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不育症検査と合わせて絨毛染色体検査をすべき?

コラム 不妊治療

不育症検査と合わせて絨毛染色体検査をすべき?

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2020.4.15

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※2020年2月25日発刊「女性のための健康生活マガジン jineko vol.45 2020 Spring」の記事です。


ぷぷさん(38歳)からの相談
▶︎ 絨毛染色体検査の必要性について
2回連続の流産でショックを受けています。自然妊娠8週目で流産、顕微授精8週目で稽留流産でした。そこで不育症検査、夫婦の染色体検査を受けようと思っています。一般的には、まず流産時の絨毛染色体検査を行い、次に不育症検査を行うと聞いていますが、既に不育症検査、夫婦の染色体検査を受けると決めている場合、さらに絨毛染色体検査を受ける意味はありますか。主治医は、費用対効果を考えるとおすすめしないと言っています。

お話を伺った先生のご紹介

稲垣 誠 先生(いながきレディースクリニック)


1994年、浜松医科大学医学部卒業。浜松医科大学医学部附属病院、鹿児島市立病院、聖隷沼津病院などで産婦人科医の経験を重ね、2012年、不妊治療専門施設「いながきレディースクリニック」を開院。「お一人ひとりに寄り添いながら、それぞれの患者さまに合った最適な治療を心がけています」。


≫ いながきレディースクリニック

流産が続いて不育症が心配


ぷぷさんは2回連続の流産で、どちらも8週目というのが気になります。妊娠初期の流産の多くは胎児(受精卵)の偶発的な染色体異常が原因で、両親のリスク因子が原因になっている場合は少ないとされています。そのため、1回の流産でリスク因子を調べる必要はありません。
2~3回以上流産を繰り返す場合は、両親のどちらかにリスク要因が存在する可能性があると考えられるので、不育症の検査をおすすめします。血液検査で母体の甲状腺機能などのホルモン異常、血液凝固因子、抗リン脂質抗体などを調べ、超音波検査で子宮の形態異常を調べます。さらに夫婦それぞれの染色体検査を行う場合もあります。


不育症検査を受けたら妊娠の可能性は高まる?


内科疾患や甲状腺ホルモン分泌異常が見つかった場合にはその治療を行います。第Ⅻ因子欠乏症やプロテインSまたはC欠乏症、抗リン脂質抗体症候群では、抗血栓療法(アスピリン内服やヘパリン注射)を行います。
ちなみに検査で原因が見つからない方も当院では60%程度いますが、原因がわかって何らかの治療をした方と経過観察の方を含めて、不育症検査を受けた方の80%程度は最終的に出産されています。流産の不安を解消するためにも不育症検査のメリットは大きいと思います。


絨毛染色体検査は何がわかる?


胎児組織の一部である絨毛から、受精卵の染色体異常の有無を調べます。染色体異常の多くは数の異常で、この場合は偶発的な流産とみなされ治療の必要はありません。一方、染色体の構造に異常が見つかった場合は、両親の染色体をさらに詳しく調べることになります。
ぷぷさんは不育症検査、ご夫婦の染色体検査を受けると決めていらっしゃるので、その結果を知ってから繊毛染色体検査を受けてもいいのではないでしょうか。染色体に関する検査では、遺伝子の問題で妊娠が難しいという判断が出ることもあります。結果をどう受け止めるか、検査の前にご夫婦でよく話し合っていただくことが大切です。
流産直後は精神的なダメージが大きく、検査どころではないと思います。少し時間をおいて落ち着いてから主治医に相談して、ご夫婦ともに納得のいく検査を受けてください。次の妊娠への希望をもって、前向きに検査を受けてほしいですね。


出典:女性のための健康生活マガジン jineko vol.45 2020 Spring
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