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赤ちゃんは、「母乳で育てるべき」ですか?

インタビュー 子育て・教育

赤ちゃんは、「母乳で育てるべき」ですか?

2018.8.1

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「母乳が出ない・出にくい」ママはどうしたらいい?




最初にお伝えしておきたいこととして、母乳が出ないお母さんはいません。安心してください。まず、乳首から乳輪にかけてマッサージをしましょう。乳首がやわらかいと赤ちゃんも吸いやすいし、お母さん側の吸われる痛みも軽減します。ただし、マッサージを始めるのは、臨月に入ってからです。おっぱいを刺激すると子宮が収縮してしまうので、臨月以前に積極的にケアするのは避けましょう。


また、出産後、できるだけ早くに赤ちゃんにおっぱいを吸ってもらいましょう。当院では分娩後30分以内に最初の授乳をします(早期授乳)。最初は出ないかもしれません。母乳が出るまでに、時間や日にちがかかることもあります。それでも、あきらめないで吸わせることが大切です。母乳は自然に出るものではなく、赤ちゃんに吸われてやっと出るのです。吸われる刺激が、母乳をつくるホルモンの分泌をうながすので、「出産後すぐに吸ってもらう」「頻繁に吸ってもらう」ことで母乳の出は必ず良くなります。


そのため、できれば産院でも母児同室が好ましいと考えます。お腹がすく時間は赤ちゃんそれぞれですから、母乳を欲しがったらすぐにあげられるのが理想的です。赤ちゃんを新生児室で預かり、決まった時間にしか会えない・授乳できないといった環境も、母乳の出づらさに影響していると私は思います。


 


粉ミルクにはない、「母乳育児」ならではのメリットは


粉ミルクは、栄養面ではなんら問題はありませんし、「今日は×××ml飲んでくれた」とわかりやすいので安心感もありますよね。しかし、簡単に栄養が得られると、肥満を助長しかねません。哺乳瓶はお母さんの乳首に比べて、赤ちゃんが力を込めて吸わなくてもミルクが出るようになっています。そのため、“母乳が出るまであご全体を使って乳首を吸う”という作業がないので、疲れずにいくらでも飲めるのです。


母乳育児には栄養面だけではない、たくさんのメリットがあります。最大の恩恵は、免疫力の強化です。お母さんの抗体が母乳に混ざり、母乳を飲んだ赤ちゃんに伝わります。ですから、感染症に対しての抵抗力があるのはやはり母乳で育てた赤ちゃんなのです。


これにはエビデンスもあり、医学的にも立証されています。さらに、アレルギーになりにくい、将来糖尿病になりにくい、母乳を吸うにはあごの力が必要とされるので、脳や神経系統の発達もうながされるといった報告もあります。


実は、母乳育児はお母さんにとってもメリットは多いのです。赤ちゃんと密着し、体温を感じながら母乳を与えると、オキシトシンというホルモンが出ます。これは、“愛情ホルモン”とも呼ばれるもので、赤ちゃんを愛おしく思うことで、母親になったという自覚が生まれます。母乳は赤ちゃんだけでなく、母親の気持ちも育ててくれるのです。また、体重も早く戻りますからダイエットにも最適。乳がんや卵巣がんに罹りにくくなるという報告もあります。何より、赤ちゃんが空腹で泣いたらすぐにあげられるのは素晴らしいことです。これも大きなメリットです。哺乳瓶を消毒して、粉ミルクやお湯の量を計って、適温になるまで冷まして、というまどろっこしい作業は無用で、赤ちゃんの口に乳首を近づければいいだけです。適量かどうかも神経質にならなくて結構。のみたがったらあげる、それでいいのです。お腹が満たされたら、それ以上は飲まない。必要な量は、赤ちゃんが教えてくれるのです。


 


授乳期間中に、ママが気をつけるべき点は


母乳育児にとって大敵なのはストレスです。ストレスは母乳の出を確実に悪くします。それなのに、赤ちゃんは夜中でも泣くし、子育てには不安がともないます。さらに、パートナーが非協力的だったり、舅・姑が子育てに口を出したりといったことが加わったら、ストレスを通りこしてパニックになることもあるかもしれません。でも、授乳は一生続くものではなく、半年~数年のことです。子どもとこんなに密着できる時間はないのですから、どうか幸せな気持ちで過ごしてください。母乳をあげられるのはお母さんだけなのですから、楽しまないのはもったいないことです。


