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子宮内膜症の原因にはアレルギーが関係する?

インタビュー 女性の病気

子宮内膜症の原因にはアレルギーが関係する?

子宮内膜症はアレルギーと関係あり? 子宮内膜症治療のエキスパート・内出一郎先生に、病気のメカニズムや最新治療を伺いました。

2018.12.7

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20~40代の女性が多くかかる子宮内膜症は、アレルギーと関係するのでしょうか? 数多くの腹腔鏡手術にたずさわってこられた子宮内膜症治療のエキスパート・内出医院院長の内出一郎先生に、病気のメカニズムや最新治療について伺いました。




子宮内膜症の発症メカニズムは?


じつは、子宮内膜症の発症メカニズムははっきりとしていません。そのため、完治する治療法がいまだなく、医療現場では手をこまねき、多くの患者さんが困っているのが現状です。


 


子宮内膜症という病気は、本来子宮の内側に存在する子宮内膜またはその類似組織が、子宮の内側以外の場所に存在する疾患と定義されており、卵巣ホルモンであるエストロゲンに依存して病変が進展していく疾患です。つまり、卵巣から女性ホルモンが出ている限りは病気が進行し続け、閉経して女性ホルモンが出なくなると、病気の進行は停止します。


 


現在、子宮内膜症発症のメカニズムとして「月経血逆流による子宮内膜の腹腔内散布(子宮内膜逆流説)」「腹膜上皮が何らかの要因で変化する(子宮内膜化性説)」「免疫的な異常によって病気が起こる(免疫異常説)」などがありますが、どれも子宮内膜症の症状をすべて説明することはできていません。私はこれらが複合的に起こったことによる「アレルギー説」を考えていますが、広い意味で「免疫異常説」になります。この考えに至ったのは、私が以前勤めていた基幹病院で治療にあたりながら、子宮内膜症の原因を解明する研究に携わっていた時です。


 


逆流説のメカニズムは、月経血に含まれる子宮内膜細胞が卵管を通って子宮以外の場所に逆流し、卵巣や直腸などの腹膜表面に付着し、そのまま病変になるというものです。一方アレルギー説は、子宮内膜細胞が卵管を通り、子宮内腔外に付着する、という現象までは逆流説と同じですが、そのまま病変になるのではなく、子宮内膜細胞が付着した腹膜直下でアレルギー反応が起こり、反応の最終形態として子宮内膜症病巣になっていくという考えです。


 


アレルギー説を裏付けるのが、肥満細胞の出現と、肥満細胞から放出された顆粒が病変部に存在すること(肥満細胞の脱顆粒像)です。肥満細胞は、アレルギー反応に関連して出現する細胞で、細胞内に含まれる顆粒が放出される(脱顆粒)と、顆粒内に含まれるヒスタミンなどの化学物質によって、いわゆるアレルギー反応を引き起こすと考えられています。子宮内膜症病巣の直下では、このような反応が起こっていることを私達の研究で発見、発表しています。この結果から、動物実験で薬剤の効果を確認したところ、病変の発症が抑制されていました。さらに気管支喘息を合併している子宮内膜症の方に抗アレルギー剤の一種であるモンテルカスト製剤を投与したところ、動物実験と同等の結果が出て、肥満細胞からの脱顆粒の抑制を認め、子宮内膜症の症状が改善するという結果を得ました。また、すでにできあがっていた癒着病変も、細胞レベルではアポトーシスによる崩壊(プログラムされた細胞死)という現象もとらえることができました。


 


この結果を得て、2000年前後に「子宮内膜症に対する抗アレルギー療法」として学会に発表しました。現在、抗アレルギー剤の一種である「ロイコトリエン受容体拮抗薬」による症状緩和は、「子宮内膜症取扱規約第2部治療編・診療編」に対症療法の一つとして挙げられています。しかし、この治療法はまだ保険適用外なので、効果の確認のため大規模な研究や調査が必要だと思っています。


 


では、現在どんな治療があるの?


