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【Q&A】 潜在性高プロラクチンです。薬で下がりすぎてもだめですか?ー浅田先生

専門医Q&A 不妊治療

【Q&A】 潜在性高プロラクチンです。薬で下がりすぎてもだめですか?ー浅田先生

潜在性高プロラクチンと診断され、服薬しています。このまま飲み続けた方が良いのでしょうか?不妊治療に影響しますか?浅田レディースクリニックの浅田義正先生にお答えいただきました。

2019.8.30

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相談者:まりもこさん(38歳)



潜在性高プロラクチンと診断され、一つ目の病院では「下がりすぎると妊娠しにくくなる」と言われ毎月血液検査をし、ある程度下がったら薬は終了しました。(ただ負荷テストではなく普通の血液検査だたっため、意味があるのか疑問でした)

次の病院では「プロラクチンが下がりすぎてもあまり重要視していない」とはっきり言われ、患者さんは妊娠するまでずっと飲み続けているようです。下がりすぎるのは不安だと伝え、三カ月に一度負荷テストをすることになりました。

そこで質問なのですが、薬は飲み続けることが一般的なのでしょうか?
最初は細かく検査してもらいたいと思っていましたが、検査費もかかりますし、あまり気にしなくてもよいならこのまま飲もうかな…と思い始めました。ご意見お聞かせください。





潜在性高プロラクチン血症だと妊娠できない?




プロラクチンはドーパミンと拮抗するため、睡眠中、特に夜間高くなるといわれています。そのため日中のプロラクチンの測定では正確な診断ができず、TRHテスト(負荷前とTRH注射後15分後、30分後にプロラクチンを測定し、どの程度上昇したかで診断)を用いて潜在性高プロラクチン血症を診断しますが、私がこのようなことを一生懸命行っていたのは30年ほど前のことです。当時はプロラクチンの測定が可能になり、多くの研究者が不妊症や多嚢胞性卵巣症候群までもプロラクチンで説明しようとしていました。しかし、その後測定方法が正確になるにつれ、高プロラクチン血症の方はそれほど多くないことも分かり、高プロラクチン血症の治療自体が不妊領域ではあまり意味が無いという考えに変わっていきました。

プロラクチンが高くなりすぎると月経不順や無月経になり、そうなると排卵が抑えられ勿論妊娠率も低下します。しかし、少々高い場合でも、通常の月経があれば妊娠することができるため、月経異常を伴わない高プロラクチン血症は不妊治療の意味が無い、というのが現在の見解です。ですから、昔のように一生懸命プロラクチンを下げることはしません。ただ、非常に高値を示す場合は、脳下垂体の腫瘍が原因となっていることもありますので、精査が必要な方もいます。

一方では、プロラクチンを下げすぎてもいけない、とも言われています。プロラクチンは古典的なホルモンで、妊娠中に上昇し授乳中も高いことが分かっています。そのため、妊娠するためにも、下げすぎは良くないとされています。また、高プロラクチン血症のため、妊娠後でなくても薄い乳汁が出る方もいます。ただ、そのような方に対し、プロラクチンを下げさえすれば乳汁分泌が止まるかと言えば、そう単純ではありません。乳汁分泌をプロラクチンだけで説明することはできません。


 


今後の治療方針は?


一生懸命に潜在性高プロラクチン血症の治療をしても、妊娠という結果を得ることにはほとんど意味がない、というのが不妊治療からの観点です。イギリスのNICE(国立医療技術評価機構)のガイドラインには、“不妊治療のスクリーニングとしてはプロラクチン検査はやるべきではない。排卵障害、乳汁漏出または下垂体腫瘍を有する女性に限るべきである”と記載されています。


ただ、プロラクチンの数値を重視している先生もいらっしゃいますので、このあたりはドクターによる見解の違いだと思います。いずれにしても、あまり効果は期待できませんので、無理して薬を服用する必要はありません。それよりも、通常の不妊治療に専念された方が良いと思われます。




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お話を伺った先生のご紹介

浅田 義正 先生


名古屋大学医学部卒業。1993 年、米国初の体外受精専門施設に留学し、主に顕微授精を研究。帰国後、日本初の精巣精子を用いた顕微授精による妊娠例を報告。現在、愛知県の勝川、名古屋駅前のほか、昨年5月には東京・品川駅前にもクリニックを開院。

≫ 浅田レディースクリニック

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