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採卵前の卵胞が大きすぎて心配。 薬の使い方にもギモンが…

コラム 不妊治療

採卵前の卵胞が大きすぎて心配。 薬の使い方にもギモンが…

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2019.3.11

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※2019年2月25日発刊「女性のための健康生活マガジン jineko vol.41 2019 Spring」の記事です。


あおいさん(36歳)からの相談
卵胞が大きすぎ? 点鼻薬のやめ時もギモン
体外受精3回目で、採卵を4日後に控えています。前回は2回とも採卵前に排卵してしまい、採れた卵子が少なかったのです。いま採卵前なのにすでに卵胞が26mmと大きく、ほかにも20mmを超えるものもあります。ショート法で点鼻薬(スプレキュア®)を続けていますが、採卵の前日朝まで使うように言われています。一般的に点鼻薬は、採卵の前々日のHCG注射時にやめる場合が多いようですが…。看護師さんに聞いても先生からの指示なので、と言われるだけです。26mmと大きい卵胞があるのに4日間も待ち、前日まで点鼻薬を使うものなのでしょうか? このことによって悪影響がないか、前回と同じように結果が出なかったらどうしようかと不安で不安で仕方ありません。

まとめ
●4日後の採卵日は成熟卵がたくさん採れる時期を狙ったのでは?
●納得した治療が大事! 薬の使い方も臆することなく先生に聞きましょう。

お話を伺った先生のご紹介

小川 誠司 先生(荻窪病院 産婦人科/虹クリニック)


名古屋市立大学医学部卒業。2010年、慶應義塾大学大学院博士課程(産婦人科専攻)入学。2014年、慶應義塾大学病院産婦人科助教。2018年から荻窪病院に勤務。日本産科婦人科学会産婦人科専門医。婦人科、不妊治療すべての女性のパートナードクターを目指し、質問しやすい雰囲気づくり、わかりやすい言葉での説明を心掛ける。

≫ 荻窪病院 産婦人科/虹クリニック

相談者のあおいさんが行っているショート法とは、どんな卵巣刺激方法ですか。


GnRHアゴニストという排卵誘発剤の点鼻薬(ナサニール®やスプレキュア®)を使う刺激法には、ロング法とショート法があります。ショート法では、生理の1~3日目以内に点鼻薬を開始し、併行してHMGも注射しながら卵胞を育てます。GnRHアゴニストには、長期に使うとホルモンの分泌を抑えて「排卵を制御する」効果があるのですが、点鼻薬を開始した直後は「卵胞を育てて排卵を誘発する」という真逆の現象(フレアアップ)が起きます。この現象を利用して、短期間で採卵にもっていくのがショート法です。


ショート法のメリット、デメリットは?


メリットはフレアアップを起こすときに、患者さん自身が分泌している卵胞を育てるホルモンを利用するので、投与するHMGの注射量がロング法に比べて少なくすみます。同時にホルモンを抑制する期間も短いので、卵巣機能が低めの方にも行えます。一方、採卵の引き金をひくためのHCG注射が必要になるため、卵巣過剰刺激症候群(OHSS)のリスクがあることと、フレアアップが卵子の質に悪影響を与えるという報告もあります。


先生がよく行う卵巣刺激法はありますか。


患者さんの卵巣機能はもちろん、周期によってホルモン状態が大きく変動するので、臨機応変に対応しながら治療を行います。刺激法にはいくつかありますが、卵巣機能がよい状態に保たれている方にはアンタゴニスト法が第1選択です。比較的高齢でアンタゴニスト法でよい結果が得られなかった方は、胞状卵胞数(AFC)が保たれており、刺激で採卵数が見込めそうな場合にショート法を第2選択とします。OHSSのリスクのある方は低刺激法が第1選択です。


相談者の採卵の進め方はどう思いますか。


あおいさんが心配されている採卵前の卵胞サイズですが、一般的には20mm前後です。刺激法は卵胞の成長にバラツキが出ます。前回2回の採卵数が少なかったとのこと。先生はほかの卵胞の成長を見込んで、より多くの成熟卵が採れそうな時期を狙って採卵日を決めたのではないでしょうか。


点鼻薬をやめるタイミングについては?


おっしゃるようにHCG注射の日にやめるのが一般的ですが、何か先生の意図や根拠があってのことでしょう。生殖医療の分野は、100人の先生がいたら100人が同じ治療ということは非常に少なく、先生の経験値や考え方に基づくことが多いのです。患者さんは一つひとつ納得して、不安を取り除きながら治療を受けられることがとても大事です。
私の場合、移植してうまくいかず次の治療をご提案する時は、私なりの明確な根拠を患者さんに説明するようにしています。生殖医療は決して安価な治療ではありませんし、時間も貴重です。看護師さんを通してでも、ぜひ先生に臆することなく質問してみましょう。


出典:女性のための健康生活マガジン jineko vol.41 2019 Spring
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