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自然周期による採卵と刺激法、私の状態に合ったやり方は?

コラム 不妊治療

自然周期による採卵と刺激法、私の状態に合ったやり方は?

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2020.1.7

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※2019年11月25日発刊「女性のための健康生活マガジン jineko vol.44 2019 Winter」の記事です。


かくさん(37歳)からの相談
▶体外受精の選び方
顕微授精を始めるにあたり、自然、または刺激のどちらかを検討中です。最初に刺激を試して、ダメだったら自然に変えたほうがよいのか、初めの数カ月から半年は自然でスタートして結果が出なければ刺激に変えたほうがよいのか。また刺激だとしても、ショート、ロング、アンタゴニストなど、私の状況だとどの方法からスタートするのがいいのでしょうか。AMH値は実年齢より高いといわれています。自然のほうが体に負担なく続けられるメリットを感じた反面、刺激のほうが、卵巣トラブルが起こるなど多少のリスクはあっても結果が出やすく、世界基準では刺激が一般的であることを知り、自分の卵巣年齢を考えると早く結果が出る刺激のほうがいいのか、迷っています。

まとめ
●卵子が15個採れると、出産までいく妊娠率が35%と高くなります。
●採卵数やリスク回避を考えると、アンタゴニスト法が最適なのでは。

お話を伺った先生のご紹介

大島 隆史 先生(大島クリニック)


自治医科大学卒業。1982年、新潟大学医学部産科婦人科学教室入局。産婦人科医として3年間研修後、県内の地域病院の1人医長として4年間勤務。1992年、新潟大学医学部において医学博士号を授与される。新潟県立がんセンター新潟病院、新潟県立中央病院勤務を経て、1999年、大島クリニックを開設、院長に就任。

≫ 大島クリニック

自然な形での採卵、刺激による採卵、どちらを選択しようか悩まれているようですが。


基本的に体外受精、顕微授精の妊娠率というのは、女性の年齢と採れた卵子の数によって決まります。3年ほど前に発表されたアメリカの論文によると、かくさんくらいの年齢の方で卵子が15個採れると出産までいく妊娠率が35%ととても高いのですね。
1個だと5%となっていましたが、自然周期による採卵だとその1個も採れるかどうかわかりません。このようなデータから考えると、刺激をして卵子をなるべく多く確保していったほうがいいのではないかと思います。


刺激法について、どんな方法を選んだらいいのでしょうか。


当院ではロング法はあまり採用していません。AMH(抗ミュラー管ホルモン)が0.5 ng/ml以下の低値の方はショート法、1ng/ml以上あればアンタゴニスト法をご提案しています。それから最近ではもう一つ、デュファストンⓇ法という誘発法も実施しています。
生理の2日目からデュファストンⓇという黄体ホルモン剤を服用し、それに注射を加えていく方法で、治療費が安く抑えられるのが利点。アンタゴニスト法で排卵を抑える注射を定期的に打っても排卵してしまう人でも、デュファストンⓇを飲むとしっかり抑えられます。
かくさんはまだ卵巣機能が高いようですから、アンタゴニスト法で刺激を強めにして、卵子をなるべくたくさん採る方向で考えてみたらどうでしょうか。


刺激法を選ぶ時はAMH値も目安になってくるのですね。


当院ではAMH値1.77ng/mlを一つの基準として考えています。それよりも低いと、どんなに刺激を強くしても採れる卵子の数は4個程度。要するに反応が悪くなるのが1.77ng/ml以下ということです。また、5ng/mlを超えると逆に卵巣が過剰反応してしまうので、刺激をする時には注意が必要になってきます。


刺激をすると卵巣のトラブルが起きるのではと心配されていますが。


卵巣が腫れることを不安に思っていらっしゃるのでしょうか。ロング法やショート法だとリスクは高まりますが、アンタゴニスト法なら心配はほとんどありません。卵胞ホルモンの数値が上昇し卵巣が腫れそうになったら、点鼻薬で排卵させる。そうすればOHSSを起こすことはまずないでしょう。
自然周期採卵は薬を使わないので確かに体に負担はありませんが、採卵数は少なく、妊娠のチャンスも低くなります。採れる卵子の数やリスク回避など、バランスを考えたらやはりアンタゴニスト法が最適なのではないかと思います。


出典:女性のための健康生活マガジン jineko vol.44 2019 Winter
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