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心の玉手箱 vol.36 「これまで非協力的だったご主人から「子どもをつくりたい」と思いがけない言葉が。」

コラム 不妊治療

心の玉手箱 vol.36 「これまで非協力的だったご主人から「子どもをつくりたい」と思いがけない言葉が。」

これまで非協力的だったご主人から「子どもをつくりたい」と思いがけない言葉が。子どもをもたない人生を考えていた矢先で、迷われているそうです。秀子先生にお聞きしました。

2019.10.15

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※2019年8月24日発刊「女性のための健康生活マガジン jineko vol.43 2019 Autumn」の記事です。


tukoさん(33歳)
相談内容
結婚6年目。私33歳、夫37歳です。夫は男性不妊で子どもを望んでいますが、私は不妊治療をしたくありません。結婚した当初は逆で、夫が非協力的でした。結婚1年目で流産し、その後も子づくりに誘っても拒否され、話し合いにも聞く耳をもたず。30代になって不妊専門病院で調べようと提案すると夫は泣いて拒否。その後、自分で検査をすると男性不妊でした。夫も納得のうえ、人工授精を2回しましたが陰性でした。それからは子どもをもたない人生を考えて、仕事のステップアップをめざしています。ところが先日、夫から「子どもがいない人生に意味が見出せない。不妊治療に協力してほしい」と言われました。私の気持ちは子どもから離れています。

投稿に寄せられたコメント
ムーさん(37歳)
何ともやるせない気持ちになりますね…。ただ言えるのは、コミュニケーション不足だったんだろうなということです。あまりにも旦那さんが、あなたのこれまで(子どもが欲しいと言ってきたこと、国家資格のための勉強をしてきたこと)と今の状況(仕事中心のライフスタイルを謳歌している)を知らないかのようなことを言っていて、噛み合わないのも気になります。子どもはどうするのか、仕事に舵を切ったら子どものことは考えられないけどそれでいいのか、その都度きちんと押さえてくるべきでしたよね。あなたが「あの時、子ども(不妊治療)ではなく、あなたとの人生を選んだのだ」と伝えても、旦那さんは子どもが欲しいと言うのでしょうか。

こもさん(42歳)
私の場合は、反対になりますが、私は、子どもが欲しい。旦那は子どもがいなくても二人でいればよいという意見でした。もともと犬とウサギを飼っていて、旦那は、散歩はもちろん、餌やりもお水替えも一切しません。ただ、可愛いがるばっかりで、おやつをあげるくらいです。不妊治療の果てに子どもが生まれましたが、とても可愛がってくれています。そりゃ、完璧とはいいませんが、満足しています。動物と、子どもは違います。もちろんペットも家族ですが、tukoさんのご主人も、そこは違うかもしれません。あと、今後長くいるパートナーです。しっかり話し合ってくださいね。

お話を伺った先生のご紹介

田村 秀子 先生(田村秀子婦人科医院)


京都府立医科大学卒業。同大学院修了後、京都第一赤十字病院に勤務。1991年、自ら不妊治療をして双子を出産したことを機に義父の経営する田村産婦人科医院に勤め、1995年に不妊治療部門の現クリニックを開設。


≫ 村秀子婦人科医院

妊娠力には限りがあります。5年、10年先の自分を想像してみて


「子どもが欲しい気持ちにけりをつけてしまった」というのは、「もう絶対子どもは欲しくありません」ということではないんですよね、きっと。諦めるためにお子さんをもたない人生を考えるようになって、キャリアアップをめざしている最中だから、今は仕事が面白いのでしょう。
私たちはあなたと同じように「もう子どもは諦めます」と治療をやめられた方が、42歳を過ぎたころに「もう一回だけやってみたい」と治療再開する姿をたくさん見ていますが、そんな時、とってもやるせない気持ちになるのです、あの時治療を続けていたら…と。
女の人の妊娠する力には限りがあるんです。いまは33歳と若くて、努力すれば妊娠できる年齢だから、自分の意志で「諦める」という選択ができているんですね。でも、5年、10年後…と年齢を重ねてくると、「欲しい」という気持ちに反比例するように妊娠率は下がります。たとえ流産とはいえ妊娠できたあなたは出産まで行ける可能性のある方なんだと思うのです。だからこそ、ご主人のことを愛していらっしゃるなら、過去は水に流して今しかできない子作りをもう一度トライするのもありだと思いますよ。


男性にとって精子の問題は女性が考える以上にダメージは大きい


本当は、最初に流産してお子さんが欲しかった時に、ご主人が協力してくださっていればよかったんだろうと思います。ただ、ご主人の立場になってみれば、非協力的だった理由はいくつかあって、仕事が面白い年齢だったこともその一つでしょう。そのうえに、「子どもをつくる」という大きな責任が出てきても、男性機能に自信がもてなかったら拒否したくなるのもわかります。
子どもをつくるということに関していえば、男の人は射精という役割しか与えられていない受け身な存在です。だから女の人が考えている以上に、男の人は「精子が少ない=男を否定された」という感覚が強いんですね。
ご主人には、自分に原因があるとわかって立ち直るまでに時間が必要だったはずです。そして、そのダメージを数年かけて自分の中で消化して、「やっぱり子どもをつくる努力をしよう」と決意されたわけでしょう。そこは理解して差し上げてほしいですね。


与えられた機会を大切に後悔しない選択と今できる努力を


もちろん、子どもをもたない人生を否定しているわけではないんですよ。ご主人が何をいおうと、「私は子どもが欲しくありません」と強く思うのであれば、その理由をきちんと伝えてご主人を説得されるといいと思います。ただ、「あなたが協力しなかったから諦めたのよ」というのは理由になりません。それでは子どもをもたない人生を選択したことを他人のせいにしているだけ。ご主人はもちろん、ご自分すら納得させることはできませんよね。ご主人に対して「今さら勝手じゃない」と、しっぺ返しをしたくなる気持ちはわかります。でもご主人が「子どもをつくろう」と言ってくれたことで、また選択肢が広がったんですよ。
今のままの選択で、夫婦が納得して二人だけの老後を過ごすことができているのか? お互いの60代、70代になった姿を想像しながら、自問してみることも必要ではないでしょうか。


【秀子の格言】
「ご主人を愛しているなら、
子づくりはげんじゃえ!って思いますよ」

 


出典:女性のための健康生活マガジン jineko vol.43 2019 Autumn
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