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【自然妊娠を目指すため】ストレスなく性交渉ができる環境づくりを

インタビュー 不妊治療

【自然妊娠を目指すため】ストレスなく性交渉ができる環境づくりを

赤ちゃんが欲しいと思ったら自然妊娠できるのが理想。ただ、私たちを取り巻く環境はなかなか厳しく、まず性交渉の段階でスムーズにいかないことも。婦人科医の立場から見た現在の女性事情を白金高輪海老根ウィメンズクリニックの海老根真由美先生に伺います。

2019.10.9

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※2019年8月24日発刊「女性のための健康生活マガジン jineko vol.43 2019 Autumn」の記事です。


お話を伺った先生のご紹介

海老根 真由美 先生(白金高輪海老根ウィメンズクリニック)


埼玉医科大学医学部卒。埼玉医科大学総合医療センター総合周産期母子医療センターで講師および病棟医長として、緊急性の高い母体救急を専門とし、助産師や臨床心理士とともに妊娠中から産後のメンタルケアに携わり、2013年白金高輪海老根ウィメンズクリニック開業。サバサバとした語り口調で、時にメンタルの相談にものってくれる頼れる先生です。


≫ 白金高輪海老根ウィメンズクリニック

セックスレス夫婦が多い? 日本人の性生活


まずは皆さん、ご夫婦でちゃんと性交渉をしているでしょうか? 欧米人は週に4~5回性交渉をしていると言われていますが、私たち日本人の性交渉の回数は世界でもかなり低いと言われています(ちなみに、2006年に世界で発表された調査によると、26カ国中ギリシャが第1位で年間平均164回、日本は最下位で年間平均48回)。
女性がキャリアを積むようになった昨今、昼間は仕事で忙しい、これに加えて夜の性交渉も“仕事”になってしまい、いわゆるセックスレス夫婦が増えているという印象があります。疲れ切っていると、副交感神経がうまく働かず、腟の分泌物も上がりません。夜まで仕事はしたくない…そんな女性が増えているのです。
そして、ある時期に「赤ちゃんが欲しい」となると基礎体温を測って排卵日を予測して「この日だったら妊娠できるかもしれないから、今日は早く帰ってきてね」ってご主人に連絡するわけです。でも、男性ってとってもナイーブなんですよ。この日に性交渉をして妊娠にこぎつけなければいけない! そんなプレッシャーがかかればかかるほど、実は精子の数はどんどん減ってしまうのです。病院に来る患者さんや私の友人も含め、自然妊娠した方のほとんどは一同に「いつ妊娠したかわからない」って言います。これは定期的に性交渉をしているっていうことですよね。この日が排卵日だからって半ば人工的に赤ちゃんを授かろうとしても、これがなかなかうまくいかないんですね。だから、妊娠を希望する方がいたら、まず私は「とにかくセックスしなさい!」ってはっきり言っているんです。


性交中の痛みは場所により原因が違う


ところが、性交渉をしようとしても痛みがあると訴えて来院する女性も少なくありません。せっかくコミュニケーションを取ろうとしているのに痛いのを我慢することはありません。ましてや妊娠を希望されているなら、なおさら痛みの原因を探る必要があります。
性交中の痛みには2種類あります。まず腟の奥の痛み。腟壁は知覚神経がないので、腟壁が痛いということはなく、性交中の子宮の可動痛があるということになります。この場合、子宮筋腫、子宮内膜症、あるいは性病が潜んでいるということもあるので、婦人科へ相談をしてみてください。
もう一つは腟の入り口の痛みです。これは単純に入り口が狭くて皮膚が引っ張られて痛い、もしくは腟の分泌量が少ないということになります。入り口の狭さによる痛みは、体が硬いことと同じなので、ストレッチが必要になります。性交渉の頻度を上げていくと少しずつ減っていくのですが、痛みを感じやすい方は、たとえば潤滑ゼリーなどをうまく活用して痛みを和らげていくというのも一つの方法だと思います。分泌液については、さきほどお話しした通り、疲れていて副交感神経が優位になっていない場合もあるのでリラックスすることが大事なのですが、妊娠を望むのであればこのような方も潤滑ゼリーは有効でしょう。今まで潤滑ゼリーというと、避妊を考慮して精子の運動を妨げるものが多かったのですが、最近は運動を妨げないものも販売されています。海外では、日ごろのヘルスメンテナンスとして“腟のメンテナンス”はごく普通のことで、腟のトレーニンググッズやジェルが普通に手に入ります。日本もこのくらい腟のケアがオープンになってくるとよいなと思います。
痛みとは別ですが、女性は排卵日が近づくと頸管粘液が増えてふだん酸性の腟内のpH値が上がって、酸度が緩和されていきます。ところが、若いころにダイエットしていた方、もしくは高齢の方はエストロゲンが不足しているので、頸管粘液が出にくいという方もいます。このような方の場合は、エストロゲンを投与して改善に導きます。


自然妊娠を望むなら男性も積極的になってほしい


話が広がりますが、日本の教育現場では、まずバースコントロール(避妊)の教育を受けています。学生のうちに、妊娠してはいけない、性交渉をするならコンドームを使おう、そのように指導されています。
ところが私が25年も前に留学していたベルリンでは、学生の時に子どもを産んでそのあとに医学部に入り、医者になるという女性がたくさんいました。子どもを産んでも安心して保育園に預けて勉強できるのです。「子どもは国の宝もの」という感覚が根付いていると感じました。一方日本は、まだまだ「子どもは個人のもの」という感覚です。本来産んだら、リタイアした人たちが赤ちゃんのお世話をしてあげたり、もっと保育園があってすぐに預けられる環境があればよいのに、受け皿がないから妊娠出産よりキャリアを優先させる女性が多いですよね。生物学的には若いころのいい遺伝子と体力で産むのがベストなのに、今はある程度仕事をしてから産むのが王道になりつつあります。出産適齢期と実際産みたい年齢にねじれが起こっているのです。ですから、自然妊娠ができる時に出産をして皆で赤ちゃんを育てるというのが本来あるべき姿だと思います。
もう一つ、赤ちゃんが欲しいと思ったら、女性がこの日が排卵日! と誘導するのではなく、男性もぜひ、他人事でなく自分事として協力してほしいと思っています。排卵日だけでなく、できるだけ性交渉をしてください。たとえば先にお話しした性交痛がある場合、私が潤滑ゼリーをオーダーしたりすることもありますが、「主人がゼリーを買ってくれた」と言って喜んでいる女性もいらっしゃいました。海外の女性のように、日本の女性ももっと積極的に活用すべきだと思いますが、自分が購入することにためらいがある女性もいます。夫婦でもっと話し合って、スムーズな性交渉ができるような環境づくりをしてみてください。




精子と精漿(せいしょう)からできている精液は弱アルカリ性。女性の腟内はふだん酸性で保たれていますが、排卵期になると子宮頸管が弱アルカリ性に傾き精子を受け入れる環境になります。「ポジティブサポート」は精漿や子宮頸管粘液と同じ弱アルカリ性。精子が生存できることや、精子の動きを妨げないことを優先して考えられた配合です。さらに妊娠への関与が報告されているカルシウムイオンとマグネシウムイオンも配合(特許取得済み)。今までの潤滑ゼリーとはまったく違い、精子の生存や動きやすさに着目した「妊活を応援するジェル」です。女性だけでなく、男性が使ってもOKというのも画期的。


 


出典:女性のための健康生活マガジン jineko vol.43 2019 Autumn
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