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妊活を始める前にやっておきたい準備と心構えとは

インタビュー 妊活

妊活を始める前にやっておきたい準備と心構えとは

最近では「妊娠したい」と思ったら、比較的早い段階から妊活や不妊治療を始める人も増えてきました。そこで治療を始める前に知っておいてほしい知識や情報について聖マリアンナ医科大学病院の洞下由記先生に伺いました。

2021.4.14

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「生理さえあれば妊娠できる」というのは間違った知識です




まず、妊活や不妊治療を始める前に知っておいてもらいたい知識の一つに「生理と妊娠の関係」があります。
最初に妊娠のメカニズムについて説明します。

妊娠は、男性の精子と女性の卵子が、女性の体内にある卵管の中で出会って受精して、子宮に着床することで成立します。1回の射精で数千万〜1億個くらいの精子が射精されますが、子宮の中を通って卵管に到達する精子はそのうち1割くらいです。女性は1回の月経周期で1個の卵子が排卵されます。

毎回新しい精子がつくられる男性と違い、女性の卵子は新しく作られることはありません。もって生まれてきた約200万個の卵子を使い続けて1000個を切ると閉経します。1回の生理で約100個〜200個を使って、よりよい1個が排卵します。年齢とともに卵子の数は減って、質のいい卵子から排卵していくため、35歳すぎると排卵しても妊娠しにくくなってきます。具体的には、20代では2回排卵があると、そのうち1回は妊娠する卵子が排卵します。それが30代前半になると3~4回に1回、35歳以降になると5~6回に1回しか妊娠に至る卵子は排卵されません。毎月排卵していても、加齢とともに妊娠しにくくなるのです。

さらに、閉経前の約5年は、排卵は毎月していて月経は順調でも、妊娠する卵子が残っている事は極めて稀です。日本人の平均閉経年齢が50歳といわれているので、45歳を過ぎると毎月生理がきていたとしても妊娠するのがきわめて難しい状況にあるのです。

「生理があるうちは妊娠できる」と思っている方が多くいるようですが、実際はそうではないことを知っておきましょう。


 


35歳過ぎてから子どもが欲しい場合はすぐに受診を


日本産科婦人科学会では、健康な男女が避妊せずに性交しているのに1年間妊娠しない場合に「不妊」と定義しています。先ほど述べたように妊娠率は年齢とともに落ちてきます。

20代なら妊娠しなくても1年間様子をみていいと思いますが、もし35〜40代で子どもが欲しいと思ったら、なるべく早めに産婦人科や不妊専門クリニックを受診し、妊娠するためにどうしたらいいか相談することをおすすめします。


 


まずはご自身の体の健康状態をチェックして!


年齢にかかわらず「妊活しよう!」と思った時に、「とりあえずどんなことをすればいいのかな」と、考える人も多いでしょう。

まずは産婦人科を受診し、ご自身の体の健康状態、何か婦人科の病気をもっていないかを確認してください。

なかでも大切な
1) がん検診
2) 子宮と卵巣に腫瘍などができていないか(超音波検査でわかります)

今はまだパートナーがいない場合でも、いずれ妊娠を考えていて、20歳を過ぎているならばぜひチェックをしてみましょう。

より積極的に検査をする場合は、卵管がとおっているかどうか(女性)と精子がいるかどうか(男性)の検査をしましょう。頻度は低いですが、卵管が両側閉鎖していたり、精子が全くいない場合は、自然妊娠はほぼ不可能です。精子の検査は不妊治療を行っているクリニックや総合病院の泌尿器科などで行う事ができます。


 


自分が「いいな」と思った病院を選んでOK


妊活や不妊治療を始めるにあたり、「どんな病院を選んだらいいの」という質問も多く見受けられます。
まずは通院負担がかからない近くの病院で十分です。もともと持病がある場合には、主治医の先生に妊娠したいことを伝えましょう。場合によっては、大きな病院をすすめられることがあります。

総合病院と開業医で悩む方もおられます。一長一短で、どちらがいいとは言えません。体外受精まで行っているクリニックはより不妊治療の専門性が高いと言えるでしょう。治療についての説明がわかりやすいか、自分が話しやすいかなどは実際に受診してみないとわからないこともあります。

今すでに通院されていて、なかなか妊娠しないこともあるかもしれません。特に理由がないのに同じ治療を6カ月以上続けていて妊娠しない場合は、より専門性の高い病院に転院してみてもいいかもしれません。


 


普段の生活を見直すことも立派な「妊活」に


やはり体調が良く健康的な状態であるほうが、妊娠しやすくなります。普段の生活を見直すことも大切で、十分な睡眠時間をとって、ストレスを減らす工夫をしましょう。

太りすぎ、やせすぎも要注意です。どちらも標準体重の人に比べて妊娠や出産のトラブルをひきおこしやすくなります。BMI18.5~25くらいが標準体重なので、その範囲内を維持するようにしてください。

