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アンタゴニスト法、ショート法どちらが自分に合ってる?

コラム 不妊治療

アンタゴニスト法、ショート法どちらが自分に合ってる?

治療は進んでいくけれど、本当にそれが自分に合っている治療かわからない…。そのような時はどんなふうにドクターに聞くとよいのか、またどう気持ちを伝えればよいのかを、とくおかレディースクリニックの徳岡晋先生にお聞きしました。

2018.12.16

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※2018年11月22日発刊「女性のための健康生活マガジン jineko vol.40 2018 Winter」の記事です。


相談者:ハナコさん(31歳)
● ショート法について
31歳で2回目の採卵を控えています。1回目は①アンタゴニスト法で12個採卵。すべて顕微授精し、11個受精7個胚盤胞になりました。グレードがよいほうから7回移植して、化学流産2回、流産、陰性4回でした。
夫の転勤のため転院して、また採卵からですが、②アンタゴニスト法では結果が出ていないため、ショート法で10個の採卵を目標に頑張ることになりました。今日D7の診察で卵子が6個と言われて、前回よりも少なくて落ち込みました。採卵はD14ですが、 これから卵子の数が増えることはあるのでしょうか? また、ショート法からアンタゴニスト法に変更する人は多いようですが、逆に変えて結果がよくなった人はいるのでしょうか?
助成金の関係で③今回を最後の採卵にしようと思っていました。私と夫が一人っ子で兄弟はつくってあげたかったので、数が少ないことが余計にショックです。個人差があることや、量より質が大切なこともわかるのですが、不安で仕方ありません。

ドクターにはこう聞いてみよう!
ネットで調べた治療法を
試してみたいと思ったら?
美容院で「この髪形にしてください」とお願いするようにはいきません。不妊治療は卵巣予備能や症状、治療歴など多くの情報を取り込んで、患者さん一人ひとりに適した治療を考えるからです。でも希望を伝えることはとても大切です。その治療について質問することから始めましょう。

お話を伺った先生のご紹介

徳岡 晋 先生(とくおかレディースクリニック)


防衛医科大学校卒業。同校産婦人科学講座入局。自衛隊中央病院産婦人科勤務後、防衛医科大学校医学研究科に入学し、学位(医学博士)取得。2005年、とくおかレディースクリニックを開設。

≫ とくおかレディースクリニック

ショート法とアンタゴニスト法は高~中刺激の排卵誘発法


①アンタゴニスト法

体外受精、顕微授精のための排卵誘発法には、卵巣に負担の少ない低刺激のものから、一度に多くの卵子を採る目的の高刺激のものまでいくつかの種類があります。どの方法で誘発していくのかは、患者さんの年齢や卵巣予備能、これまでの治療内容などを考慮して、一人ひとりに合った方法を選択していきます。
ショート法、アンタゴニスト法は高~中刺激の刺激法で、どちらもHMGとFSHを定期的に注射して排卵誘発を行います。ショート法はGnRHアゴニストという点鼻薬を月経の時から使用して排卵を抑制し、アンタゴニスト法は卵胞がある程度発育してきたらアンタゴニスト製剤を注射することで排卵のきっかけとなるLHサージをおさえ排卵を防止します。
ショート法の場合、最初から点鼻薬で排卵を抑制しているので、誘発の注射も毎日必要になります。人によって注射の量が変わることはそれほどありません。アンタゴニスト法もそれほど注射が減らせるわけではありませんが、卵子の成長の様子をみながら若干の調整をすることはできます。


どちらを選択するかは医師と本人の相談で


②アンタゴニスト法では結果が出ていないため、ショート法で

前回の採卵で11個採れて7個胚盤胞までいったのは、成績的には決して悪くありません。妊娠まで至らなかったのは、たまたま卵子の質がよくなかった、染色体異常のある卵子だったのではないかと思います。
転院先の病院ではアンタゴニスト法でうまくいかなかったので、ショート法に変えてみることになったとのことですね。ハナコさんはまだお若いので、ショート法でも大丈夫かとは思いますが、年齢が高く卵巣予備能が低い方の場合は、点鼻薬で排卵を抑制すると最初から卵子が育たないこともあります。ショート法では抑制がそれほど強くなるのです。もし私がハナコさんの担当医だったら、前回は刺激法がよくなかったのではなくて、そのサイクルにいい卵子が少なかっただけではないかと考え、もう1回アンタゴニスト法でいくことをご提案すると思います。卵子を育てながら排卵を抑制する方法の進化系がアンタゴニスト法だろうと私は考えています。ただ、方法を変えれば質の違う卵子ができるということもあります。だからショート法に変えたことも間違いではないと思います。


希望はできるだけ伝えておきましょう


③今回を最後の採卵

ハナコさんは「これが最後の採卵」と決めていらしたとのこと。それはドクターに伝えておいたほうがよかったと思います。ドクターには最後なので患者さんのリクエストを聞いてあげたいという思いと、医師としても最後だったらこうしようという考えがあるはずだからです。「ショート法にしたら卵子の質は変わるかもしれないけれど数は減る可能性がありますよ。どちらでやってみたいですか」と相談ができたと思います。
D7で卵子が6個見えたということですが、これからうまく育てば増えることもありますし、逆に減ることもあります。前回のアンタゴニスト法より少ないのは、ショート法で抑制が強くかかっているからかもしれません。ショート法が得意で、注射を増やしたりして調整するドクターもいます。ドクターがどのくらい卵子を求めて育てていくのかにもよりますね。
これから移植の方法をどうするか決めていくことになると思います。自然周期より薬を使って内膜をつくるホルモン補充周期で移植することが多いですが、もしご希望がある場合はよく相談して決めていただければと思います。


ドクター以外のスタッフにも質問を
「聞きたいことは山ほどあるけど、ドクターにはすべてを聞くことができない」と感じている人は多いのではないでしょうか。「こんなことを聞いていいのかしら」「先生お忙しそう…」と質問することを躊躇してしまうこともあると思います。
そんな時には、ドクター以外のスタッフ、たとえばカウンセラーや看護師、受付スタッフなどに質問してみましょう。
「体外受精コーディネーターや看護師などと話す時間をもつのは有効ですよ」と徳岡先生はおっしゃいます。実際、とくおかレディースクリニックでは、治療の結果がうまくいかなかった時は、患者さんとチーフナースが話す時間を設けるそう。ドクターと話すよりも質問の垣根が下がり、本音で聞きたいことを聞ける機会になっているようです。そこで次回の治療の希望を伝える患者さんもいるのだそう。
「話しやすいスタッフを見つけて、気軽に質問したり、要望、思いを伝えるようにするといいですね。医師はできるだけ患者さんの意向や考えを尊重したいと思っているはずです。話していただいたほうが治療もスムーズに進んでいくと思いますよ」

出典:女性のための健康生活マガジン jineko vol.40 2018 Winter
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