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これだけは知っておきたい「卵巣がん」のこと

インタビュー 女性の病気

これだけは知っておきたい「卵巣がん」のこと

乳がんや子宮がんに比べると認知度が低い「卵巣がん」についてかおりレディースクリニックの大谷 香先生に教えていただきます。

2018.11.12

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乳がんや子宮がんに比べると、やや認知度が低い「卵巣がん」。卵巣は沈黙の臓器とも言われ、気づいた時にはガンが進行していることも多いと言われています。それだけに、最低限知っておくべき卵巣がんの原因研究や治療の現状を、かおりレディースクリニックの大谷 香先生に教えていただきます。


 




卵巣がんで最も多いのが「上皮性卵巣がん」。治療は日進月歩で進化中


卵巣がんの種類はさまざまありますが、なかでも最もかかりやすいのが「上皮性卵巣がん」と言われています。年間約9300人以上の方が罹患し、約4600人以上の方が亡くなっているというデータがあります。

◆卵巣がんの5年生存率(全がん協調べ)◆


           Ⅰ期  Ⅱ期    Ⅲ期  Ⅳ期
1997~2000     92.6    63.2    44.4  29.6
2007~2009     89     69.6    45   25.3


 


Ⅰ期 がん細胞が卵巣にしかない状態


Ⅱ期 がん細胞が子宮まで広がっている状態


Ⅲ期 がん細胞が骨盤まで広がっている状態


Ⅳ期 がん細胞が肺や脳などほかの臓器にまで転移している状態



ここに約20年前と10年前のデータがあります。Ⅱ期までの生存率はまだよいのですが、Ⅲ期以降の5年生存率がデータで見る限りではあまり変化が見られませんでした。この時代は手術と化学療法が主流でしたが、2004年アメリカで分子標的治療薬が承認されてから、治療の選択肢が広がり、特にⅢ期以降の5年生存率の上昇に期待が寄せられています。


 


がんの原因の考え方も10年で変化


約10年前まで、卵巣がんの原因は「排卵」に関わるというのが一般的な考え方でした。排卵回数が多いほど、卵巣の上皮に損傷が起きやすく、卵巣がんの発生母地といわれる「封入嚢胞」が形成されやすい、つまりは初潮が早い人、閉経が遅い人、不妊の人がかかりやすく、出産経験が多い人、授乳期間が長かった人、経口避妊薬を使用している人がかかりにくいとされていました。


 


ところが最近ではこの考え方に変化が出てきています。同じ卵巣がんでも悪性度の低いタイプ1と悪性度の高いタイプ2があるという考え方です。タイプ1は封入嚢胞や子宮内膜症などの発生母地から比較的ゆっくり発育し、早期がんで見つかることが多く、タイプ2は前駆病変に乏しく急速に進展し、進行がんとして発見されやすい傾向があります。アメリカの女優アンジョリーナ・ジョリーさんのニュースで広く知られた遺伝性卵巣がん・乳がんもタイプ2が多いといわれています。タイプ1、タイプ2ともにさまざまな遺伝子の異常や分子の変化がわかっており、治療に応用され始めています。


 


このほか生活習慣も関わるといわれています。エビデンスがあるものとしては、喫煙、アスベストによる影響があるとされ、閉経後のエストロゲン投与、さらには高身長や肥満の人もかかりやすいとされています。


 


卵巣がん治療の3本柱は、手術、化学療法、分子標的治療薬


卵巣がんの治療法としては、まず手術で腫瘍を完全に摘出するのが理想です。しかし、手術で完全に摘出できないほどがんが進行している場合には、化学療法や分子標的治療薬を用いて、先に腫瘍を小さくしてから手術することもあります。また、手術の低侵襲化も考慮します。低侵襲化とは、なるべく体に傷をつけずに行う腹腔鏡手術、あるいはロボット支援手術なども含まれます。


 


化学療法も劇的な変化を遂げてきていますが、1996年からTP療法という治療で全生存期間が4年延びたといわれています。



そして分子標的治療薬が日本でも2013年から卵巣がんに使えるようになり、進行がんや再発がんへの治療が期待されています。これは、がん細胞だけに認められる分子の変化を利用して、がん細胞を死滅させようとする薬で、現在大別して4つの標的因子に対する薬剤が開発され、臨床応用されています。そのうちの一つ、免疫チェックポイント阻害剤に関する基礎研究で、京都大学の本庶佑先生が2018年度のノーベル医学生理賞を受賞されたことは記憶に新しいところです。これからは、個々のがんの遺伝子異常に対して個別に対応し治療していく”プレシジョンメディスン”の時代へと変化していくでしょう。


 


卵巣がんはとにかく早期発見が大切


卵巣がんには自覚症状があまりないため、気づいた時にはかなり進行しているケースが多いこと、また、日進月歩で治療法が開発されているとはいえⅢ期、Ⅳ期の生存率がまだ高くないことから、とにかく早期発見がポイントになります。


 


検査は超音波検査、腫瘍マーカーの組み合わせで年1回行うのが理想です。初潮が早かった、閉経が遅いなどのかかりやすい人はもちろん、家族に子宮内膜症やがんに罹った人がいれば、より日頃から意識してください。そのためには、ぜひかかりつけ医を見つけ、体に変化が起こったらいつでも相談できるようにしてください。


 


お話を伺った先生のご紹介

大谷 香先生


福島県立医科大学卒業。1995年より米国エール大学産婦人科教室へ留学。婦人科がんの研究に従事。日本大学付属板橋病院、練馬光が丘病院に勤務後、2002年9月 東京・学芸大学にかおりレディースクリニックを開院。日本産科婦人科学会専門医。医学博士。

≫ かおりレディースクリニック

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