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PCOS体質で、着床前診断で染色体異常も。良い卵子を得るには?

コラム 不妊治療

PCOS体質で、着床前診断で染色体異常も。良い卵子を得るには?

「もう良い卵子を採ることは難しいですか? また、短期間に何度も高刺激法で採卵することで、卵子の質が下がることはありますか?」

2016.11.1

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PCOS体質で、着床前診断で染色体異常も。良い卵子を得るには?



相談者:ELLEさん(42歳)
卵子の質を上げるには?
私は42歳、夫は44歳で、現在海外で顕微授精を試みています。しかし、これまで3回の採卵で、1回目は12個採れて5個受精、2回目は12個採れて6個受精、3回目は7個採れて2個受精しましたが、着床前診断ですべてに染色体異常、それも複数の異常があり、断念せざるを得ませんでした。PCOS体質でもあり、初潮から現在に至るまでずっと生理不順です。年齢的なこともあると思いますが、もう良い卵子を採ることは難しいですか? また、短期間に何度も高刺激法で採卵することで、卵子の質が下がることはありますか? サプリメントや運動などで、多少でも卵子の質を上げることは可能ですか? 今後は、人工授精やタイミング指導などにステップダウンしたほうがいいですか? ぜひ、アドバイスをお願いします。



 海外で不妊治療をされています。相談者のELLEさんは42歳、ご主人は44歳。PCOSもあり、採卵には問題ないものの、染色体異常などがあって悩まれています。


原先生:よくあるケースです。ご年齢が42歳ですし、染色体異常がわかっても防ぐことはなかなか難しく、これといった対策もないのが現状です。ご年齢に加えてPCOSがあることで、採卵できる数は十分でも、卵子に染色体異常がある可能性が高く、医師としては「根気よく治療を続けましょう」と申し上げることしかできません。


 PCOSは改善できますか。


原先生:PCOSは、インスリンが何らかの形で関わっているとされます。そのため、糖尿病ではないにしろ、糖尿病に準じた治療をすることで改善することが多くあります。不妊治療の医師でも診断可能なので、糖尿病の検査を受けたうえで、メトホルミンという経口薬を処方してもらい、服用するといいかもしれません。糖尿病の疑いがなくても、少量を服用することで功を奏するケースもありますので、ぜひ医師と相談してみてください。
また、グリスリンというサプリメントにも期待を寄せています。これはマイタケ由来の抽出物質を原料としたもので、インスリン抵抗性に働きかけます。日本でも最近見かけるようになりましたが、海外でしたらさらに手に入れやすいのではないでしょうか。どちらも卵子の染色体異常を根本的に改善するものではありませんが、併せて服用することで卵子の質が良くなることが見込まれます。


 35~90日と生理も不順です。


原先生:メトホルミンとグリスリンを服用することで、生理周期も整うことが期待できます。次の採卵まで、まずは2~3カ月服用してみることをおすすめします。


 このまま高刺激で採卵したうえで顕微授精を続けるか、人工授精やタイミング指導にステップダウンするかといったことでも悩まれています。


原先生:PCOSであるなら、高刺激ではなく、中刺激程度で十分かと思われます。これまでの採卵では12個採れていますが、目標を5、6個に定めて採卵したほうが良い結果につながる気がします。高刺激だとどうしても小さい卵子が多くなり、ホルモンバランスを崩す原因にもなりかねません。12
個も採れたのにもかかわらず、5個しか受精しないのもそのためだと思われます。
今後の治療法も、ひとつに絞ることはないと思います。まずは、医師の指導のもとでメトホルミン、グリスリン、クロミッドⓇなどを上手に組み合わせて服用しつつ、きちんと定期的に排卵できるよう、体を整えることが大切です。それによって良い卵子ができれば、タイミングでも妊娠は可能ですから。
また、男性も45歳あたりから精子に染色体異常が起きやすくなります。しかし、卵子同様に若返らせる術はないので、体外受精も試み、時には人工授精も、時にはタイミング指導も受け、自然妊娠も可能なよう夫婦仲も健全に保つこと。この方法でなければ! と決めつけず、妊娠できる方法をあらゆる角度から試してみてはいかがでしょうか。





はらメディカルクリニック 原 利夫 先生

1983年、慶應義塾大学大学院(医学)修了にて医学博士学位を取得。同大産婦人科助手時代、日本初の凍結受精卵ベビー誕生の一員として活躍。その後、東京歯科大学市川病院講師、千葉衛生短大非常勤講師を経て、1993年はらメディカルクリニックを開院。「イ
ンディバ」はスペイン発の施術。はじめは美容や痩身目的で考えられたものですが、近年は不妊にも高い効果があるのではないかと注目されています。国内で導入している施設はまだ少ないので、興味がある方はぜひ当院で体験を(セラピスト勝山さん)

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出典:女性のための健康生活マガジン jineko vol.32 2016 Winter
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