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多発性の子宮筋腫。AMH値が低くても手術を受けるべき?

コラム 不妊治療

多発性の子宮筋腫。AMH値が低くても手術を受けるべき?

子宮筋腫は着床に影響があれば手術の適応になることが多いようですが、高齢でAMH値が低い場合、手術を受ける選択は正解なのでしょうか。ファティリティクリニック東京の小田原先生に伺いました。

2018.12.25

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※2018年11月22日発刊「女性のための健康生活マガジン jineko vol.40 2018 Winter」の記事です。


コロさん(41歳)からの相談
●ARTへステップアップ
AMH0.7ng/ml。多発性子宮筋腫があり、それが子宮内膜を圧迫し子宮を変形させています。両側卵管が狭窄していて自然妊娠も難しい状況です。医者からは筋腫の手術をすすめられました。体外受精で優良胚盤胞があるため妊娠率を上げるために、とのことです。今年の夏に新鮮胚移植をしましたが、腹膜炎を起こしました。「子宮筋腫が原因かも」といわれています。年齢のこと、低いAMHのため、このまま手術をしてよいものか迷っています。

●これまでの治療データ
【検査・治療歴】 治療年数は1年。AMH値は0.7ng/ml。これまでFT、体外受精を2回実施。
【不妊の原因となる病名】 子宮筋腫、両側卵管狭窄
【服用している薬】 当帰芍薬散
【精子データ】 異常なし

Doctor’s advice
●状況によっては着床に影響も。
●時間をロスしないためにまず採卵を。
●産科医と連携して進められればベスト。

お話を伺った先生のご紹介

小田原 靖 先生(ファティリティクリニック東京)


東京慈恵会医科大学卒業、同大学院修了。1987 年、オーストラリア・ロイヤルウイメンズホスピタルに留学し、チーム医療などを学ぶ。東京慈恵会医科大学産婦人科助手、スズキ病院科長を経て、1996 年恵比寿に開院。

≫ ファティリティクリニック東京

多発性子宮筋腫とはどのような病態なのでしょうか。


子宮筋腫は子宮の中にある良性のこぶのことです。名前の中に「筋」とありますが、これは平滑筋という筋肉が変化を起こし、硬くなって腫瘤を形成しているからです。多発性子宮筋腫はこの筋肉のこぶが子宮内のさまざまな場所にたくさんできてしまう病態。
子宮筋腫自体は決して珍しい病気ではなく、当院の患者さんでも大きさを問わなければ3分の1程度の方に見られます。多発性のケースもまれではなく、なかには「手術をして30個取ってきました」というような方も。
子宮筋腫は女性ホルモンに影響されて起こる病気ですから、初経からの月経周期数が多くなればなるほど増えてきます。そのような起因から、40歳くらいから多くなってくるという傾向がありますね。


コロさんは担当医から手術をすすめられているようですが、やはり受けるべきですか。


一般的には、子宮の内腔に飛び出ている粘膜下筋腫、あるいは子宮の内腔を大きく変形させている筋腫は着床を阻害するといわれているので、手術の適応になるケースが多いですね。手術をするかしないかは、大きさというより、子宮の内腔がどのような状況になっているかで判断します。
また、動物実験の段階ですが筋腫が子宮の収縮などに影響するという報告も。大きさや数、位置などに関係なく、筋腫があること自体が着床障害の原因になる可能性があるといわれています。


どのような手術をするのでしょうか。開腹する必要性は?


赤ちゃんを望まれている方の場合、子宮を全部取るわけにはいきませんから、妊よう性を残す施術が基本になります。着床に影響する部分だけ取り除くということですね。多発性の場合は将来、大きくなることがありますから、取れる範囲のものは全部取るという方針で臨むことが多いようです。
原則は子宮鏡、腹腔鏡による手術になりますが、筋腫の位置や数によっては開腹が必要なケースもあります。筋内に複雑に入り組んでできる子宮腺筋症と異なり、子宮筋腫は比較的正常な部分との境界が明瞭なので、手術としてはそれほど難しいものではありません。


年齢が41歳で時間的にあせりを感じられているようですが、術後、時間を置かずに不妊治療を再開できるのでしょうか。


一般的には術後3カ月程度で胚移植に臨めると思います。前後しますが、内視鏡および開腹手術の場合、決めてすぐに受けられることは少なく、数カ月程度の待ち時間を要することが多いようです。となると、年齢が高い方にとっては大きな時間のロスになってしまうことは否定できません。今やるべきことは、全体の治療計画をしっかり立てることだと思います。
手術を受けるとなった場合、まず現時点で優先するのは卵子、受精卵を確保するということ。コロさんは優良胚盤胞が確保できているようですが、何個凍結されているのでしょうか。1個しかないようなら、手術までにかかる時間をうまく利用して採卵を行い、できるだけ多くの胚盤胞を凍結しておけるといいでしょう。
筋腫により卵巣の位置が移動し、採卵時に針が刺しにくくなり、まれに手術を優先しなければならないこともあります。しかし、コロさんは以前、採卵をされていますから、それはないと思います。となれば、採卵を優先したほうがいいですね。
AMH値の低さを心配されていますが、卵子が採れて胚盤胞もできています。今の段階で数字にこだわってナーバスになられることはないのでは。このまま前向きに治療を進めていっていいと思います。


手術後、着床率や妊娠率が上がることを期待できますか。っv


手術をして子宮内膜の状態が改善されれば、これまで以上に妊娠は期待できると思います。
 ただし、場合によっては筋腫を切除した際、内膜がかなり薄くなってしまうことがあります。そうなると赤ちゃんの成長に耐えられず、妊娠中に子宮破裂などを起こすリスクが生ずることも。
 妊娠後のことまで考えたら、できれば産科の先生と連携しながら進めていければ安心ですね。筋腫の手術するのも分娩するのも同じ施設で、経緯がわかったうえで診ていただくのが理想的と思います。
 まだ手術を受けるかどうか迷われているようですね。限られた期間で妊娠・出産にたどり着くために、それらを阻害する要因をなるべく排除しておきたい。医師側も、万全な状態で準備をしたうえで、患者さんには移植に臨んでいただきたいという思いがあります。やはり、治療計画をきちんと立てたうえで手術を受けていただくのが最良の選択ではないでしょうか。


先生から
手術は必要ですが、その前に採卵を優先して卵子・受精卵の確保を

出典:女性のための健康生活マガジン jineko vol.40 2018 Winter
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