両側卵管閉塞といわれたら、体外受精の選択しかない?

コラム 不妊治療
両側卵管閉塞といわれたら、体外受精の選択しかない?
「子宮筋腫もないのに、完全閉塞との結果にただただ驚いています。検査中、痛みはまったくなく、水が流れ出す感覚しかありませんでした。やはり、体外受精しか方法はないのでしょうか。」
両側卵管閉塞といわれたら、体外受精の選択しかない?
臼井 彰 先生(臼井医院不妊治療センター)
相談者:なちさん(33歳)
卵管通水検査で両側卵管完全閉塞

以前は自然妊娠できたのに、その後、卵管が詰まってしまうというケースは珍しくないのですか。

子宮内膜症やクラミジア感染の既往はないということですが、もしかしたらご本人が気づかないまま罹患していた可能性もあります。子宮内膜症でも卵巣が腫れていればはっきりわかりますが、腹腔内にできた内膜症は痛みをほとんど感じない人もいるので見つけにくいんですね。そのような病変があるかどうかは、腹腔鏡検査をやってみないとわかりません。クラミジアも過去に感染して、自然に治っていることもあります。
また、卵管が閉塞する原因としてほかに結核や、お産のあとに血栓が詰まって起こることも。なかには原因不明で閉塞してしまうこともあるので、なちさんの卵管がなぜ完全に詰まってしまったのかは、詳しい検査をしてみないと断定することはできません。
卵管の通りを調べるためには通水検査を受けるだけでいいのでしょうか。

それでも詰まりが解消されなかったら、次はどのようなステップになりますか。

実施している施設は限られていますが、FT自体はそれほど負担の大きなものではなく、外来で受けることができます。受けた方全体の7割はうまくいくという報告があります。
いずれにせよ、年齢的にはまだ時間があるので、これらの検査やFTを受ける選択肢はあると思います。通過性が改善したあと、ご主人の精子の様子を見ながら、人工授精に何回かトライされてもいいのでは。それでもなかなか結果が出ないようなら、その時はご夫婦ともに納得して体外受精にステップアップできるのではないでしょうか。
臼井先生より まとめ
●隠れた子宮内膜症や産後の血栓の詰まりなどが原因で卵管閉塞を起こすことも。
●体外受精に進む前に、子宮卵管造影検査やFTを受けるという選択肢もあります。
出典:女性のための健康生活マガジン jineko vol.34 2017 Summer
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