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妊娠初期の出血。どんな状態なら病院へ行くべきか

インタビュー 妊娠・出産

妊娠初期の出血。どんな状態なら病院へ行くべきか

妊娠初期の出血は心配になるものです。出血=流産か、違う要因かについて吉田クリニックの天野完先生に解説していただきました。

2018.8.17

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妊娠初期に出血すると「流産かも」と心配になってしまうものです。 出血=流産なのか、それとも違う要因を示すサインなのかについて、吉田クリニックの天野 完先生に解説していただきました。





出血は妊娠初期によくある症状の1つ


個人差もありますが、妊娠初期にはさまざまな体調不良が起こります。腰痛や頭痛、つわりなどもそれらのうちの1つです。風邪のような症状を感じる人や頻尿になる人もいます。また、妊娠を継続するために必要な黄体ホルモンがたくさん分泌されるため腸の動きが鈍くなり、便秘がちになる人もみられます。


それと同様に、妊娠初期に出血することも珍しいことではありません。


 



出血してもおなかの赤ちゃんには影響がないケースもある


妊娠初期に起こりやすい出血を伴うトラブルにはさまざまなものがあります。 まずは、出血がみられてもおなかの赤ちゃんに影響がなく、妊娠の継続が可能なことが多いケースから解説します。


 


〇着床出血


受精卵が子宮に着床する際、わずかに出血することがあります。


 


〇子宮腟部のびらん


子宮腟部が赤くただれている状態が子宮腟部びらんです。ただれてデリケートになっているびらん部分に刺激が加わると、出血することがあります。この出血が妊娠継続に影響を与えることはありません。


 


〇絨毛膜下血腫


妊娠が成立し、胎盤ができあがっていく途中で絨毛膜(じゅうもうまく)の外側に血が溜まってしまうのが絨毛膜下血腫です。超音波で血が溜まっている状態を確認できます。妊娠継続は可能で、血が溜まることで子どもの発育に影響が出ることは基本的にはありません。多くの場合は、外出血とともに自然に子宮内で吸収されることで消失しますが、まれに妊娠中~後期まで残るケースがあり、感染や早産などの原因になることもあります。


 


〇切迫流産


まさに「流産しかけているかもしれない」状態のことです。 妊娠反応があり、胎嚢が子宮内にあり、赤ちゃんの心拍も確認できる状態で断続的に出血がある場合には、切迫流産の可能性があります。


切迫早産と診断されても安静は指示されますが、特に有効な薬物療法はありません。妊娠初期はホルモンの影響で血が固まりやすいため、血栓塞栓症(エコノミー症候群)といって血の塊が静脈や動脈を塞いでしまい、脚がむくんだり、ひどいと呼吸困難で命にかかわるようなトラブルにつながることがあります。


そのため、寝たきりや安静にしすぎるのは禁物です。長時間横になって休む時は膝や足首を積極的に動かすようにしましょう。日常生活は普段通りで構いません。主治医から「仕事は普段通りに」と指示があれば、仕事を続けてもかまいません。


 


〇子宮頸がん


子宮頸がんに罹患している場合、少々の刺激で出血する可能性があります。がんの進行状況によって異なりますが、妊娠中に前がん病変やごく早期のがんが発見された場合には、定期的に経過観察をし、多くの場合は出産後に治療を行うことになります。


 


〇子宮筋腫


子宮筋腫がある場合も、子宮頸がん同様、妊娠中は経過観察を行い、通常は妊娠中に手術を行うことはありません。


 


〇卵巣のう腫


妊娠に伴うホルモンの影響でしばしば卵巣に液体が溜まる(超音波検査で黒く描出される)卵巣のう腫がみられます。多くの場合12週頃までには縮小しますが、卵巣の大きさが6cm以上になったケースでは茎捻転の可能性があり、手術が考慮されることもあります。超音波で充実性部分がみられる場合(超音波で白くみえる)は悪性かどうかを確認しなければなりませんが、妊娠中には皮様嚢腫(デルモイドのう腫)の可能性が高く、手術を考慮しての経過観察が必要になります。


 



残念ながら妊娠の継続が難しい場合もある


出血が見られた場合、残念ながら妊娠の継続ができない主なケースについて解説します。


 


〇進行流産


妊娠反応があるが、生理程度の量の出血がみられ、さらに腹痛をともなう場合は、進行性流産の可能性が考えられます。すでに子宮口が開き、頸管が収縮して子宮内の胎児(胎芽)を押し出そうとしている状況のため、妊娠の継続はできません。


