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卵管障害なら胚盤胞移植?

専門医Q&A 女性の健康

卵管障害なら胚盤胞移植?

「両方の卵管がつまっています。完全に閉塞しているわけじゃないですが、膜が張ってしまって非常に通りが悪いです。こういうケースは、胚盤胞まで育てて移植しないと着床しないのでしょうか?」

2010.9.14

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るまさん(41歳)


両方の卵管がつまっています。完全に閉塞しているわけじゃないですが、膜が張ってしまって非常に通りが悪いです。
 こういうケースは、胚盤胞まで育てて移植しないと着床しないのでしょうか?
 加藤レディスクリニック院長の「不妊治療はつらくない」という本に、卵管回帰説という考え方が載っており、4分割胚(又は8分割)を子宮に戻した場合、胚はいったん卵管に移動し、そこで胚盤胞まで育ってから子宮に戻ってきて着床する、というのです。つまり4分割胚を戻してから着床するまでには、卵管が果たす役割が不可欠だから、卵管の無い人・両卵管閉塞の人は必ず胚盤胞にしてから移植しなければ着床しない、というのです。
 私の通っている病院で医師に質問したら、移植した肺が卵管に移動するという説は今のところ「有力」な説ではある、という答えでした。
 私は高齢のため採卵できる卵の数も少なく、それを胚盤胞まで育てるかどうかは大きな決断です。前回は、そもそも1個しか受精しなかったので、胚盤胞まで育てる勇気は無く、8分割の段階で移植しましたが、ダメでした。
 次はどうするかで悩んでいます。胚盤胞まで育ててくれとお願いして、けっきょく受精卵が全滅するリスクはあります。でも、もしこの「卵管回帰説」が正しいとすれば、私もほぼ卵管閉塞なのだから、胚盤胞移植でなければ着床する可能性はほとんど無いのではないか?と考え込んでいます。
 同じような話を聞かれた方がいらっしゃいましたら、どんな情報でもいいので教えてください。




お話を伺った先生のご紹介

田中温 先生 (セントマザー産婦人科医院)


「赤ちゃんがなかなかできない」というつらさは、精神的にも身体的にも、とても苦しいものです。そして、治療を始めるとなると、さらに経済的な負担も大きくなります。
当院では、不妊治療を中心に、長い年月、多くの患者様の診療を行ってまいりました。いつもたくさんの患者様の真摯な思いに胸を打たれます。私たち、スタッフ一同は、これからも、たゆまない研究努力を怠らず、患者様をサポートできる体制を日々充実させ、患者様の苦しみに心をよりそわせながら、おひとり、おひとりの患者様の願いがかなうよう、お手伝いさせていただければと思っております。


≫ セントマザー産婦人科医院




「卵管回帰説」は、ごく初期の生命現象の1つとして考えられるものかもしれませんが、私の考えでは、非常に稀な場合にのみ当てはまる現象と思います。といいますのは、卵管は、卵管の外側の卵管采から子宮内腔に向かって、線毛という細胞の働きと卵管自体の収縮作用で、稲穂がなびくように、外側から、子宮内に向かって物を輸送し、卵子は子宮内へ運ばれて着床します。
一方、精子にはプロペラの働きをする鞭毛がついており、自分で推進することができ、子宮の中から卵管采へ移動できます。子宮の中に入れた胚が卵管の中に取り込まれ、それが卵管の先端、膨大部まで運ばれるということは、生理的な運搬とは逆方向となり、一般的には起こりえないと考えられます。
ただし、卵管の機能が障害されたような状態、すなわち卵管通過障害などがある場合には、この卵管の正常な機能が消失されたために、卵管の中に吸い込まれ、子宮に戻ることができず、子宮外妊娠となることはあります。
胚盤胞移植ができない数年前までは、両側卵管閉塞の場合も含め、4細胞~8細胞での移植が一般的であり、そのときの妊娠率と現在の胚盤胞移植において、周期あたりの着床率はそれほど変わっておりません。ですから卵管の無い方は、必ず胚盤胞にしなければ移植できないという考えは臨床的立場から見ても正しいとはいえません。両側の卵管閉塞の方でも、たとえ胚盤胞にならなくても妊娠・出産される可能性は十分にあります。ご心配はないと思いますよ。





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