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妊娠力を上げるカギになる?注目の栄養素ビタミンD

コラム 不妊治療

妊娠力を上げるカギになる?注目の栄養素ビタミンD

2016秋

2016.8.30

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身近な“卵”で手軽に摂取!
妊娠力を上げるカギになる?
注目の栄養素ビタミンD


いま注目の栄養成分「ビタミンD」。近年の研究で、妊娠力を高める働きがあることがわかってきました。草津レディースクリニックの森敏恵先生に詳しく話をお聞きしました。


栄養バランスのとれた食事で妊娠力を高めましょう


妊娠・出産を望まれる方にとって何より大切なのは、健康な体づくりです。なかでも食事は妊娠力を高めるための基本。ダイエットによる食事制限、外食やファストフード、インスタント食品の摂取など、不規則な食生活で栄養バランスが偏っていませんか?
食事の量があり、カロリーは充分とれていても、必要な栄養素が不足していることがあります。必要な栄養素が不足すると、貧血や冷え性をまねいて妊娠力の低下、胎児の成長、出生児の成人後の成長にも影響を及ぼすといわれています。また、食事には気をつけているから大丈夫という方も、その方向性が間違っていることもありますので、時々見直しが必要です。
妊娠力を高めるおもな栄養素には、皮膚・血管・筋肉など体の土台や、質の良い卵子をつくる「たんぱく質(肉・魚・卵)」、血液中のヘモグロビンをつくる「鉄(レバー・あさり)」、抗酸化作用があり、卵子の若返りや、血流・ホルモンの働きをうながす「ビタミンE(カボチャ・アボカド・ナッツ類)」、男性ホルモンを合成し、精子数や運動性を高める「亜鉛(カキ・ホタテ)」、赤ちゃんの健全な発育を助ける「葉酸(ほうれん草・レバー)」、子宮内膜をととのえる「ビタミンA(うなぎ・ほうれん草)」、精神を安定させる「カルシウム(牛乳・チーズ・小魚)」などがあります。
何かを重点的に摂取するのではなく、それぞれの栄養素をバランスよく摂ることがポイントです。1日3食の規則正しい食生活を基本に、少量多品種の食事を心がけましょう。


妊娠力を高める栄養素いま話題のビタミンDとは?


最近注目されている栄養素のひとつに、ビタミンDがあります。日光を浴びることで皮膚のコレステロールから生成されるビタミンDは、血液中のカルシウム濃度を上げる働きがあり、健康な骨の形成にかかわっていることが知られています。ビタミンDが不足すると、骨の病気である骨軟化症、骨粗しょう症が増えます。
一方、ビタミンDを補うことで、がんの予防、感染症の予防、2型糖尿病の予防の可能性、さらに、子宮・卵巣・精巣・精子にもよい働きをすることがわかってきました。妊娠中にビタミンDが不足すると、母体や胎児へのリスク、出産のリスクが高くなります。また、卵胞発育障害、着床障害、免疫性の不育症といった不妊要因にもビタミンDが深く影響しているという報告もあります。
ビタミンDについては、1日15分の日光浴で必要量を生成できるといわれますが、女性にはむずかしい課題かもしれません。むしろ日焼け対策として、日焼け止めや日傘で、あえて日光を避けている人のほうが多いのではないでしょうか。日光を避ける生活がビタミンDの生成を抑え、ビタミンD不足につながっている皮肉な現状があります。
とはいえ、日焼けはできるだけ避けたいというのが女性の本音でしょう。そこで、不足するビタミンDを身近にある食品から摂取する方法もあります。ビタミンDを含む食品には、鮭・カツオ・しらす干し・鶏卵・きくらげなどがあり、これらの食品を積極的にとることもひとつ。ただし、ビタミンDは油と一緒に調理することで吸収を高める脂溶性の栄養素。水溶性のように体内の余分な栄養素を尿として排出できないため、過剰摂取には注意が必要です。
ビタミンDについて気になる方には、まずは血液検査をおすすめします。検査の結果、ビタミンDが不足しているようであれば、ビタミンDを含む食品やサプリの摂取をはじめ、ほかの栄養素とのバランスを考えた食事を心がけ、妊娠力を高めていきましょう。



ビタミンDをしっかり摂って妊娠力を高めよう


ビタミンDは妊娠力を高めるために、どんな働きをしているのでしょうか。AMH、PCOS、着床率との関係など、近年のさまざまな研究報告に基づき、森先生にご説明いただきました。


ビタミンDでPCOSを改善


ビタミンDはインスリン抵抗性との関連があり、ビタミンD不足は、遺伝的な要因をはじめ、食生活や生活習慣が起因しやすい、PCOS(多嚢胞性卵巣症候群)でも検討されています。ビタミンDとカルシウムの投与で、インスリンの抵抗性、男性ホルモン値、月経周期の乱れ、排卵の改善が見られたという報告もたくさんあります。


血液中のビタミンDと着床率ビタミンD濃度と


海外の研究では、血液中と卵胞液中のビタミンDは互いに影響しており、ビタミンD濃度が高いと妊娠率が上がるという報告があります。詳細なデータによると、卵胞液中のビタミンDが1ng/mg上がると、妊娠率が6%上昇したとのこと。一方、習慣性流産の方のビタミンD濃度は低いとの報告もあります。ビタミンD濃度が低下すると抗リン脂質抗体、NK活性、抗核抗体、抗DNA抗体の数値が上昇するそうです。あくまで海外の文献ですので、日本人の研究ではどのような結果が出るのか、今後もビタミンDと妊娠率について注目していきます。


ビタミンD濃度とAMHの関係


40歳以上の女性では、ビタミンDの濃度が低いと、AMHの値も低くなることがわかりました。ビタミンDは日光と関係しているため、夏は血液中のビタミンD濃度が高く、冬は低くなるという特徴があります。AMHもビタミンDと同様の季節性変化を示しており、AMHの値が低くなる冬にビタミンDを食事で摂取すると、この変動がなくなったという報告があります。また別の実験でも、ビタミンDによりAMH値が増加することが示されています。ビタミンD不足の女性にとって、ビタミンDの補充は、妊娠力を高める有効な方法かもしれません。

AMHとは?
AMH(抗ミュラー管ホルモン)は、発育途中の卵胞から分泌される女性ホルモンの一種で、卵巣機能の予備能(卵巣に残っている卵子の数)を知るための指標とされています。




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草津レディースクリニック 森 敏恵先生

日本産科婦人科学会専門医、日本生殖医学会会員、日本受精着床学会会員、日本卵子学会会員。滋賀県内の産婦人科などを経て、草津レディースクリニック院長に就任。「お産は感動の連続。自身も妊娠・出産で感じた喜びを、より多くの方に経験してほしい」と、現在は産婦人科医から不妊治療専門医として活躍中。




 




出典:女性のための健康生活マガジン jineko vol.31 2016 Autumn
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