しかし、それも「母乳をあげられるのは私しかいない」とネガティブにとらえるとストレスになってしまいます。「やりがい」と考えるか、「ストレス」になるかは、お母さんの気持ちしだいです。上手にストレスを発散してください。


また、気を付けるべき点としては、風邪や花粉症、便秘といった病院に行くほどではない病気の際も、安易に市販薬を服用しないことです。服用前に、必ず主治医に相談してください。漢方薬を飲む際も同じです。


食事などは、普通でかまいません。一日三食バランスの整ったメニューであることに越したことはありませんが、「これを食べた方がよい」「これは食べない方がよい」というものはありません。辛いものや刺激物も大丈夫です。食文化の違う国では、毎日香辛料をたっぷり食べているお母さんも母乳育児をしています。でも、アルコールだけはひかえてください。また、いつもと違うものを食べると母乳の味が変わるので、その味を好まない赤ちゃんは飲みたがらなくなることもあります。それも心配にはおよびません。一時的なものなので、神経質にならずに食事を楽しんでください。


「赤ちゃんが母乳をのみたがらない」「今夜だけ、ちょっとワインをのみたいな」、そんな時には、母乳にこだわらずに、搾乳や粉ミルクに頼ってもいいのではないでしょうか。赤ちゃんにとって母乳より優れた栄養はありませんが、母乳を与えるお母さんの心身の健康状態も大切です。お母さんの気持ちが楽になるのなら、時々はサボっていいんですよ。


 


最後に、少しだけ持論を述べさせてください。あえて厳しい言い方をしますが、「母乳育児だと自分の時間がなくなる」と考える方は、親になる覚悟が乏しいのでは? 子育ては、もともとが大変なことなのです。子どもができたら、ライフスタイルも変える必要があります。すべてが今まで通りには運ばないのも当然です。それでも、大変ではあっても、幸せだし、愛する人と自分の間にできた子は愛おしくてしかたがないはずです。その子のためなら自分を犠牲にしてでも何でもしてあげたい、と思うのが親心なのではないでしょうか。子どもはいずれ自立心を持ち、親元を離れます。その時、多くのお母さんは「あぁ、ずっと赤ちゃんでいてくれればよかったのに」と思うようです。だからこそ出産の痛みも忘れ、「また、もう1人産みたい! 」という気持ちになるのです。赤ちゃんがママのおっぱいを欲しがるのは半年から1年、場合によっては卒乳までの数年。その期間はスキンシップもかねて、母にしか味わえない母子だけの濃密な“母乳タイム”を堪能してほしいと思うのです。


 






宮川先生より まとめ



母乳育児は赤ちゃんの生育に役立つだけでなく、ママの健康維持や親になる自覚を育てるのにも有効。でも、「母乳で育てるべき! 」とストイックになり過ぎず、粉ミルクの利便性が必要なときは気軽に利用し、適度にストレスを解消するのもおすすめです。授乳期間は半年から長くても数年なので、母乳を与えられる喜びを感じましょう。困ったことがあれば助産師さんなどに気軽に相談しながら、赤ちゃんとの暮らしを楽しんでください!





お話を伺った先生のご紹介

宮川 智幸 先生(宮川医院 院長)


宮川医院院長。医学博士、日本産科婦人科学会専門医、臨床遺伝専門医、母体保護法指定医。日本大学医学部、同大院医学研究科博士課程終了。虎の門病院、埼玉小児医療センター病理部医長、虎の門病院産婦人科医員・医長、虎の門病院医学教育部副部長兼任を経て、現職。藤沢市民病院、湘南藤沢徳洲会病院、湘南鎌倉病院、神奈川こども医療センターなど地域の基幹病院とも連携。「母と児の安全を最優先と考え、できるだけ自然なお産で不必要な医療介入は行わず、ご夫婦それぞれのニーズに合わせたお産を目指す」を基本理念に、母乳育児なども推奨。

≫ 宮川医院

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