進行性流産には、胎児とともに胎盤などがすべて外へ排出される完全流産と、胎盤などの一部が子宮内に残る不全流産(稽留流産)があります。


完全流産の場合は、すべてが外に出た後は自然と子宮が元通りになろうとするため、一般的には経過観察になります。不全流産の場合は、子宮内に残ってしまっている付属物を除去するための手術<子宮内容除去術>が必要になりますが待機的に経過観察する場合もあります。


なお、12週までの早期流産の原因の多くは受精卵の染色体異常であり、安静、薬物療法により予後を改善することは期待できません。


 


〇異所性妊娠(子宮外妊娠


卵管や頸管など、赤ちゃんが育つことができる子宮腔以外に受精卵が着床してしまった状態を異所性妊娠といいます。妊娠反応はあっても、出血があり子宮内に胎嚢が見られず子宮腔以外の部位に胎嚢がみつかった場合には、異所性妊娠と診断されます。


ただどこにも胎嚢が見えない場合は、正常妊娠で排卵が遅れたことにより妊娠早期で確認できない可能性があるので、異所性妊娠を念頭に置きながら1週ごとに経過観察する必要があります。


異所性妊娠と診断されれば妊娠継続は不可能であり手術療法や薬物療法などの処置が必要になります。


 


〇胞状奇胎


胞状奇胎とは、卵子と精子が受精する際に何らかの異常が起こり、胎盤の一部である絨毛という組織が、嚢胞と呼ばれるぶどうの粒のような状態になる異常妊娠です。超音波で診断されますが、通常の妊娠に比べてhCGホルモンが異常に高い数値を示し、出血や重いつわり症状がみられます。


胞状奇胎と診断された場合は子宮内容除去術を行い、術後は基礎体温計測のうえ、次回の妊娠が可能と判断されるまでは避妊し、血中hCG値の推移を確認する必要があります。


 



出血がみられたら必ず受診を!


よく「どのくらいの量出血したら危険ですか」「鮮血が出ると流産ということでしょうか」と、妊婦さんから聞かれます。


妊娠初期の場合は、出血の量や色、出血している期間などだけでどんなトラブルかを推測することは難しいのです。出血が見られた場合には、色や量などにかかわらず、必ず医療機関で診察を受けるようにしましょう。


 



主治医の指示に従い普段通りの生活を心がけて


妊娠初期に出血が見られた場合に気を付けることは、安静を心がける必要がありますが、日常の生活は普段通りで構いません。


出血をしているので、いつも以上に激しく動く必要はありませんが、切迫流産の解説でも述べたように、ずっと安静にしていたからといって必ずしも流産を避けることにはなりません。極端な安静を続けることによって血栓塞栓症によるトラブルを引き起こすケースもあるので、水分と食事をきちんと摂りつつ、普段通りの生活を送るようにしましょう。


 






天野先生より まとめ



「不安や異変を感じたら迷わず医療機関へ」

妊娠初期は妊娠が正常な状態で順調な経過をたどっているかどうか判断がつきづらい時期です。着床出血のように生理的なものなのか、そうではなくて病気やトラブルのサインなのかは医療機関で診察してみないと判断がつきません。「わずかな出血なのに病院に行ったら迷惑かな」などと考えず、妊娠初期に異変を感じたり、不安に思う症状がみられたら医療機関を受診するようにしてください。
また、今は妊娠初期に全員の方が子宮頸がんの検査を受けます。そこで異形成やごく早期のがんが発見された場合、不安やストレスを抱えたまま妊娠生活を送ることになります。そうならないためにも、妊娠前から子宮がん検診を定期的にうけておくことが大切です。





 


お話を伺った先生のご紹介

天野 完 先生(産婦人科 吉田クリニック)


名古屋市立大学医学部卒業 医学博士。北里大学病院、横須賀共済病院産婦人科部長、北里大学医学部産科婦人科学 診療教授、北里大学病院産科科長 周産母子センター長を歴任し、現在は吉田クリニック、北里大学産科婦人科学 客員教授を兼務している。平成26年度産科医療功労者、厚生労働大臣表彰を受賞。母子にとっての安全を第一に考えた妊娠・分娩管理をモットーとして、40年以上にわたり大学病院で無痛分娩に携わってきた日本における無痛分娩の第一人者。妊婦やご家族に無痛分娩について正しく理解し、納得して選択してもらうよう、月1回「無痛分娩教室」を主催している。
※吉田クリニックの「吉」の漢字は、正しくは「土」の下に「口」です。


≫ 産婦人科 吉田クリニック

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