【Q&A】体外受精を成功させる為には－浅田先生
専門医Q&A 不妊治療
相談者：うららさん（35歳）
体外受精を成功させる為にはお世話になります。今回体外受精を始めて行い、採卵まで行いました。それまでの検査で、不妊の原因として卵管の癒着があり手術をして開通しました。
AMH値1.16とFSH値9.5からも卵子の残数が少なめで、35歳の卵子の質ではあるが、41.42歳の卵子残数であるとお聞きしました。
質問1.
これは普通のタイミングでは不都合に当たるのでしょうか?卵子の数が少ないことで不妊の原因になるのでしたら、何か対策はありますか?
質問2.
体外受精で多精子受精となりました。こちらも卵子の数が少ないことで影響はあったのでしょうか。
質問3.
体外受精で採卵が3つできました。採卵前日に排卵してしまった卵子もあり、排卵予防の注射や座薬、薬を飲んでいましたが、それでも排卵してしまうのでしょうか。気持ち面も影響しますか?
質問4.
受精した卵子の為にも、着床できるように万全に備えたいです。着床不全にならない為にはレーザー治療やビタミン注射も考えていますが、何かおすすめはありますでしょうか?
浅田先生からの回答
4つの質問に順番にお答えします。
質問1.
卵巣予備能が低いことは、基本的には不妊の原因になるわけではありません。また、きちんと排卵していれば自然妊娠することもありますので不都合はありません。
ただ、卵子が少なく早くに卵子がなくなるため、生理も早く不整になり閉経も早いです。そのため、妊娠できる期間が同年代の人と比べて短いということになります。
質問2.
多精子受精というのは、媒精で精子を振りかけた際に、一つの卵子に複数の精子が入る現象です。卵子には何らかのバリアがあり、精子が一匹入ると他の精子は入れないと理論上は言われていますが、詳しいメカニズムは明らかになっていません。顕微授精では一匹しか精子を注入しないため、多精子受精になることはありません。
これも卵巣予備能とは関係がありません。
質問3.
精神状態が影響して排卵してしまうことはありません。理論的には、エストラジオールというホルモンが高くなるとLHというホルモンがそれに反応し、ポジティブなフィードバックがかかって排卵するといわれています（LHサージ）。鎮痛剤等でプロスタグランジンを抑え、卵胞が破れるのを防ぐというのも排卵を防ぐ一つの手立てになります。ただ、それだけでは説明できないメカニズムがあると思っています。ホルモン値も良く、排卵するはずがない時に排卵することが、実際の臨床の現場ではないわけではありません。LHサージという理論上の説明はありますが、それだけでは説明できない排卵の仕組みがあると思っています。
質問4.
はっきりいって、おすすめはありません。着床不全というのは、ほとんどないと考えています。胚盤胞になった次の日が着床の時期であり、その段階がうまくいくか行かないかで、赤ちゃんまで育つかどうか、あるいは妊娠反応が陽性になるかどうかが決まるとは思いません。着床の様々な条件とは、子宮内膜に対してのものですが、子宮内膜が無いところでも着床は成立し、子宮外妊娠（異所性妊娠）が起こります。また、免疫も関係すると昔から言われてきましたが、現在では子宮側の免疫が妊娠をコントロールしているようなことはないことが分かっています。
受精卵を他人の子宮に移植した場合、妊娠率は受精卵の年齢相応となることが科学的に証明されています。着床を良くする研究に臨床的意義はほとんどありません。流産を繰り返す人に対しても意味のある治療は今のところ無いというのが、世界で受け入れられている認識だと思います。
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