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夫が精索静脈瘤の手術。私の卵管通過障害も治すべき?

コラム 不妊治療

夫が精索静脈瘤の手術。私の卵管通過障害も治すべき?

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2018.12.21

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※2018年11月22日発刊「女性のための健康生活マガジン jineko vol.40 2018 Winter」の記事です。


もこみさん(32歳)からの相談
卵管の通過障害は積極的に治療すべき?
不妊治療を始めて7カ月目、タイミング指導を経てAIHによる不妊治療中です。検査で夫に精索静脈瘤(両側)が見つかり、私は右卵管の通過障害があることが判明。AIHは2度チャレンジするもどちらも陰性でした。その後夫が手術することになり、現在治療をお休みしています。そこでふと、この期間に私の卵管の治療もすべき?という疑問がわいています。主治医は卵管治療に消極的な意見で、治療の対応もできないというようなことも聞きました。でも、私も治療すればより妊娠しやすいのか?治療するメリットがあるのか? またFTカテーテル手術、腹腔鏡下手術とあるようですがどちらを選択するのが一般的なのかわかりません。

まとめ
●余裕があればご主人の術後所見を見て、ご自身の手術の選択をしても。
●FTカテーテル手術のほか、子宮鏡下卵管通水法という方法もあります。

お話を伺った先生のご紹介

林 直樹 先生(ウィメンズクリニックふじみ野)


1983年、東京大学医学部卒業。埼玉医科大学総合医療センター(川越市)などを経て、現職。


ご主人が手術をされている今、もこみさんも卵管通過手術を積極的にすべきなのでしょうか?


これは迷うところではありますが、ご主人の手術が終わり、3カ月~半年の精子所見の改善を見てからの判断でもよいと思います。もし、精子濃度や運動率が改善されず、人工授精では難しいと判断された場合は体外受精へのステップアップとなります。こうなると、もしこの期間にもこみさんが卵管通過手術をしたとしても、手術にはメリットがなく、無駄になってしまうからです。もこみさんは32歳と比較的お若いので、精神的、そのほか余裕があるのなら、ご主人の術後の経過を見てからの判断でもよいと考えます。ご主人の手術後、改善が見られれば、たとえもこみさんの片方の卵管が詰まっていても、妊娠することは可能なのでFTカテーテル手術をしないという選択もあります。ただ、長期的な視野で、今後ご主人の精子に問題がないという条件で、体外受精に頼らず治療を進めていきたいと考える場合、FTカテーテル手術をするのもひとつの選択ではあります。


卵管を通過させる方法として、FTカテーテル手術のほかに、腹腔鏡下手術という選択はあるのですか?


FTカテーテル手術(卵管鏡下卵管形成術)は、卵管と子宮の連結部にあたる「間質部」に閉塞が見られた場合に適用となります。そして卵管の先端にあたる卵管采に閉塞が見られる場合は腹腔鏡下手術となります。手術を選択する場合、まずは、もこみさんの卵管はどこで詰まっているのかで手術法は変わってきます。
FTカテーテル手術には保険が適用されますが、設備や医師の経験値が必要となるので、どこのクリニックでも対応しているわけではありません。ただ、危険を伴うものでなく、90%の疎通率と言われています。また、卵管通過障害だけでなく、子宮内膜症や卵巣や卵管に癒着が認められた場合、腹腔鏡下手術との併用も可能です。


もこみさん自身の手術は別にして、何かできることがあればアドバイスをお願いします。


FTカテーテル手術のほかに、「子宮鏡下卵管通水法」という手段があります。FTカテーテル手術より疎通成功率はやや低いですが、比較的どこの施設でも受けやすく、保険適用外ではあるものの最終的な金額はFTカテーテル手術より少し金額が下がるのがメリットです。卵管の入り口から通水用のカテーテルを挿入し、インジコカルミンという色素を薄めた液を注水するものです。FTカテーテルほどのパワーはないですが、今後の選択肢のひとつになるかもしれません。また、軽度排卵障害があるようですが、もこみさんのBMIが高く適正体重から9㎏オーバーしているのが気になります。ご主人の手術中に、ウォーキングなどの軽い運動をして適正体重に落とし、より妊娠しやすい体づくりをするのも、今すぐできることとしておすすめします。


出典:女性のための健康生活マガジン jineko vol.40 2018 Winter
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