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疲労は卵子の老化を早める?

コラム 不妊治療

疲労は卵子の老化を早める?

なかむらレディースクリニック Webコラム

2017.4.18

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疲労は卵子の老化を早める?


2017/4/18 中村 嘉宏(なかむらレディースクリニック 院長)







相談者:うさこさん(年齢:秘密)


最近、仕事ではないのですが、身の回りがバタバタとしていて、とても疲れがたまっています。

昨年結婚し、なかなか子どもを授からないので、3ヶ月前より不妊専門病院に通いはじめました。タイミング指導を2回していただきましたが、まだ妊娠に至りません。

血液検査の際、生理開始3日目のFSHの値が少し高め(10でした)と先生に言われ、ネットで調べてみたら、卵子の質にかかわるようなことが書いてあり、すごく不安になりました。

内膜症もあるので余計に心配です。疲労はそれに拍車をかけているのではないか、と思うのですが。やはり、あまり疲れをためない生活の方がいい卵子を作ることができて、妊娠しやすいのでしょうか。



 



疲労は卵子の老化に影響しますか?


結論から言うと、卵子の老化と疲労(ストレス)はあまり関係ありません。健康を害する極度の疲労であれば卵子よりも排卵に影響するので問題ですが、適度な疲労はある程度、体に必要なものです。誰も疲労から100%逃れることはできませんし、逆に疲労しなくても卵子は時間とともに加齢します。疲労感を覚えるのもなかなか妊娠しないことによる心理的な要因も多いのかと推察します。まだ治療が始まったばかりなので、焦りすぎてはいけません。


卵子の老化について教えてください。


卵子の老化の原因には、喫煙、生活習慣、疲労を含めたストレスが挙げられることが多いのですが、老化の一番大きな要因は加齢による影響です。ストレスがあってもなくても老化は確実に進行します。20代の人が排卵した卵子は20年が経過した卵子。40代の人であれば40年が経過した卵子です。要するにダメージがどんどん蓄積され卵子が老化していくとイメージしていただければわかりやすいと思います。


卵子の老化を改善する方法はありますか?


残念ながら老化している卵子を改善する確実な方法はありません。ただうさこさんの場合は、卵子の質と残り数を混同されている可能性があります。卵子は生まれてから増えることがなく、加齢とともに排卵しなくてもどんどん残り数が減少します。卵子の残り数が少なくなるとFSHが上昇してきます。つまりFSHの上昇は基本的には卵子の数の問題であり、質の問題とは少し異なります。

また、FSHが10であれば、極端に高い訳ではありません。卵子の質や残り数に問題がなくてももともと10くらいの健康な方もいます。
うさこさんの場合、卵巣年齢、つまり卵子の残り数の指標となるAMHの値を測定しましょう。AMHが低いようであれば、卵子の残り数が減少している可能性があるので体外受精を早めに考慮し受精卵を凍結して貯めておくのが良いと思います。また、内膜症があることも卵管の癒着などの可能性があるため、体外受精を考慮する要因の一つです。繰り返しますが、卵子の残り数と卵子の質は別のものです。AMHが低くても、FSHが少し高めぐらいでしたら、卵巣のどこかに質のいい卵子がある可能性があります。そのいい卵子にめぐりあえるよう治療を早めに進めていくのが一番いいと思います。




中村先生より まとめ


適度な疲労は体に必要なもので、健康を害する程度でなければ、卵子の老化にはほとんど関係ありません。卵子の老化の一番の原因は加齢。卵子の老化と数の減少は少し意味合いがことなります。どちらも確実な改善方法はないので、いい卵子にめぐりあえるよう体外受精を含めた早めの治療をおすすめします。



 



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お話を伺った先生のご紹介





中村 嘉宏 先生(なかむらレディースクリニック)


大阪市立大学医学部卒業。

同大学院で山中伸弥教授(現CiRA所長)の指導で学位取得。大阪市立大学附属病院、住友病院、北摂総合病院産婦人科部長を経て、2013年より藤野婦人科クリニック勤務。2015年4月なかむらレディースクリニック開院。

なかむらレディースクリニック


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