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要注意! 妊娠中の風しん感染について

インタビュー 妊娠・出産

要注意! 妊娠中の風しん感染について

妊娠中、風しんに感染するとおなかの赤ちゃんに出る影響、また感染への対策などを寺師 恵子先生にお教えいただきました。

2018.12.25

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ここ最近、風しんにかかる大人が増えつつあります。妊娠中に感染するとおなかの赤ちゃんにどんな影響が出るのか、また感染への対策などについて、けい子レディースクリニック表参道の寺師 恵子先生にお教えいただきました。




ワクチンを接種していない世代が増えたのが流行の理由の1つ


最近、「風しんが流行中! 」というニュースを耳にする機会が多くなってきました。なかには「風しん=子どもの病気」と思っている人もいるかもしれませんが、今、流行のもとになっているのは大人の風しん感染です。


大人の間で風しんに感染する人が増えている理由として考えられているものの1つに「ワクチン接種をしていない世代の増加」があります。


かつて学校などで風しんの集団接種を行っていた時代がありましたが、今、30~50代にあたる男性と、30代の女性は学校などでの集団接種を受けていない可能性が高いため、それが流行の一因ではないかともいわれています。


また、もう一つの理由として挙げられるのが「海外からのウイルスの流入」です。今は、海外に渡航して戻ってくる人や、海外から日本にやってくる方もたくさんいます。そういった人の移動にともなってウイルスが日本にやってきて、流行の原因となっている可能性も考えられています。


発熱やリンパ節の腫れなどが主な症状


風しんに感染すると、発熱、耳の後ろにあるリンパ節の腫れ、目が赤くなる、体に発疹が出るなどの症状がみられます。また、感染者の約30%は、かかってはいるものの、症状があらわれない不顕性感染といわれています。


2週間前後の潜伏期間があり、症状が出る1週間ぐらい前から感染力があるため、よく接触する人や家族が感染した場合には注意が必要です。また、不顕性感染でも人に感染させる力はあるので、外出などは控えてください。


特に気を付けたいのが妊娠中の風しん感染


風しんは、感染しても重篤な症状を引き起こすことは少ない病気なので非妊娠時であれば恐がる病気ではありませんが、妊娠中、特に妊娠20週までにかかると問題です。


妊婦さんを通じておなかの赤ちゃんにも感染し、白内障や難聴、心臓疾患など「先天性風疹症候群」と呼ばれるトラブルを持って出生してくる可能性が高くなります。これらは一度かかってしまうと治りづらく、生まれてきた赤ちゃんはそのトラブルと一生つきあっていかないといけなくなる場合もあるので、妊娠中は感染しないように気をつけてください。


妊娠20週以降に妊婦さんが風しんになった場合には、おなかの赤ちゃんに感染する可能性はきわめて低いといわれています。


妊娠中は風しんの予防接種はNG。妊娠前に抗体チェックを


風しんにかからないようにするためには予防接種をしておくことが大切です。妊娠希望の人は、地域の保健センターなどで抗体価を調べることができるので、確認を。検査の結果、充分な抗体がない場合には、できるだけ早めに予防接種を受けましょう。接種後は「先天性風疹症候群」のリスクを避けるため、3カ月間は妊娠を避けてください。


 


風しんの予防接種は、生きている病原体を体内に入れ、自然感染した時のような免疫をつけさせる生ワクチンなので、妊娠中は接種NGです。すでに妊娠をしている場合は、ウイルスと接触しないようにすることが予防するうえでとても大切なポイントになります。


 


今は国から各企業の健康管理者に対して「職場で風しんの感染者が出た場合、妊婦さんは出社しなくて良いこととする」という通達を出しているので、働く妊婦さんは職場での感染状況をチェックしておいてください。


また、妊婦さんと頻繁に接触するパートナーや家族も風しんの抗体があるか調べ、ない場合にはすみやかに予防接種を受け、妊婦さんとおなかの赤ちゃんを風しんウイルスから守るようにしてください。


今は、妊娠を希望する女性やその配偶者などに抗体検査や風しんの予防接種の費用を助成している自治体もあります。助成の範囲や条件などは自治体によって異なりますので、事前に確認をしておくといいでしょう。


妊娠中に「風しんかな」と思ったら、まずは電話連絡


もし、妊娠中に耳の後ろが腫れている、発熱、発疹など「風しんかも」という症状が現れると、心配になって一刻も早く産婦人科の先生に診てもらいたいと思う人もいるかもしれません。


ただ、いきなり病院へ行ってしまうとほかの妊婦さんに感染させてしまう可能性があります。まずはかかりつけの産婦人科医に電話で相談するようにしましょう。


寺師先生より まとめ


パートナーや周りの人も含めて風しんの感染を防いで


30~50代に当たる男性や30代の女性など風疹の予防接種を受けていない世代がいることや、海外からのウイルス流入が多くなったことが原因で、近年風しんが流行しています。


妊娠20週までの妊婦さんが風しんにかかってしまうと、胎児にも感染し、難聴や白内障、心臓疾患などのトラブルがみられる「先天性風疹症候群」になる可能性があるので、注意が必要です。
妊娠を希望する女性は、早めに抗体検査をし、予防接種をするようにしましょう。


現在妊娠中の場合は予防接種を受けることができないので、ウイルスに感染するリスクを減らすようにしてください。


また、妊婦さんのパートナーや周囲の人も風しんの抗体を調べ、十分な抗体がない場合には予防接種をし、みんなでおなかの赤ちゃんを守ってあげてくださいね。


お話を伺った先生のご紹介

寺師 恵子 先生(けい子レディースクリニック表参道 院長)


東海大学医学部医学科卒業 
医師国家試験合格後東京、新宿、国立病院医療センター(現、独立行政法人国立国際医療研究センター)産婦人科入局。研修医、レジデントを経て、医員として産婦人科全般を診療。その後日野市加来産婦人科医院副院長。休日は愛犬ななちゃん、茶々とのお散歩を2時間ほど楽しんでいる。

≫ けい子レディースクリニック表参道

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