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【Q&A】高度不妊治療の移植前について -浅田先生

専門医Q&A 不妊治療

【Q&A】高度不妊治療の移植前について -浅田先生

移植前に性交渉をすると着床率があがるという情報、正しい? 浅田レディースクリニックの浅田義正先生にお答えいただきました。

2020.8.4

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相談者:早くコロナが落ち着きますようにさん(38歳)



高度不妊治療の移植前について
現在体外受精を3回試みましたが、その内2回は陽性が出てすぐに流産、1回は陰性でかすりもしませんでした。
サプリを飲んだりストレッチやヨガを毎日したり、体を冷やさない取り組みや栄養をつける事など、出来るだけの事は取り組んでいるつもりです。
他に何かできることがあるのではないかとネット検索していると、高度不妊治療の移植前には性交渉を行った方が着床の確率が上がるという内容を目にしました。精液が体に作用して着床しやすくなるという内容でした。
初期胚の場合は移植の5日前に、胚盤胞移植の場合は2〜3日前に性交渉を行うことが望ましいとのことでしたが、本当のところはどうなのでしょうか、教えてください。



体外受精を3回されているそうですが、妊娠に至っていないようです。




AMHの値は、平均よりも少し低めかもしれません。ただ、通常の体外受精が可能な範囲内の卵巣予備能だと思います。

体外受精を3回行い、うち2回は陽性が出てすぐに流産したとのことですが、流産とは胎嚢の確認後に妊娠が継続できない場合を指すもので、この場合は流産に達していない化学妊娠となります。妊娠判定のみで判定された妊娠で、医学的には妊娠には数えません。胚盤胞の翌日に着床が始まり、妊娠判定日付近まで胚が成長を続けた場合、hCGによる妊娠判定が陽性であっても胎嚢が確認できない、ということは往々にして起こります。


 


移植前に性交渉をすると着床率があがる、という情報は正しいのでしょうか?


精液中の精子以外の成分(精漿といいます)が着床に良い影響があるのではないか、ということについては、30~40年前から様々な研究が行われてきました。人工授精の前に注入する等、色々と試みられましたが、有用な効果は得られておらず、有効性のあるエビデンスとして残っているものもありません。

初期胚の場合は5日前、胚盤胞移植の前は2~3日前に性交渉をすると着床率が良いというのも、私は初めて聞きましたが、医学的に裏付けするデータは見たことがありません。

医学的根拠のない情報が世の中には溢れていますので、正しい情報を見極める「不妊患者力」を高めていただきたいと思います。


 


今後のアドバイスとして、何かございますか?


一口に体外受精、顕微授精といっても、クリニックにより具体的な方法は全く異なります。3回くらい採卵して結果が出ないようであれば、治療のステップアップだけではなく、クリニックのステップアップも必要になってくると思います。結果が出なければ積極的にクリニックをかわって良いと思いますし、それによって新しい可能性が生まれると考えます。

なお、サプリメントの服用や、ストレッチ、ヨガなども色々と試されているようですね。
葉酸については、赤ちゃんの神経系の奇形予防に妊娠前からの服用が有効ですが、サプリメントや運動には、妊娠率向上への直接的な効果は望めません。

健康の増進は、「プレコンセプションケア」として、妊婦さんや赤ちゃんの健康を妊娠前から心掛けるという点では良いかもしれませんが、妊娠率を上げるものではありません。なぜプレコンセプションケアが必要かというと、出生率の高い発展途上国で、栄養失調の母親が栄養失調の赤ちゃんを産み、妊娠出産後に様々な障害が起きているからです。日本のように、妊婦さんの栄養が十分で、妊婦死亡率の極端に低い国においては、プレコンセプションケアの効果は限定的で、妊娠率を上げるものではありません。


 



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お話を伺った先生のご紹介

浅田 義正 先生


名古屋大学医学部卒業。1993 年、米国初の体外受精専門施設に留学し、主に顕微授精を研究。帰国後、日本初の精巣精子を用いた顕微授精による妊娠例を報告。現在、愛知県の勝川、名古屋駅前のほか、昨年5月には東京・品川駅前にもクリニックを開院。

≫ 浅田レディースクリニック

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