのです。そして、風しんの予防接種の際には、はしか(麻しん)も一緒に予防できる麻しん風しん混合(MR)ワクチンを受けることをおすすめします。


風しん以外にも注意すべき感染症はある


風しん以外にも母子感染を防ぎたい感染症は多数あります。近年、患者さんの急増が心配されている梅毒は、ペニシリンを中心とする抗菌薬の治療が有効です。


「トキソプラズマ」や「サイトメガロウイルス」「リンゴ病(伝染性紅斑)」は、いずれもワクチンがなく、妊娠前からの予防の手立ては難しいのですが、お腹の赤ちゃんに実際に影響し得る代表的な疾患です。


妊娠初期にこれらすべての抗体検査が必須なわけではありません。しかし、なかでもトキソプラズマは、早期に発見できた場合、妊娠中でもアセチルスピラマイシンなどの薬剤治療という選択肢があります。


サイトメガロウイルスについては、もし免疫がないことがわかっても、普段の生活における注意点を知ることである程度の感染予防をすることが可能です。


妊活前にぜひ感染症チェックを!


妊娠中に注意する感染症は、そもそも症状がほかの病気と似通っているものも多く、医師でも診断を迷うケースが少なくありません。また、不顕性感染で母体に何も症状が出ないのに感染してしまっていた、という症例もあります。


特にこれから妊活するという人であれば、ぜひ、ブライダルチェックや妊活前の血液検査などで抗体の有無を含めて母体の健康を確認し、可能なものはワクチン接種を済ませて、妊娠中の感染症を予防することをおすすめします。


お話を伺った先生のご紹介

種村 光代 先生(種村ウィメンズクリニック 院長)


名古屋市立大学医学部医学科・名古屋市立大学大学院医学研究科卒業、医学博士号修得。名古屋市立大学産科婦人科講師、同臨床遺伝医療部副部長を経て、2008年に開業。胎児スクリーニング、羊水検査、胎児治療、遺伝カウンセリングの症例経験は、全国的にもトップレベルを誇る。名古屋市立大学大学院時代には風疹を中心としたウイルス感染症に興味を持ち、周産期の母子感染による胎児への影響、胎児治療を専門的に研究。
現在も、特に妊娠中の感染症については、自身の専門分野として、クリニックの診療で相談に応じている。


≫ 種村ウィメンズクリニック

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