現状、薬物療法には「痛みを止める、緩和する方法」と「生理を人工的に止める方法」の2種類があります。


 


典型的な症状としては、生理痛や排卵痛などの痛みとして訴えることが多く(※1)、ボルタレンやロキソニンなどの鎮痛薬で痛みを緩和することが、まず治療の第一選択になります。


 ※1 病変ができて進行すると、癒着の原因になる細胞ができて、周囲の臓器にくっつき、子宮が収縮した時にひっぱられることでつねられるような痛みが出て、それが生理痛、慢性骨盤痛、性交痛、排便痛などとして表れるといわれます。


 


次に、子宮内膜症そのものに対する薬物治療を行う場合には、ホルモン剤で生理を人工的に止めるという方法があります。
ホルモン療法で使う薬の種類はいくつかありますが、現在、黄体ホルモン系「ジエノゲスト」が第一選択です。子宮内膜症病巣に対する抑制効果が強く、なかにはチョコレート嚢胞が消えるケースもあります。ジエノゲストはエストロゲン製剤と異なり、血栓塞栓症の副作用がないのが特徴です。


このほか、ホルモン剤で体を閉経時と同じような状態にする「偽閉経療法」と、低用量ピルで妊娠時に近い状態にする「偽妊娠療法」があります。


 


ホルモン剤や低用量ピルには副作用があります。


・排卵抑制をするので治療中は妊娠できない


・偽閉経療法では低エストロゲン症状として、更年期症状の出現と骨粗しょう症など、偽妊娠療法では血栓症のリスクがほかの人よりある


・薬物療法のみでは根治できない


などといったものです。


これが子宮内膜症の完治が難しい理由です。現在該当年代の女性10人に1人が子宮内膜症だといわれていますが、実際には病院にかかっていない人もいるので、さらに患者数は多いことが考えられます。にもかかわらず、完治に向けた研究がなかなか進みません。私がアレルギー説を学会で発表したのも、この病気の研究がもっと活発化し、治療中でも妊娠できる薬や、根治する薬ができることを強く望んでいるためです。


 なお、これらの薬の治療で効果がなかった時は、手術になることもあります。


 


納得のいく治療や病院の選び方は?


治療は医療機関によってかなり差があるため、薬の種類や手術の選択に悩み、迷走する患者さんは少なくありません。そこで、子宮内膜症に詳しい専門家や医療機関の受診をおすすめします。専門家を見つけるのは難しいのですが、手術を頻繁にしていることが一つの目安になるでしょう。手術を何度もして、病変を肉眼で見ている医師は、病気の実態をよく知っていると思います。


 


また、最新の治療を提示することや、病気の特性を考えて薬を処方するなども、一つの目安になると思います。さらに、患者さんは長い間不安を抱えていることが多いので、医学的な裏付けをきちんと説明し、安心感を与えることも専門家として重要です。


 


当院では、私自身が子宮内膜症の手術を数多く執刀してきたので、手術や薬の選択のアドバイスができます。他院ですすめられた治療法に迷ったら、セカンドオピニオンを聞きにいらしてください。一緒にベストな治療法を考えましょう。


 





内出 先生より まとめ



子宮内膜症は20~40代の女性に多く、妊娠を考えたり仕事が活発になる時期と重なるため、ライフイベントに支障が出たり、生活の質自体が下がってしまうことが多くあります。手術をしても閉経まで長期にわたって抱える病気なので、納得のいく治療を行い、つき合っていくことが大事です。



お話を伺った先生のご紹介

内出一郎 先生(内出医院 院長)



医学博士。東邦大学大学院卒業。東邦大学医学部産科婦人科学講座にて研鑽。東邦大学医療センター大森病院産婦人科、森赤十字病院婦人科、東京腎泌尿器センター大和病院産婦人科部長を経て、平成25年、内出医院の2代目院長を継承。「頑張らない治療」をすすめ、「押しつけの治療をしない」という治療方針で多くの患者さんの診療にあたっている。腹腔鏡手術の黎明期から手術技術の確立をめざし、研究を積んできたキャリアがあり、手術に関しては適格なアドバイスをしてくれる。


子宮内膜症、腹腔鏡手術に関する論文、学会発表は多数。平成16年、カナダ・モントリオールにて開催された第18回世界不妊学会でBest Poster Award受賞。


日本産科婦人科学会専門医、日本産科婦人科内視鏡学会評議員、日本内視鏡外科学会評議員、等所属。


≫ 内出医院

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