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開通手術をした卵管が 1年後に詰まりました

専門医Q&A 不妊治療

開通手術をした卵管が 1年後に詰まりました

「今後、体外受精を考えていますが、残っている卵管も切除したほうがいいのでしょうか?」

2018.2.24

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相談者:チビマロさん(33歳)からの相談


▶2度目の子宮外妊娠はあり得る?


2年前に子宮外妊娠をして右卵管を取りました。その際に左の卵管が詰まっていたので手術もしました。原因はクラミジア菌が残っていたそうです。手術後は菌を殺すための薬を服用しました。1年後、不妊治療を受けようと卵管造影をしたところ、左の卵管が詰まっているとのこと。最近、日に日に下腹部の重みや左側の痛みが増して、吐き気もします。先生には「クラミジア菌が死んでいないし、残っている卵管に菌が付いているかもしれない」「もう一度、子宮外妊娠をする可能性がある」とも言われていたので、怖いなと思っています。今後、体外受精を考えていますが、残っている卵管も切除したほうがいいのでしょうか?



詰まっている卵管を通す手術をしたそうですが、1年後にまた詰まってしまったとか。そういったことはあるのでしょうか?


どういった手術をしたか、また、卵管がどのあたりで癒着していたのかにもよりますね。
ただ、卵管の真ん中あたりが詰まっていて、そこを切って繋ぐという手術は、おそらくこの手術中にはできないので、もし何かをしたというのであれば、先端の卵管采が詰まっていて、そこを切って広げて穴を開けたということではないでしょうか。
そうなると、腹腔鏡でのマイクロサージェリー的な手術は可能ですが、よほど専門的なドクターが行ったとしても、うまくいって30%くらいまでの妊娠率しか出ないと思います。結局、また詰まってしまうということも多く、それ自体、珍しいことではありません。


それはクラミジア菌が死なずに残っているから、ということでしょうか?


クラミジア菌が残っているかは証明できるものではありません。おそらく、クラミジア菌の抗体が陽性だったため、そのように言われたのでしょう。菌自体はそんなに長く残るものではありません。薬も念のためということではないでしょうか。
ただ、クラミジアに感染すると、片方の卵管だけに炎症を起こすわけではなく、子宮内膜など全体にダメージを残してしまうので、卵子が子宮の中まで到達できなかったり着床できなかったりして、運悪く子宮外妊娠を起こす頻度は高くなります。つまり、もともと片方の卵管で子宮外妊娠を起こした人は、残念ながら、もう片方でも起こす可能性は高くなってしまうのです。
ですから、残っている卵管が詰まるかどうかにかかわらず、こういった手術を受けて1年たっても妊娠しなければ、その先は体外受精に進むのが一般的になります。私も以前3回までは卵管を残す手術をしたケースがありますが、それぞれの卵管で子宮外妊娠を繰り返したので、両卵管を取らざるをえなくて、最終的には体外受精でした。


下腹部の痛みや左側の痛みが増すというのは、どういうことでしょうか?


左側の卵管が詰まっているのだとしたら、卵管に水が溜まって炎症が起きる卵管水腫になっている可能性があります。そうなるとお腹の痛みもなかなか引かないと思いますので、薬物治療を行って、改善しなければ、卵管を取るしかありません。
また、卵管水腫があって体外受精をしても、卵管に貯留している液体が子宮内に逆流して、子宮内の環境を悪化させてしまうために着床しづらく、妊娠率は悪いというデータがあります。
チビマロさんはまだ年齢的には若いですが、体外受精も選択肢に入っているのであれば、まずは検査を受けられて、卵管水腫があるのならば左卵管も早めに切除して体外受精に進んだほうが、結果的にはいいのではないかと思います。





Doctor’s advice


●手術後1年たっても妊娠しなければ、体外受精に進むのが一般的。
●左卵管水腫の可能性も。痛みを解消するためにも早めの切除を。



 


お話を伺った先生のご紹介

生田 克夫 先生(いくたウィメンズクリニック)


名古屋市立大学医学部卒業。名古屋市立大学産科婦人科学教室助教授、名古屋市立大学看護学部教授などの経歴を重ねたが、不妊に悩む名古屋の方たちの役に立ちたいという思いで、教育者の立場を辞して独立。地元・名古屋の中心部、栄に開院し、1986年から体外受精の現場を歩いてきた経験と穏やかな人柄で、数多くの患者さんを妊娠に導く。もし長期旅行をするならスイスでアルプスを眺めたいという先生。「地質学が好きなので、雄大な山ができる現象を思い描くのが楽しい。そこで生きる人間のたくましさや、それを越える自然の偉大さを感じるのが面白いですね」。

≫ いくたウィメンズクリニック

出典:女性のための健康生活マガジン jineko vol.37 2018 Spring
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