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どういう症状? 治療法はある? PCOS を正しく知ろう

コラム 不妊治療

どういう症状? 治療法はある? PCOS を正しく知ろう

治療をしていると「PCOS」という言葉、時々耳にしませんか? 
現代女性に増えているように聞こえるこの病気について、フェニックスアートクリニックの藤原先生に伺います。

2019.2.28

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※2019年2月25日発刊「女性のための健康生活マガジン jineko vol.41 2019 Spring」の記事です。


Doctor’s advice
PCOSは治療手順が確立した病気。
怖がらず治療ステップを踏んでいきましょう。

お話を伺った先生のご紹介

院長 藤原敏博先生(フェニックスアートクリニック)


東京大学医学部卒業。山王病院リプロダクション・婦人科内視鏡治療センター・センター長、国際医療福祉大学臨床医学研究センター大学院教授、東京大学医学部附属病院女性診療科・産科講師・周産母子診療部IVFセンター長を歴任。今年9月に開院したフェニックスアートクリニックの院長に。都心でありながら、静かな場所に建つクリニックは、シックなヨーロピアンインテリアで、患者さんの気持ちがリラックスできるような設計に。

≫ フェニックスアートクリニック

PCOSは最近認知された病気で80年前から報告がある症状


PCOSは略称で、正しくは多嚢胞性卵巣症候群という病気です。不妊治療を経験されている方なら、この病名を聞いたことがある方も多いかもしれません。確かに不妊治療の現場ではよく聞く病気で、増えてきているように感じるかもしれませんが、本当のところはそのようなことはありません。現在の報告では女性の5~8%にPCOSの症状があると言われています。約80年前にこの病気は報告されていますが、日本でよりよく認知されるようになったのがここ最近というだけのことで、決して珍しい病気ではないのです。
さて、このPCOS、原因として、さまざまなことが取り上げられていますが、どれも決め手には欠けているのが現状です。海外の教科書には「肥満・多毛」の人が多いと書かれていますが、アジアにおいては必ずしもこれは当てはまりません。また、遺伝的な要素があるとも言われていますが、決め手になる遺伝子はみつかっていません。このように、要因がはっきりしないと、難病なのでは? と思われがちですが、実はそのようなことはなく、PCOSは対処法が確立されている病気で、出口がしっかりわかっているのが特徴的、という珍しい病気なのです。




PCOSは3つの症状が揃って確定するもの


PCOSかどうかを判断する基準ですが、少し前、ヨーロッパでは見た目を重視、アメリカではホルモン数値を重視し、見解がバラバラでした。そこでロッテルダムで共通の基準を設ける会議を開き、診断方法を統一することにしました。日本でも2007年に診断基準が新しくなりました。
1つめは月経異常。学会の定義では生理周期は25~37日とされていますが、PCOSの場合は40日~2、3カ月と周期が長くなる傾向があります。2つめは、まさに見た目。両卵巣の中の小さい卵胞が数珠状につながった状態で、これをネックレスサインと呼びます。卵胞はぎっしり詰まっているのに、排卵にもっていくことができない、つまり排卵のメカニズムが整っていない状態です。そして3つめは、ホルモン数値。血液中のアンドロゲン(男性ホルモン)高値、もしくは黄体化ホルモン(LH)が卵胞刺激ホルモン(FSH)より高値になっていること。この3つの状況が揃って初めてPCOSと診断することにしています。


治療法は段階を追って。まずは排卵誘発剤から


先ほどお伝えした通り、PCOSは治療方法が確立している(今から10年ほど前に日本産科婦人科学会が治療指針を策定し、私もその委員の一人として参加しました)ので、医師は順を追って治療していくことになります。知っておいてもらいたいのは、たとえ妊娠を希望していなくてもPCOSは放っておかないほうがいいということです。なぜなら、生理がこない状況を放っておくと、子宮体がんになりやすいからです。定期的に生理を起こして子宮内膜の保護をしておけば将来的な不妊への心配も防げます。
妊娠を望む方で、もしPCOSの特徴のひとつと言われる肥満が認められる場合(BMIが25以上)はウエイトコントロールが必要です。私の場合、無理のない範囲で現体重より5%落とすことを目標にしてもらっています。肥満ではない場合のファーストチョイスは、排卵誘発剤(クロミフェン)の服用です。これでたいていの方に排卵が起こると言われています。これでも排卵が起こらない場合は、クロミフェンとメトホルミンという薬を併用します。本来メトホルミンは、糖尿病の治療薬なのですが、PCOSの患者さんは糖尿病の患者さんと同じくインスリンに対する反応性が悪いという特徴があり、2種の薬を併用する治療を行います。そのほか、レトロゾールという薬を使うこともあります。なお、メトホルミンとレトロゾールは保険適応とはなりません。
これでも排卵、妊娠に至らない場合は、その次のステップとして2つの選択肢があります。一つはFSHというペン型の注射剤を自宅で投与してもらいます。低用量で微調整ができるため、その人に必要かつ十分な量を投与できるもので、保険適用ができます。
もう一つは卵巣ドリリング法という腹腔鏡手術です。以前はPCOSで手術をする場合は、開腹手術を行っていましたが、癒着を起こすというデメリットがあり、これが不妊の別の原因になることもありました。現在は、内視鏡が進歩したおかげで、レーザーで10~15カ所ほど照射して穴をあける手術をすると、排卵が起こることがあります。ただ、どこのクリニックでも行っているものではないので、医師との相談が必要でしょう。


最後は体外受精へ


ここまでの治療で7~8割の方が妊娠されますが、私のクリニックにはそれでも妊娠に至らない方がいらっしゃいます。ご夫婦にほかの不妊原因があるケース、排卵が起こっているのに妊娠しないケース、もしくは注射で排卵のコントロールができない、つまりはどかんと大量に排卵が起こってしまうケースがあり、このような場合は体外受精の適応となります。後者の場合はOHSS(卵巣過剰刺激症候群)に配慮し、繊細なコントロールをしながら卵胞の発育を促します。腰が引けすぎても卵子が採れないので、ここは医師の経験値が必要とされるところでしょう。体外受精の場合は予想以上に多く採卵したとしても凍結できるので、多胎の心配をしなくていいので安心です。
このように治療の一連の流れをお伝えしましたが、PCOSはこれだけの治療の選択肢があるので、必要以上に心配せず治療に励んでほしいと思います。


出典:女性のための健康生活マガジン jineko vol.41 2019 Spring
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