HOME > 不妊治療 > 不育症 > 【Q&A】 全身蕁麻疹を発症した後の妊婦検診で心拍停止。何か検査できることは?ー浅田先生
HOME > 不妊治療 > 不育症 > 【Q&A】 全身蕁麻疹を発症した後の妊婦検診で心拍停止。何か検査できることは?ー浅田先生

【Q&A】 全身蕁麻疹を発症した後の妊婦検診で心拍停止。何か検査できることは?ー浅田先生

専門医Q&A 不妊治療

【Q&A】 全身蕁麻疹を発症した後の妊婦検診で心拍停止。何か検査できることは?ー浅田先生

胚盤胞移植をして心拍を確認できたものの、次の日に全身蕁麻疹を発症し、その後の妊婦検診で心拍が止まっていました。次回の移植までに検査できることはないのでしょうか?浅田レディースクリニックの浅田義正先生にお答えいただきました。

2019.10.2

あとで読む





相談者:くろさん(38歳)



両側卵巣チョコレート囊腫、抗セントロメア抗体陽性で不妊治療中です。
ホルモン補充周期による胚盤胞移植をして陽性ののち、妊娠6週1日で心拍確認できたのですが、次の日に全身蕁麻疹で5日間苦しみました。連休中で専門の先生に診てもらうことも出来ず、発症から2日目にアレグラ薬を2回、発症から3日目に皮膚科受診してポララミン処方してもらい3回服用しました。
その後薬を飲まずに耐えて、発症から5日目には治ってきました。まるで胎児を拒絶してるかのようで、その後7週3日の妊婦検診で心拍が止まっていました。自然排出を待ったのですが、9週に入って稽留流産で手術をし、現在病理解剖結果待ちです。

この件で何か検査できることはないでしょうか?妊娠初期で流産するのは2回目です。ただし、1回目は21歳の時で自然妊娠でした。期間も空きすぎているのと、その後タイミング法から人工授精、体外受精とステップアップして各治療5回程挑戦してましたが妊娠しなかったので貴重な陽性反応でした。これ以上凍結胚盤胞も無駄にしたくありません。



妊娠中の蕁麻疹について。




流産を経験されて、くろさんの身体が胎児を拒絶しているかのような印象を持たれたということですが、妊娠すると免疫細胞が変化しますので、皮膚炎等の皮膚トラブルは多々起きます。ただ、妊娠していなくても些細なことで蕁麻疹が出る場合はありますので、今回の蕁麻疹が妊娠と直接、因果関係があるかはちょっと分かりません。
妊娠に免疫が関与していることは明らかですが、子宮が胎児を選んで妊娠するということはありません。例えば子宮外妊娠では卵管やその他の場所で子宮内膜とは違った免疫状況で妊娠することもありますし、代理出産や第三者の提供卵子で妊娠することもあります。妊娠をするかどうかは、子宮の状態ではなく、卵子の年齢が大きく関わっています。今まで早期の流産を2回経験されているということは、妊娠が成立して胎児はそこまで育っているということです。
心拍停止後は自然排出を待ち9週に入って稽留流産で手術をされたそうですがが、くろさんの身体が胎児を拒絶していることはないと思います。赤ちゃんの心拍がとまるということは心臓から各内臓ができている途中で何か遺伝子発現的な不具合があり、成長が止まったと考えられます。ただ、それに対して検査をして原因が判明するというものでもありません


 


今後の治療方針は?


一番気になるのは、抗セントロメア抗体が陽性ということです。抗セントロメア抗体は抗核抗体のひとつですが、抗核抗体が陽性であっても不妊治療には大きな影響はありませんが、抗セントロメア抗体が陽性で、抗体価が高いと受精卵の形成に大きな影響を与えます
抗セントロメア抗体は、受精卵形成時の細胞分裂で細胞が増殖する際の染色体分離時に関わる抗体ですので、多前核の異常な受精卵を生み出す原因のひとつとなります。当院では、10年以上前より抗セントロメア抗体の研究をしており、少量のステロイド剤を服用する等、効果的と考えられる様々な治療をしましたが、未だに有効な治療法は見つかっていません。また、当院の研究では抗セントロメア抗体が血清から卵子の中に入っていることも確認しています。

重要なのは、より多くの卵子を採ることです。そのうち抗セントロメア抗体が含まれない卵が正常受精卵になりますので、正常受精卵が獲得できれば年齢に比例した妊娠率が出るということです。ただ、くろさんの場合は胚盤胞もできていますので、高濃度の抗セントロメア抗体陽性ではないと推察します。

いずれにしても、38歳であれば、ひとりの赤ちゃんが生まれるために必要な卵子は平均で20~30個と言われています。抗セントロメア抗体があるなら、特に体外受精で正常な受精卵を確認して、それをいくつか保存することが妊娠のための治療戦略になります
2、3人目のお子様や子育てを考慮すると、なるべく早く結果を出して子育てに進んでいかれることを願います。


 



[無料]気軽にご相談ください

お話を伺った先生のご紹介

浅田 義正 先生


名古屋大学医学部卒業。1993 年、米国初の体外受精専門施設に留学し、主に顕微授精を研究。帰国後、日本初の精巣精子を用いた顕微授精による妊娠例を報告。現在、愛知県の勝川、名古屋駅前のほか、昨年5月には東京・品川駅前にもクリニックを開院。

≫ 浅田レディースクリニック

あとで読む

この記事に関連する記事

この記事に関連する投稿

女性のためのジネコ推薦商品

最新記事一覧

Page
top