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不妊の原因になる?子宮内膜ポリープができる原因と治療法

インタビュー 妊活

不妊の原因になる?子宮内膜ポリープができる原因と治療法

子宮内にポコッとできたやわらかい突起物。その正体が、子宮内膜ポリープです。ほとんどが良性といわれていますが、できる原因や症状、妊娠の妨げになるかについてあらかわレディースクリニックの楠木総司先生に解説いただきました。

2019.8.7

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ポリープの原因の1つはエストロゲンの分泌過多




子宮内膜ポリープは40~50代に多い病気ですが、20~30代でもみられるトラブルです。

ポリープができる原因はさまざまありますが、その1つが女性ホルモンのエストロゲンの分泌過多によるものと考えられています。
エストロゲンには、受精卵を迎え入れるために子宮内膜を厚くする働きがありますが、なんらかの理由で一部だけが異常に厚くなってしまい、ポリープになるのではないかと考えられています。

ポリープの大きさはさまざまですが1cm以下のものから、なかには10cmぐらい大きくなるものもあります。


 


小さいと自覚症状が無いケースが多い


子宮内膜ポリープは小さいものだとほとんど自覚症状がありません。

ケースによっては、不正出血や月経がダラダラと続く過長月経、貧血などがみられ、それをきっかけに受診をして発見されることがあります。


 


不妊の検診で子宮内膜ポリープが発覚することも


子宮内膜ポリープは、大きさとできた場所によってはしばしば不妊の原因になります。
子宮内膜は、受精卵が着床する大切な場所です。できるだけ厚く平らな状態が着床しやすいとされているので、その内膜にポリープがポコッとできてしまうと、着床の妨げになってしまいます。

「子づくりしているのになかなか妊娠できない…」と思い、不妊外来を受診。そこで初めて子宮内膜にポリープができていることに気づく人も少なくありません。

実際にポリープが見つかった人で、その後にポリープの摘出をした人と、非摘出の人の人工授精後の妊娠率を比較したところ、摘出した人が63%なのに対し、非摘出の人の場合は28%という結果が出ています。(※)
※ Casini ML, et al. Effects of the position of fibroids on fetility. Gynecol Endocrinol 2006;22:106-9.より


 


経過観察から薬物療法、子宮鏡下手術が主な治療法


子宮内膜ポリープの治療法はいくつかあり、大きさや今後の妊娠希望の有無などによってどの方法を選ぶかは異なってきます。

子宮内膜ポリープは、ほとんどのケースが良性で、小さい場合は自然消滅することがあります。ポリープの大きさが1cm以下で、妊娠の希望がない場合は、しばらく経過観察になることがあります。

薬を服用し、きれいな生理を起こすことで、子宮内膜を一度はがしてポリープを取り除く薬物療法もあります。この方法は主にポリープが1cm未満の方に適用されます。

子宮内膜ポリープが1cm以上で、不正出血が続いている、悪性腫瘍が疑われる、近い将来妊娠を希望している場合は、子宮鏡下手術の適応となります。

子宮鏡下手術は、腟から子宮鏡を挿入し、モニターを見ながら先端についたメスでポリープを切除していく方法です。局所麻酔で行われ、短期間の入院で済むのが特徴。ちなみに当院の場合は、手術当日に帰宅することが可能です。

子宮鏡下手術は、同時に子宮内を観察することができるため、ポリープ以外の異常を発見、確認できるという特長があります。実際に子宮内膜ポリープの手術を行う際に、子宮内にマイクロポリープ(小さな複数のポリープ)が発見され、慢性子宮内膜炎を併発していたことがわかったケースもあります。慢性子宮内膜炎は、なんらかの菌によって子宮内膜が常に炎症を起こしている疾患で、不妊の原因の1つです。マイクロポリープは小さすぎて切除不能なため、抗生剤を服用し、治療をする必要があります。


 


生理の終わりごろに受診するのがベター


定期的に性交渉をしているのになかなか妊娠できない、不正出血がある、それにともなって貧血がひどいなどの場合は、一度受診をして子宮内膜ポリープがあるかをチェックしてもらいましょう。
できれば生理の終わりかけに受診をするのがいいでしょう。内膜がはがれ終わっているため、医師が細かく子宮内の状態を確認することができます。

なかには「生理中に受診するのは抵抗がある」という方もいるでしょう。そんな時は、かかりつけ医に受診のタイミングを相談してみてください。

クリニックによって異なりますが、当院の場合は、子宮頸がん検診を受診された場合、一緒に超音波で子宮内の状態を確認し、トラブルの早期発見に努めています。


 


不正出血が続く、なかなか妊娠できない場合は受診を


子宮内膜ポリープは、子宮内膜にできるきのこのような形のやわらかい突起物です。大きさは1cm以下のものから10cmぐらいになるものまでさまざま。自覚症状が無いことが多く、たまに不正出血やだらだら生理が続くことで貧血になり、そこから気づくケースがあります。

また、なかなか妊娠できないことで医療機関を受診し、子宮内膜ポリープが発見されることも多くあります。

治療法は、経過観察、薬物療法などがありますが、近い将来妊娠を希望している場合は、子宮鏡下手術が望ましいでしょう。手術する際に子宮の中も観察できるので、他のトラブルを発見できる可能性があります。

妊娠したいのになかなかできない、不正出血が続くなどの場合は、一度、産婦人科を受診し、子宮内膜ポリープがあるかどうか確認してもらってください。クリニックによって異なりますが、可能なら子宮頸がん検診など、なにかの検診の際に一緒に子宮内の超音波検診を受診しておくのもいいでしょう。


 


お話を伺った先生のご紹介

楠木 総司先生(あらかわレディースクリニック院長)


日本産科婦人科学会専門医、日本がん治療認定医機構がん治療認定医、日本婦人科腫瘍専門医、日本産科婦人科内視鏡学会技術認定医、日本性感染症学会認定医。順天堂大学医学部産婦人科学講座に入局。Chang Gung Memorial Hospital(台湾)への留学、同大学准教授を経て2019年6月にあらかわレディースクリニックの院長に就任。
常に患者さんの立場になった医療を提供することをモットーにし、「親切でわかりやすい」と患者さんからの満足度が常に高い先生。妊婦さんの健診や、自然から無痛など患者さんの希望に沿った分娩を手掛ける傍ら、海外で学んだ高水準の腹腔鏡手術の技術を活かし、子宮鏡下などの低侵襲手術も行っている。厳しい審査基準をクリアした医師にのみ認定される腹腔鏡技術認定医でもある。


≫ あらかわレディースクリニック

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