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自宅でできる妊活と話題! セルフシリンジ法のこと教えて

コラム 妊活

自宅でできる妊活と話題! セルフシリンジ法のこと教えて

性機能障害の男性が増えるなか、女性の腟に精液を注入するシリンジ法が注目されています。“自宅でできる妊活”ともいわれ、自然妊娠を望む夫婦にとっては嬉しい知らせ。詳しい内容について赤坂レディースクリニック院長の下川理世先生に伺いました。

2019.12.2

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性機能障害の男性が増えるなか、女性の腟に精液を注入するシリンジ法が注目されています。“自宅でできる妊活”ともいわれ、自然妊娠を望む夫婦にとっては嬉しい知らせ。詳しい内容について赤坂レディースクリニック院長の下川理世先生に伺いました。


※2019年11月25日発刊「女性のための健康生活マガジン jineko vol.44 2019 Winter」の記事です。


お話を伺った先生のご紹介

下川 理世 先生(赤坂レディースクリニック 院長)


山口大学医学部卒業後、慶應義塾大学医学部産婦人科、市川総合病院産婦人科・リプロダクションセンターなどを経て、2016年、赤坂レディースクリニック院長に就任。わかりやすく的確な指導が患者さんから好評。休日はバラエティ番組を観ながらリラックスと充電をする。日本産科婦人科学会専門医。


≫ 赤坂レディースクリニック

勃起や射精できない30~40代男性が増えている


最近、妊活中の男性に、勃起しないとか女性の腟内で射精できないという性機能障害に悩む人が大幅に増えています。厚生労働省の統計でも、性機能障害が男性不妊の原因の上位を占めています。
考えられる一番の原因は、妊活する男性が30~40代と高齢化しているためです。性機能障害は加齢とともに誰でもなりやすい自然現象ですが、そこに高血圧や高脂血症、糖尿病などの持病が出はじめ、薬などの影響で勃起しなかったり、射精できなくなる男性が増えているのです。
また、30~40代の男性は仕事が忙しい盛りで、精神的・肉体的に大きなストレスがかかり、夜遅く疲れきって帰宅することが多くなります。そういうライフスタイルが性機能障害の男性を増やしているのでしょう。
自然妊娠を望む夫婦にとって性機能障害は大きな壁です。しかし、性交渉をもてないことだけが不妊の原因だったら、人工授精をすれば妊娠する可能性はあります。当院でもそういう夫婦が受診され、カウンセリングを経て、すぐに人工授精をされます。


病院に行かずとも自宅でできるセルフシリンジ法


現在、性機能障害の治療には持病を治したり、男性専門の不妊外来でカウンセリングをする方法があります。しかし、すぐに勃起不全や射精障害が治って性交渉をもてるようになるかは定かではありません。かといって病院を受診して人工授精を試みるには、精神的にも金銭的にもハードルが高いと感じるご夫婦も多いでしょう。
そこで今話題になっている、自宅でできるセルフシリンジ法をまず二人で試してみてはどうでしょうか。
シリンジ法とは注射器のような器具にご主人の精液を入れ、それにシリコン製の太い管を取り付けて、奥様の腟内に挿入して精液を注入する方法です。夫婦の性交渉を補助する妊活手段といえます。腟への挿入の仕方は、生理の時に使うタンポンに似ています。
セルフシリンジ法のよいところは、勃起不全や射精障害の悩みを抱える夫婦にでも、自宅で自然妊娠できる可能性があることです。病院で受診するという精神的な負担もなく、費用も専用の器具代だけですみます。また、ご主人側だけでなく、子宮内膜症などの理由で性交痛がひどくて、性交渉できない奥様にも、シリンジ法を試す価値はあります。
精液を入れる注射器の筒をシリンジと呼ぶので「シリンジ法」と呼ばれていますが、ほかに「腟内精子注入法」という場合もあり、特に決まった呼び方はありません。



人工授精とは違う性交渉の代替手段


インターネットなどでシリンジ法を“簡易的な人工授精”と勘違いした書き込み記事を見かけます。しかしシリンジ法と人工授精とではまったく次元が違うことを知っておいてください。
人工授精は医療の技術で妊娠することを目的とした行為で、医療従事者が行います。ご主人の精液を培養士が不純物を振り落とし、元気な精子だけを選別します。そして医師が、排卵直前の奥様の腟のもっと奥にある子宮に精子を注入します。また、排卵日を調べる血液検査や尿検査をしたり、奥様の体の状態をみて、排卵を人工的にしたり卵胞を育てるための薬を使ったりもします。
一方、セルフシリンジ法は先ほども言ったように、専用の器具を介して、勃起しなかったり腟内で射精できないご主人にかわって、奥様の腟に精液を注入するもので、夫婦の妊活を自宅で補助するものです。
シリンジ法の専用器具は使い捨てのため、毎回新しいものを使ってください。腟の近くには肛門があり雑菌も多いところ。腟はデリケートなので、刺激や炎症を避けるため、使い回しはやめましょう。逆に、神経質になりすぎて、腟のまわりをアルコールで除菌するのはちょっとやりすぎ。アルコールの刺激が強すぎて精子が死んでしまうことがあります。
また、腟にタンポンや薬剤を入れることに怖さを感じたり、腟の場所がわからないという奥様もいらっしゃるでしょう。そういう場合はご主人に器具を挿入してもらうなどして、二人で協力しながら行ってください。
ちなみに射精した精液中の精子は空気に触れてもすぐには死にません。半日くらいは生きているので慌てないで、ゆったりした気持ちで行いましょう。


セルフシリンジ法は6周期まで、夫婦に合った回数を


セルフシリンジ法を行う目安は6周期までと考えましょう。6周期行っても妊娠しなければ、性機能障害ではない別の原因が考えられます。男性では無精子症や乏精子症、精索静脈瘤、女性では卵管閉塞や無排卵月経、子宮内膜症などがあり、検査をすれば原因がわかることもあるので病院で調べてください。
妊娠は性交渉の回数が多いほど確率が高くなります。そして排卵日2日前がもっとも妊娠しやすく、次いで排卵日1日前、排卵日3日前です。ご主人がプレッシャーにならなければ、排卵日前に2回以上はセルフシリンジ法を試すとよいでしょう。逆にご主人が、回数や日にちがあるとストレスになってしまうようでしたら、二人に合ったペースで行ってください。
妊活は夫婦協同で行うのが理想ですから、一方が先走ったり相手任せになるのではなく、二人の気持ちが一緒に向くように、お互いに助け合ってほしいです。夫婦間でズレがあった時はちょっと休んでリフレッシュしましょう。そして「赤ちゃんが欲しいね」という気持ちが再びお互いに高まったら、セルフシリンジ法で妊活を再開しましょう。


出典:女性のための健康生活マガジン jineko vol.44 2019 Winter
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