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不妊治療のために、今「知っておきたい」こと 3

インタビュー 不妊治療

不妊治療のために、今「知っておきたい」こと 3

連載第三回目。医学の進歩とともに、日々更新される情報。ときおりは、不妊治療においても新しい風が吹くことが!そんなトピックスをまじえながら、桜十字渋谷バースクリニックの井上先生に今後期待される治療法を解説していただきます。

2019.4.17

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「タイムラプス」について。




胚の環境を変えることなく観察が可能に


体外受精でできた受精卵(胚)は、女性の体内を再現した環境に整えたインキュベータ(培養室=温度を一定に保つ装置)の中で数日間培養した後、状態の良いものを選んで移植されます。これまでは、培養中に順調に細胞分裂が行われているかのプロセスを確認するために、定期的にインキュベータから取り出して、顕微鏡で観察する必要がありました。


しかし、観察するたびにシャーレを外部に取り出すことで受精卵にストレスがかかり、その後の成長に影響を与える恐れがありました。また、分裂のタイミングを見逃さないようにするためには培養士が常に注視しなければならず、負担も大きいものでした。


それを解消したのが【タイムラプスインキュベータ】で、胚の成長過程の画像を連続撮影できる装置を付け加えたものです。環境を変えることなく観察ができるので、より安全・安心に胚の成長を見守ることができるようになりました。


 


分割のプロセスを確認することは重要


見た目は同じような胚であっても、正常なプロセスを経て成長したものかどうかを見極めることは、実はとても重要です。

胚は通常、受精から約1日で2分割、約2日後で4分割、約3日後に8分割と細胞分裂を繰り返しますが、初期に3分割といった不規則的な分割をすることもあり、この場合は何らかの異常があると考えられます。最終的に見た目は正常であったとしても、プロセスに異常があった胚は、移植しても妊娠にいたらないことが多いのはいうまでもなく、この第一分割の状態が、胚の成長や胚移植後の妊娠成績と大きく関係するという報告もあります。

また、移植に適した胚と適さない胚があることを、患者さんにご説明・ご納得していただくのにも、タイムラプスの画像はとても有意義です。

タイムラプスインキュベータの利用は別料金になりますが、高いものではないので当院ではすべての患者さんにお勧めしています。


 


期待される次世代型のAIタイムラプス


AI(人工知能)を備え付けた次世代型のタイムラプスインキュベータも登場しています。受精の確認や評価には培養士の技量が必要不可欠ですが、AIを備えたものであれば、胚の成長過程のわずかなトラブルも見逃さずに自動検知され、培養士の技量に左右されずに安定して評価することができる可能性があります。

高価なのでまだ一般的に普及するのには時間がかかりそうですが、より精密な培養ができるのではないかと期待を寄せています。


 


まとめ

・受精卵(胚)に負担なく観察が可能に
・胚分割のプロセスを確認するのは重要
・次世代型のAIタイムラプスに期待


 


不妊治療のために、今「知っておきたい」こと (第一回) 
不妊治療のために、今「知っておきたい」こと (第二回) 


 


お話を伺った先生のご紹介

井上治 先生(桜十字渋谷バースクリニック院長)


医学博士、日本産科婦人科学会認定産婦人科専門医、日本生殖医学会認定生殖医療専門医、母体保護法指定医。2005年福岡大学医学部卒業、2007年 慶應義塾大学病院産婦人科医局入局、2016年東京歯科大学市川総合病院勤務、2018年より現職。「患者さまの思いに寄り添い、現代を生きる女性たちが自分らしく、自分が望む生き方ができるよう、さまざまにサポートしてまいります」(井上院長)

≫ 桜十字渋谷バースクリニック

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