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【特集】なぜ不妊治療費は高いの?

コラム 妊活

【特集】なぜ不妊治療費は高いの?

不妊治療=高額。どうして高額なの? なぜ保険適用されないの? 少しでも治療費を下げる方法は? 少しでも経済的に負担のかからない方法があるのならぜひ知っておきたいものです。浅田レディースクリニック・浅田義正先生にお話を聞いてみましょう。

2019.6.11

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※2019年5月24日発刊「女性のための健康生活マガジン jineko vol.42 2019 Summer」の記事です。


ぴっきーさん(35歳)からの相談
● 不妊治療はなぜ健康保険適用外なのですか?
ニュースで「少子高齢化の対策として育児休暇の充実を…」などと言っているのを耳にしました。しかし、不妊で苦しんでいる夫婦は6組に1組の割合でいるというではないですか!(私の姉も不妊治療のために退職しました)。少子化対策に協力してくれる予備軍の夫婦のことをもっと考えるべきだと思うのは私だけではないと思います。なぜ、不妊治療が健康保険の適用外なのでしょうか?

まとめ
保険適用を望みますが自由診療の場合、
質の高い治療を受けることができます

お話を伺った先生のご紹介

浅田 義正 先生(浅田レディースクリニック)


名古屋大学医学部卒業。1993 年、米国初の体外受精専門施設に留学し、主に顕微授精を研究。帰国後、日本初の精巣精子を用いた顕微授精による妊娠例を報告。現在、愛知県の勝川、名古屋駅前のほか、昨年5月には東京・品川駅前にもクリニックを開院。

≫ 浅田レディースクリニック

自由診療だからこそ質の高い治療を提供できるメリットも


ぴっきーさんが言う通り、今の不妊治療費はかなり高額と言えます。後述しますが、これには国全体のさまざまな背景があるのも事実です。
ただ、不妊治療は高額と言われますが、自由診療ならではのメリットもあります。当院でいうと3つのクリニックで約250人のスタッフを確保することで、患者さんへ常に質の高い技術を提供でき、また人材を育てることができるのです。また、海外と比較した場合、アメリカで同じ治療を受けようとすると体外受精の場合で約4倍の費用負担になります。また、イギリスにおいては診察こそ無料とはいえ、行きたい病院に行けずたらい回しにされ、結局は高額のお金を払ってプライベートクリニックに行くことが少なくありません。それを考えると、日本は思い立ったら行きたい病院にアクセスでき、海外に比べれば高いレベルの治療が破格の安さで受けられるのです。


高額な治療費は現状、助成金がカバー


ここまで体外受精、顕微授精が治療として確立している昨今、本来なら保険が適用になってしかるべきだと個人的には思っています。子宮卵管造影は保険適用されているのに、新しい超音波による卵管造影などは保険適用がなく、昔のままの保険体制…。また、不妊治療を受けている患者さんにも明らかに妊娠しにくい病気があったりするので、この先、ぜひ保険の現状を見て改革してほしいと願ってやみません。
保険が適用されないフォローとして、助成金制度があります。国の場合、妻の年齢が43歳未満で体外受精か顕微授精を受けた夫婦に対して、1回15万円の助成金が出て、40歳未満で6回、40歳以降なら3回まで助成金の申請ができます。また、東京都の場合、不妊検査、一般不妊治療(タイミング法、薬物療法、人工授精等)に対して夫婦1組につき1回限りですが5万円を上限にした助成金が出ます。助成金制度については国・各自治体で所得制限の違いなどもあるため、確認してみてください。
具体的な治療費は、当院の場合、初診の際に行うスクリーニング検査で女性は7~8万円、男性は約1万7千円、人工授精は約2万8千円です。その後、体外受精、顕微授精へとステップアップしていきますが、クリニックにより値段はかなり違います。当院では私が顕微授精の専門であること、また、普通に卵子に精子を受精させる方法だけでは受精障害が起こる場合もあるため、卵子が多く採れたら、体外受精と顕微授精を半々で行います。この金額が1周期につき約50万円。これにプラスして卵子の凍結代がかかりますが、採れた卵子あたりの数のため、人により異なってきます。
もし卵子が多く採れたら、多くの卵子を凍結できるため、採卵は1回で済みます。当院では「one and done」(=一回の採卵で終わらせる)と「Freeze all」(=受精卵全凍結)を行っているため、一度の採卵でたくさん卵子が採れたら、あとは受精卵を凍結しておき、たとえ1回目で妊娠できなくても、次は融解移植だけすればいいという方法をとるようにしています。そのため、何度も採卵するより結果的には治療費を低減できる可能性があります。治療を受ける方には、とっかかりの値段でなく、何人の赤ちゃんを授かるかというトータルでかかる費用まで見極めて治療を受けてもらいたいですね。


1.個々に合わせた治療を受けて
クリニックによっては「One fits all」といってどんな人にも一律の治療しかしないケースもあります。たとえば誰にでもすぐに体外受精をすすめるクリニックなどです。本来なら人工授精で妊娠できるはずの人がそのクリニックの方針で結果的に多額の治療費を出してしまったというケースも珍しくはありません。個人の年齢やAMHを見極め、その人が早く妊娠できる戦略をきちんと立てられるドクターと出会えることが、結果的には無駄な治療費を払わずに済むはずです。

2.何周期も採卵を繰り返さない方法を
たとえば、1周期20万円と比較的安い体外受精を受けて、採れる卵子はたったの1個、採れないこともしばしば。これを10周期繰り返せば、200万円です。お金も時間もかかってしまいます。逆に1周期100万円の体外受精で卵子が10個採れて妊娠、そして残った受精卵の凍結ができれば、第2子も時間が止まった「老化しない凍結受精卵」で、あとは融解し移植するだけで妊娠できる自分の人生、仕事に合わせた計画的なスケジュール妊娠が可能となります。初期の費用が安いからとむやみに飛びつかず、なるべく早く妊娠できる方法を提案してくれるクリニックを選びましょう。

出典:女性のための健康生活マガジン jineko vol.42 2019 Summer
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