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体外受精の流れ③|不妊治療

コラム 不妊治療

体外受精の流れ③|不妊治療

体外受精の流れ③|不妊治療

2015.9.15

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不妊治療といってもその治療方法はいろいろ。
ここでは高度不妊治療(ART)と呼ばれる体外受精の流れについて解説します。






英ウィメンズクリニック 塩谷 雅英先生

島根医科大学卒業。卒業と同時に京都大学産婦人科に入局。体外受精チームに所属し、不妊治療の臨床の傍ら研究を継続する。1994年から神戸市立中央市民病院に勤務し、顕微授精による赤ちゃん誕生に貢献。2000年3月、英ウィメンズクリニックを開院。

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 体外受精の治療ステップ


STEP 4 胚培養 体外の培養器で受精卵を育てます


体外受精あるいは顕微授精の翌朝の観察で、前核が2つ観察される卵(前核期胚)が受精卵です。
この受精卵を培養器の中で人工的に育てることを胚培養といいます。前核期胚をさらに培養すると、図のように2分割、4分割、8分割と細胞分裂を繰り返しながら成長していきます。
2日目から3日目の4細胞から8細胞にまで成長した胚を初期胚と呼んでいます。
また、この初期胚をさらに培養し続けると、採卵して5~6日目には胚盤胞(はいばんほう)になります。受精卵を胚盤胞になるまで培養してから移植する方法を胚盤胞移植といいます。


【IMSI(イムジー)法 】
6000倍の顕微鏡下で形態のよい精子を選別
顕微授精を通常のICSI(イクシー)からIMSI(イムジー)に変更すると、受精卵の成長が改善する可能性があります。
IMSI(intracy toplasmic morphologicallyselected sperm injection) 法とは、超高倍率の顕微鏡を用いて、より形態のよい精子を選択する方法です。
通常の顕微授精を行う際、精子の選別は400倍の顕微鏡下で行い、良好な運動性と正常な形態を併せ持った精子を卵子に注入します。
しかし、なかには精子の頭部に空胞があるなど、通常の倍率では確認できない形態の違いを持つ精子もあります。

一方のIMSI法とは、6000倍以上での精子観察を可能とした専用の顕微鏡を用いることで、精子の頭部の状態などを詳細に観察し、よりよい形態の精子を選び取って顕微授精に用いる治療方法です。
この方法を用いることで、複数回の顕微授精を行ってもよい結果が得られていない方に対して、胚発生の改善や妊娠率の向上などが期待できるようになりました。


STEP 5 胚移植 成長した受精卵(胚)を子宮内へ移植


移植方法の選択はとても大切です。以下にこの4通りの移植方法について解説します。

【初期胚移植】
採卵後2日目ないしは3日目の4分割から8分割にまで成長した初期胚を移植します。
通常移植する胚の個数は1個です。体外で培養する期間が短いことが利点です。受精卵が複数個ある場合には、移植しなかった胚は凍結保存します。
場合により移植しなかった胚はさらに2~3日間培養を継続し、胚盤胞に成長した段階で凍結保存して将来に備えることもあります。
この時、胚盤胞に成長できず成長が止まってしまった胚は、移植しても妊娠することはありませんので、廃棄することになります。

【胚盤胞移植】
採卵後5日目ないしは6日目に胚盤胞に成長した胚を移植する方法です。
通常移植する胚の個数は1個です。胚盤胞に成長できた胚だけを移植しますので、移植1回あたりの妊娠率は高くなります。
体外で培養する期間が長いため、母体と受精卵が別々になる期間が長くなることが欠点です。
胚盤胞が複数できた場合には、移植しなかった胚は凍結保存します。

【シート(SEET)法】
シート法では、まず体外受精あるいは顕微授精等で得られた胚を体外で5~6日間培養し、胚盤胞になったら、これを一度凍結します。
同時に、この胚盤胞を培養した培養液も回収し、別に凍結しておきます。
別の周期にこの胚盤胞を融解移植する際、まずあらかじめ凍結しておいた培養液を融解し、子宮腔内に注入して、その2~3日後に胚盤胞を融解移植します。
通常移植する胚の個数は1個です。このシート法は当院で開発し、医療特許を取得した治療方法です。

【二段階胚移植】
二段階胚移植とは、体外受精あるいは顕微授精等で得られた胚の移植にあたって、まず、採卵後2~3日目に初期胚を1個移植し、移植に供しなかった胚は培養を継続。
採卵後5~6日目に胚盤胞になったら、これを1個移植、合計2個の胚を移植する方法です。


STEP 6 黄体補充療法 着床や胚の発育を助けるホルモン


黄体機能とは、排卵後の卵巣からの黄体ホルモン、および卵胞ホルモンの分泌機能のことです。
この2種類のホルモンは、子宮内膜に作用して子宮内膜を着床準備状態に調整し、着床後は胚の発育を助ける作用を持っています。
当院では、黄体ホルモン剤としてウトロゲスタン(R)(海外の薬剤)というプロゲステロン坐薬、卵胞ホルモン剤としてエストラーナテープ(R)を使用します。
これらの薬が体に合わない場合には、注射や内服薬を使用します。妊娠維持のためには黄体補充療法もとても大切です。

[妊娠判定]
採卵後15日目ごろ、外来で妊娠成立の有無を判定します。
通常、血液検査にて判定しますが、まれに尿検査で判定を行うこともあります。妊娠成立を確認できた後も、妊娠が安定するまで黄体補充療法は継続して行います。


出典:Hanabusa with jineko.net






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