HOME > 妊活 > 風しん、妊娠糖尿病、妊娠高血圧症…、 妊活中に知っておこう!
HOME > 妊活 > 風しん、妊娠糖尿病、妊娠高血圧症…、 妊活中に知っておこう!

風しん、妊娠糖尿病、妊娠高血圧症…、 妊活中に知っておこう!

インタビュー 妊活

風しん、妊娠糖尿病、妊娠高血圧症…、 妊活中に知っておこう!

安心なマタニティライフのため、妊娠前に知りたい病気について、おおしおウィメンズクリニック院長の大塩 達弥先生に伺いました。

2019.1.23

あとで読む

妊娠中にはどんなことが起きやすいのでしょうか? マタニティライフを安全に過ごすため、妊娠前に知っておきたい病気について、おおしおウィメンズクリニック院長の大塩 達弥先生に伺いました。




妊婦が風しんに注意するワケは?


現在、風しんが猛威をふるっていて、妊婦さんへの感染に最も注意する必要があります。その理由は、先天性風疹症候群(CRS)といって、風しんウイルスが妊婦さんだけでなくおなかの赤ちゃんにも悪さをし、耳や目、心臓などに障害を持って生まれることがあるからです。妊娠初期には難聴8~9割、心疾患6割くらいと、非常に高い確率で障害をもつことがわかっています。


 


CRSは妊娠前に風しんワクチンを接種さえすれば避けられます。しかし、母親がそのことを知らないまま妊娠して風疹にかかると、CRSの赤ちゃんを出産する可能性があり、その後、赤ちゃんは心臓に重い病気をかかえて亡くなったり、成長しても耳や目に障害をもつといったことが起きやすくなります。


 


現在、かつてCRSのお子さまを出産したお母さんが、マスコミで悲痛な思いを語ってくださるのは、自分の悲劇をくり返さないでほしいという思いからです。この貴重な声をムダにしてはいけないと思います。これから赤ちゃんを望む方は、ワクチンを接種して風しんウイルスに対する免疫をつくってから妊活を始めましょう。


 


ワクチンはブライダルチェックで


20代以上の女性は中学生の時にワクチンの定期接種を行っていますが、成人になると抗体が低くなることがあります。風しんの免疫があるかどうかは、採血での抗体検査でわかります。抗体の値が低いほど風しんに対する免疫は弱いことになるので、その場合ワクチンを打ちます。ワクチンを再度打つことになっても、問題はありませんので安心してください。


 


抗体検査やワクチン接種は内科でもできますが、産婦人科のブライダルチェックでもできます。そしてワクチンを打ったら、胎児に悪い影響を与えないように2カ月間は妊活を控えます。ご主人や同居する家族も、このタイミングに合わせてワクチンを打っておくのが望ましいでしょう。


 


日本人はワクチンが嫌い?


いま風しんの患者の中心は、30~50代の男性です。当時の予防接種法で風しんのワクチンは女性のみの接種で、男性は1回も接種していない年代もあります。そのため、風しんに対する免疫が弱いのです。


 そして、働き盛りに成長したこの年代の男性が、ビジネスなどで海外渡航して風しんに感染し、気づかずに職場へ出勤して、いまの集団感染をおこしています。


 


風しんは潜伏期間を経て、発疹や高熱、リンパ腫の腫れなどの症状があらわれ、成人のほうが子どもに比べて症状が長く、関節痛もひどくなります。また、インフルエンザよりも感染力が強く、1人感染すると5~7人にうつるとされます。


最新(2018年11月時点)の感染者数は約1,800人を超え、2017年の20倍となっています。この異常事態に、国も積極的にワクチン接種を推進しています。しかし、妊意なのでなかなか接種率が上がりません。その理由には、日本人のワクチン嫌いがあると感じます。異物を体に入れる抵抗感や副作用を過剰に心配する人が多いのです。


 


風しんやインフルエンザ、麻しんなどの感染症は、ワクチンを接種したほうが接種しないよりもメリットは大きいのです。重症化や集団感染を防ぎ、風しんではCRSから赤ちゃんを守り、医療費も抑えられます。現に30~59歳の男性が定期接種をしなかったため、流行の拡大につながったという事実があるのです。副作用だけに偏った見方はやめて、周囲に迷惑をかけないという気持ちでワクチンを打ってほしいですね。


 


風しん以外で妊娠中に気をつける病気は?


妊娠糖尿病や妊娠高血圧症候群、甲状腺疾患なども、妊娠中に発症すると、母体や赤ちゃんに影響します。これらは遺伝と関係が深く、両親や兄弟姉妹、祖父母に疾患歴があると、ご自身も妊娠中に発症する可能性があることを知っておいてください。


 


そして、妊婦健診を毎回きちんと受けて、異常を速やかに発見することが大事です。異常がわかった場合には、食事を中心とした生活習慣の改善で血糖値や血圧を管理します。ケースによっては専門医と連携することもあります。そして出産にむけて、主治医と一緒にマタニティライフを安全に過ごしましょう。


 


妊娠糖尿病


妊娠中に血糖値が高くなったり、血糖値が高い状態が妊娠して初めて発見された場合に診断されます。糖尿病を発症すると、母体では妊娠高血圧症候群や尿路感染症、羊水過多症、早産、赤ちゃんには巨大児、低血糖などのリスクが高まります。妊娠初期と24~28週の検査での早期発見と、血糖値の管理が重要です。


 


妊娠高血圧症候群


妊娠前は正常な血圧だったのに、妊娠20週以降から産後12週の間に初めて高血圧になった場合、または高血圧に蛋白尿を伴う場合に診断されます。赤ちゃんの発育不全や、重症になると脳出血をおこすこともあるので、定期健診をきちんと受けることと、血圧の管理を含めた適切な処置が重要です。


 


甲状腺の病気


甲状腺ホルモンの値が過剰になったり、逆に低下する甲状腺機能異常がある場合、流産や早産の可能性が高くなることがあります。定期的に血液検査をして、甲状腺ホルモンの値を調べ、母体と赤ちゃんの状態を慎重に観察する必要があります。


 


お話を伺った先生のご紹介

大塩 達弥 先生(おおしおウィメンズクリニック 院長)


日本大学医学部卒業 横須賀市立市民病院産婦人科、川口市立市民病院、関東逓信病院産婦人科、セントマーガレット病院産婦人科部長を経て、平成9年おおしおウィメンズクリニックを開設。クリニックは産科、婦人科だけでなく、不妊外来、胎児ドック、ピル外来、産後の美容・エステなど、女性をトータルでサポートしてくれる。日本産科婦人科学会専門医、日本母性衛生学会会員 母体保護法指定医 日本受精着床学会評議員 日本不妊学会会員。ほか、日本大学医学部産婦人科兼任
講師としても活躍中。

≫ おおしおウィメンズクリニック

image


あとで読む

この記事に関連する記事

この記事に関連する投稿

女性のためのジネコ推薦商品

最新記事一覧

Page
top