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検査薬陽性→受診、排卵日の推定がなかなかできません

コラム 不妊治療

検査薬陽性→受診、排卵日の推定がなかなかできません

ユーザーの悩みのなかに「医師とのコミュニケーションがうまくいかない」と困っているケースをよく見受けます。質問するためには、どんなことを知るべきか、また、どんな質問を投げかけるとよいか、秋山レディースクリニックの秋山芳晃先生にお聞きしました。

2018.12.16

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※2018年11月22日発刊「女性のための健康生活マガジン jineko vol.40 2018 Winter」の記事です。


相談者:夢さん(29歳)
● 卵胞エコーチェックでわからないといわれました
現在通院によるタイミングをとっており、自宅での排卵検査薬と病院でのエコーでの排卵日予測でタイミング治療6周期目に入っています。周期もバラバラで29~36日のため、D12あたりから①排卵検査薬を使い、陽性が濃くなってきたら病院へ検査に行っています。今回も自宅で排卵検査薬が②弱い陽性を示したのでD14日目にチェックをしたのですが、左は見えず、右が1.3mm。医師からは③「排卵済みなのか、これから大きくなるのかわからない」といわれてしまいました。排卵検査薬も1日1回17時に使うだけなのでD13の強陽性を見落としたのか、エコーでもわからないといわれるとどうやってタイミングをとっていいのかわかりません。半年頑張っていますが、ほかに何かできることがないか医師に聞いても「若いから焦るなよ」としかいってくれず……。夫婦そろって④毎日タイミングがとれないので、どうしたらいいか困り果てています。

ドクターにはこう聞いてみよう!
医師の対応があいまいなのは
患者の意志が伝わってないから?
患者さんに積極性を感じないと医師は一歩引いてしまうことも。希望されていないようなら強制はできませんから。「排卵日をちゃんと特定したいんです」とはっきりご希望を伝えていただければ、対応も変わってくるのでは。

お話を伺った先生のご紹介

秋山 芳晃 先生(秋山レディースクリニック)


学附属病院、国立大蔵病院に勤務後、父親が営んでいた産科医院を継ぎ、不妊症・不育症診療に特に力を入れたクリニックとして新たに開業。

≫ 秋山レディースクリニック

検査薬の判定で受診日を決めて排卵日を推定するのは難しい


①排卵検査薬を使い、陽性が濃くなってきたら病院へ検査に行っています。

排卵検査薬の反応が強くなったら病院を受診しているということですが、それは担当の先生の指示なのでしょうか。排卵が不規則な傾向にあるのなら、その日1回の卵胞計測での排卵日確定は困難となることがあるかもしれません。
先生から「次は何日目に来てくださいね」という指示があるようならその通りに受診してみる。特にそのような指示がなければ「生理がきてしまったら、何日目に診てもらえばいいですか?」と聞いてみてはどうでしょうか。
ご自宅での検査薬の結果だけで予測して受診日を決めるのは、自己タイミングとほとんど変わらず、排卵日をより確実に推定できない可能性があります。


排卵が不規則な人は検査薬を使ってもはっきり陽性にならないことも


②弱い陽性

排卵検査薬は脳から分泌される排卵の引き金であるLHというホルモンの上昇を尿で調べる方法です。
検査の陽性反応はLHのピークが生じたことを意味しますが、LHの下降期にも陽性になることがあるので、予想される月経開始日の17日くらい前から毎日検査を行い、そのキットの陽性の目安と同じ程度か、それより強くなった時を陽性と判断します。状況により、1日に2回行うとさらにはっきりするかもしれません。
検査陽性から2日以内に排卵する確率は84~91%という報告があります。しかし、排卵が極端に不規則な方の場合、検査を開始する時期の判断が難しかったり、夢さんのように弱い反応が続き、最後まではっきりした陽性にならないことがあります。


経時的変化を細やかに見ていくことが必要


③「排卵済みなのか、これから大きくなるのかわからない」

私たち医師がタイミングを見ていても、「排卵日がなかなかつかめず、いつの間にか排卵してしまっていた」という経験もあります。そのようなことを避けるために、できるだけ数多く卵胞計測をしていく、あるいは採血をしてホルモン計測を行っていくという方法で対応しているんですね。
また、あやしい場合は「タイミングはできるだけみていきますが、予想外のことも起こりうるので、ご自分たちのタイミングで可能な時は積極的に性交渉をもってください」とお願いすることも。
特に夢さんのように周期がバラバラな方だと早めの時期から病院に来ていただいて、経時的な変化を細やかに見ていかないと卵胞が大きくなって排卵するかどうかわかりません。一度診ただけでは予測は難しいので、通院回数が増えてしまうかもしれませんが、患者さん側もそのような心積もりで治療に臨んでいただけるといいですね。
1回だけ診て、「排卵しているのかわからないですね」で、その周期が終わってしまったらもったいない。治療費や手間をかけて病院に通っている意味がないと思います。


排卵日を意識しすぎず週2、3回の性交渉を


④毎日タイミングがとれない

排卵してから生理がくるまでの期間は約14日間といわれています。実際には11~17日くらいと人によって幅がありますが、生理が順調であれば予定の生理開始日から逆算して17~11日前までの間にできるだけ多く性交渉を行うという対応もあるかと思います。
排卵日を意識しないで隔日、あるいは週に2、3回性交渉を行っていくのと、タイミングを意識して性交渉を行っていくのと、どちらも妊娠率は変わらないという説もあります。
性交渉の機会がもともと多く、不妊期間の短いご夫婦であれば、特に排卵日を意識しないで性交渉をもっていただき、数カ月様子を見てもよいかと思います。
夢さんのご夫婦のように毎日タイミングがとれないという場合は、週に2、3回程度でよいのでは。無理して回数を増やしたり、排卵日にピンポイントで義務のようにもとうとすると、今度はそれがプレッシャーになって、ご夫婦仲がうまくいかなくなってしまうこともあります。ある程度排卵日を意識することは必要だと思いますが、ご夫婦にとってストレスになりすぎないようにしていただきたいですね。


患者さんからも積極的に意思表示を
治療の幅が広く、ご夫婦ごとに考え方が異なる不妊治療の場合、時に患者さん側と医師側で意識のズレが生じてしまうことがあります。
今回紹介したケースでは、もしかしたら夢さんは排卵検査薬での判定を基本に考えていて、それを確認する形で受診しているのかも。医師側としたら「この患者さんは詳しく診てほしいと考えておらず、この程度の診察を希望されているかも」と思っているかもしれません。それが夢さんにとって、甘い診断をする先生という印象になってしまうことも。「ズレを埋めるためには、意思疎通を図ることが重要だと思います。まず、なぜ病院で診てもらっているのかという意味を考えて、疑問に感じたことやご希望をはっきり伝えていただきたいと思います」(秋山先生)
患者さんも病院にお任せではなく、「今日わからなかったら、次は何日目に来たらいいですか?」など積極的に意思表示を。ただ漫然と中途半端な状態で続けるのではなく、患者さん側も治療に参加しているという意識をもつことが必要です。

出典:女性のための健康生活マガジン jineko vol.40 2018 Winter
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