また、喫煙は論外です。タバコは卵子を老化させ、著明に卵子の質は下がります。妊娠希望の場合、禁煙は必須です。ご主人が喫煙者の場合、精子所見が悪くなることがあります。有毒な物質が含まれているという副流煙の問題もありますので、ご主人にも協力してもらい、禁煙や分煙をおすすめします。


 


ストレスを溜めない工夫をすることも重要


妊活や不妊治療ではストレスがつきものです。先の見えない不安でイライラしたり落ち込んだり、本来の“自分らしさ”がなくなっていくような感覚を覚える方もいらっしゃいます。なかなか気持ちの切り替えは難しいと思いますが、不妊治療のことを考えない時間が大切です。
趣味があればそれを楽しんで下さい。映画やお笑い番組を見るなど、治療のことを考えなくて済む時間を大切にしましょう。

また、自分が受けている治療を理解できると、ストレスが減ることがあります。不妊治療に出てくる言葉は多少難解なものもありますが、誰でも適切な説明をうければ理解できます。
先生にうまく質問できない場合は、是非、紙に書き出しておくことをおすすめします。また、知識豊富な看護師さんや薬剤師さんもいらっしゃいますので、そういった方に質問するのもいいと思います。


 


治療の進め方で夫婦で意見が分かれた場合の対策法


妊活や不妊治療をする場合、妻と夫の意見が一致していればいいのですが、なかなかそうはいきません。男性と女性では捉え方も異なるので、認識の違いやズレなどがどうしても起こることがあります。

実際に「夫が不妊治療に協力的ではない」、「自分は体外受精にトライしたいが、夫が消極的」「排卵日の性交渉が義務のようでつらい」、など、治療に対する夫婦でのズレで悩む患者さんの様子を見てきました。

ご主人が治療に前向きでない場合は、まず一度でいいので病院に一緒にいくことをおすすめします。最近はご夫婦で来院しているケースも多いので、実際に病院に来てみると「男性も結構来ている」と感じて、不妊治療に対するハードルが下がるご主人も多くいらっしゃいます。

また、病院へ一緒に行くのが難しい場合に「診察のときは絶対夫婦で行かないとダメ」というスタンスで話をすると、男性はひるんでしまい、二の足を踏んでしまうことも…。
「夫婦一緒に病院へ行くのもいいし、まずは私だけ受診するのもいいし、パンフレットだけ一緒にもらいに行くという方法があるけれど、どれがいい?」と多くの選択肢をあげておくと、すんなり受け入れられるようです。
最近は妊娠についてわかりやすくまとめた本や不妊治療の雑誌もたくさん出ているので、まずそれを読んでもらうのもいいかもしれません。

治療が進んできたときにご夫婦で意見が異なるケースもあるでしょう。2人で話し合うのも大切ですが、なかなか着地点が見つからない場合は、医療機関のスタッフの力に頼るのも一つの方法です。
医療機関によっては、カウンセラーや、不妊治療に精通した看護師さんがいらっしゃるところもあるので、専門家を交えて話し合い、解決の糸口を探ってみるのもいいでしょう。


 


助成金制度を把握しておくと「お金」へのストレスが軽減


不妊治療にかかる費用の多くが自費のため、どうしても病院へ支払う金額が高額になってしまう場合があります。
「排卵や移植などの予定がつきづらいので仕事を減らしたいけれど、治療費のことを考えるともっと働かないといけない…」と、治療費について不安を抱えている人も少なくありません。

そんな方々をサポートするために、今は不妊治療中の患者さんに対して国から助成金が交付されます。交付に際しては条件などがあるため、一度、厚生労働省のウェブサイトにアクセスし、内容をチェックしてみましょう。
上記とは別に居住地域の都道府県から助成が出る場合もあります。住んでいる自治体のサイトやお知らせなどを確認してみてください。

これらの情報を収集しておくだけでも、お金への不安やストレスを軽減させることになると思います。


 


不妊治療を始めるにあたって、洞下先生よりメッセージ


まずは医療機関による検査を受けて、自分のからだの状態を知っておきましょう。知ることによって、必要な生活習慣の改善や治療をスムーズに始められると思います。
そして、不妊治療中は適度にリフレッシュすることが大事です。医療機関や自治体などのサポートを活用し、妊娠、出産にむけて、一つ一つ工夫をしながら治療を進めていきましょう。


 


お話を伺った先生のご紹介

聖マリアンナ医科大学病院  洞下 由記 先生


2002年聖マリアンナ医科大学医学部卒業、現在は聖マリアンナ医科大学医学部助教。日本産科婦人科学会認定専門医、日本生殖医学会生殖医療専門医。
医師が治療方法を決めて患者さんに同意を求めるのではなく、治療の主役である患者さんと情報を共有し治療の方向性を一緒に決めていく「シェアードディシジョンメイキング(Shared decision making)」を実践している。


≫ 聖マリアンナ医科大学病院

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