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【特集】自然周期法 VS. 卵巣刺激法【卵巣刺激の方法】

コラム 不妊治療

【特集】自然周期法 VS. 卵巣刺激法【卵巣刺激の方法】

体外受精の時、どう卵巣を刺激し卵子を育てていくかは大きなポイントの一つです。どの刺激法が自分に合うのか?そこで卵巣刺激法決めに大切なことや、それぞれの特徴についてファティリティクリニック東京の小田原先生に伺ってみました。

2020.3.16

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体外受精をする際、「採卵に向けてどう卵巣を刺激し、卵子を育てていくか」は、妊娠できるかを決める大きなポイントの一つです。さまざまな方法がありますが、どの刺激法が自分に合うかわからない人も多いと思います。そこで卵巣刺激法を決める際に大切なことや、それぞれの特徴についてファティリティクリニック東京の小田原先生に伺ってみました。これを機にぜひ卵巣刺激法についての正しい知識を身につけておきましょう。


※2020年2月25日発刊「女性のための健康生活マガジン jineko vol.45 2020 Spring」の記事です。


まとめ
◆妊娠、出産するのに必要な卵子数を考える
◆年齢や体質などにより選択可能な方法は異なる
◆胚盤胞への到達率が悪い場合は適宜変更を

お話を伺った先生のご紹介

小田原 靖 先生(ファティリティクリニック東京)


東京慈恵会医科大学卒業、同大学院修了。1987年、オーストラリア・ロイヤルウィメンズホスピタルに留学し、チーム医療などを学ぶ。東京慈恵会医科大学産婦人科助手、スズキ病院科長を経て、1996年、恵比寿に開院。久しぶりに観た映画『ボヘミアン・ラプソディ』は、若いころクイーンのコンサートを実際に観たこともあり、迫力と音に感動しました。その後、DVDを買いましたがやはり映画館で観た感動とは違いますね。ご夫婦でも映画など何かを共有して、そこから会話が弾むのはとてもいいことですよね。


≫ ファティリティクリニック東京

妊娠、出産をするためにいくつ卵子が必要かを考える


体外受精の際、妊娠、出産できる良質な卵子を多く採卵するために、薬などを使って卵巣に刺激を加えて卵子の発育を促します。これが「卵巣刺激」です。
日本では「アンタゴニスト法」、「クロミフェン自然周期法」など、卵巣を刺激する方法にはいろいろありますが、目的は「妊娠、出産すること」。そのため、どの刺激法がいいかを検討する前に「何個ぐらい採卵すると妊娠、出産できるのか」を考えることが大切です。
多くの人が知っている通り、35歳を過ぎると卵子の染色体異常や老化による細胞質の異常が増えるので、卵子1個あたりの妊娠率が下がってきます。そのため、高齢になればなるほど妊娠、出産するためにはできるだけ多くの卵子が必要になってくるのです。
日米の共同研究によると、35歳までは5個採卵すると1人出産することができるが、42歳になると30~40個採卵してやっと1人出産できるかどうかという結果が出ています。高齢になるにともない、1人出産するまでに多くの卵子が必要になることを覚えておいてください。


卵巣刺激の方法は大きく分けて3つある


卵巣刺激にはいくつかの方法があり、得られる卵子数によって「低刺激法」、「マイルド法」、「卵巣刺激法」の3つに分けられます。
「低刺激法」には、薬の力を借りずに卵子を育てる「完全自然周期」、クロミフェンやレトロゾールという経口の排卵誘発剤を服用しながら卵子の発育や排卵を整える方法などがあります。
マイルド法は、経口の排卵誘発剤を服用しながら、排卵誘発剤のFSH/HMG注射を少量(隔日)プラスすることで、複数個の卵子を育てる方法です。
卵巣刺激法とは、注射を連日使って複数個採卵できるようにする方法です。
卵巣刺激法には主に3つの方法があります。アゴニスト製剤の点鼻薬とFSH/HMG注射を使って自然排卵を抑えながら、複数の卵子を育てるのが「ロング法」、「ショート法」です。点鼻薬を前周期から長く使うのがロング法、採卵周期の生理開始から使うのがショート法になります。
ロング法、ショート法ではOHSS(卵巣過剰刺激症候群)を引き起こす可能性があるため、そのリスクがある人に適応されるのが、アンタゴニスト法です。月経3日目からFSH/HMG注射やクロミフェンやレトロゾールの服用で卵子を発育させ、ある程度大きくなったら、アンタゴニスト製剤を注射し排卵を抑えることにより、採卵のタイミングをちょうどいい時期に調整する最もポピュラーな方法といえます。
どの刺激法にもメリット、デメリットがあり、また、同じ年齢でも人によって相性のよい刺激法は異なります。



年齢やホルモン値、薬との相性から刺激法を選択


どの卵巣刺激法が合うかは、まず患者さんの年齢によって大きく異なります。前述したとおり、35歳を過ぎると妊娠するまでに多くの卵子が必要になるので、低刺激よりも高刺激を選択することが望ましいでしょう。
その他、ホルモン値や卵巣の反応などをみながら一人ひとりに合った刺激法を見つけていきます。


期待する成果が出ない時は刺激法を変えることが重要


前述した方法でそれぞれに合った刺激法を選択したとしても、必ずしもいい結果が得られないことがあります。その場合は同じ方法を続けるのではなく、刺激法を変更することも考える必要があるでしょう。
たとえば10個採卵して、1つしか胚盤胞にならない場合は、刺激法が合っていない可能性があるので、変更を検討するのがいいでしょう。いろいろな刺激法にトライできるクリニックを選ぶことも、早く妊娠するための方法の一つといえます。


出典:女性のための健康生活マガジン jineko vol.45 2020 Spring
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